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演奏する場所がなければ、自分で作れば良い

「演奏する場所が無ければ、自分で作れば良い。
現代曲を弾き続けたかったら、楽しんで聴いてもらえる環境を自ら作れば良い。」

私はいつもそう思って、自分の活動を広げて来ました。それにはたくさんの方のご好意というご協力が必要で、私は出逢いに恵まれたと感謝しています。

「卒業後、どうやって演奏活動を続けていけばいいのかわからない」という若い方のご相談を受けますが、
私は毎日「私は音楽家です。」と言い続ければ良いと伝えます。ブログでもSNSでも、異業種交流会でも、飲み屋でもカフェでも、近所のパン屋でも。
まだ収入のほとんどがアルバイトだった社会人1年目から、東京に越した今でもずっと言い続けています。

正直音楽で仕事として生活出来るようになり、
東京で一人暮らしをすると決めた時は、
まさかまたそんな地道な活動をすることになるとは思っていませんでした。
ここ数年、特にマリンバ奏者としてはソロとして数百人のお客様の前でソロを弾かせて頂くお仕事も多く、
ようやく念願叶ったお仕事も頂けて、
カーヌーン奏者としてもようやく自分のやりたい道について、学びに行けると思っていた矢先に。

コロナの時代、助けてくれたのは20代の頃、
地元で地道に演奏し続けたレパートリーでした。
お客さんの数も、収入も減ってしまってはいるけど、
今は目の前に居る人と音楽を通して、
一人一人と対話しながら、一曲一曲を丁寧に、
向き合いながら演奏出来ている気がします。

私は学生時代、元々めちゃくちゃ現代曲が好きで、
卒業後もガンガンコンクールを受けて、
自分が目指せるところまで、チャレンジしたいと思っていました。
でも演奏をお仕事としてするようになってから、コンクールを受けた時、自分のステージは変わってしまったと感じてしまいました。
静寂とピリついた空間の中で、何ヶ月も、何年も費やして仕上げた音楽を誰にも負けない演奏でカンペキに弾きこなす事こそ美しいと思い込みすぎていた若すぎた私は、普段自分がマリンバ未知子として演奏している姿とのギャップに、自分で着いていけなくなっていました。
そして、誰かに評価されて、誰かと競って得る物よりも、お客さんが例え1人でも同じ空間と時間を共有しながら、一緒に楽しんで得れる物の方が、私にとってはとっても大切だと感じました。

そしてそもそも何故現代音楽が好きだったかといえば、遠い昔の作曲家さんも、長く愛されてるが故にとっても素晴らしいけれども、
自分が生きている時代に於いて、感じてる息吹や感覚、匂いやスピード感、そんな目の前にあるものとの対話が手にとるように分かるから好きだったのです。

子供のころ好きだったピアノの曲も湯山昭さんでした。だからこそ子供向けのイベントでも、
父と子の何気ない会話を小曲でまとめた芸大の課題曲である三善先生の作品を弾いたり、
昭和のうたコンサートで安倍圭子先生の作品を弾いたりします。マリンバのコンサートでカーヌーンを一曲弾いて欲しいというオーダーを頂いた時もそうですが、まず「異国」とか「現代曲難しそう」とかそういうことではなく、「身近」で「自分の心の中にもある感情かも」と思わせるMCや、プログラミングをしています。これは非常に重要なことで、大事な時間をお客様から頂いているので、その空間全体を楽しんだという喜びが重要であり、それは知っている曲や心が踊る曲だけでなく、やはりその楽器が最も美しく鳴る音楽をお届けして、共に共感・共鳴する事で、得れるものがあると信じています。

今日はお客様が限定5名さまのなか、
そして換気をしながら、街の雑踏の中、
ガチでCaritasを弾きました。
何故ならまだ始まっていないこの新しいビルとマリンバの響きにこの曲が合うと思ったから。
だから外用のマリンバではなく、敢えて一番大きなマリンバを実家から持ってきました。
そして恋愛に限らない、深い無償の愛、家族への愛を伝えたこの作品の深みを、バレンタイン・イブにお客様と共有したかったから。

夕方の部はお客様はお二人だったけど、音楽が大好きな方で、Caritasの音楽にとても心を打たれてくださいました。ビルを通り過ぎる人たちの声や車のクラクション、中に入らず写真だけ収めていくおじさんのシャッター音さえ、わたしには音楽のようでした。
最後に残る一音の響きも、街へ消えていくよう。

例えどんなに小さくても、例えどんなに少なくても、
音楽の本質と、演奏家として成すべきことは、
変わらずにあり続けたいと思っています。

明日は昭和歌謡や、クラシックの名曲、日本人のみなさんも聴いたことある中東の曲に加え、
ミチノサキにちなんで、マリンバの母、
安倍圭子先生の「道」を演奏します。

何を隠そう私がマリンバ奏者として生きる道を決めた、人生を変えた曲であり、ミチノサキというステキなビルのプレオープンに相応しい作品と思います。

たくさんのアーティストさんにご協力頂いた、
月光町の街の展示も明日まで。


(kenohiさんの月の展示は今日最終日で、現在我が家の寝室で継続中 笑)

お近くの方、明日も暖かいようなので、
ふらりとお越しくださいね。

お待ちしております✨✨

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