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【#カルデリ 06】目黒区アーティスト支援事業参加作品の紹介☆

生まれ育った千葉県船橋市から
2019年1月に東京都目黒区は武蔵小山に転居し、
音楽活動をしています、鈴木未知子です。
(武蔵小山での活動はマガジンにて)

2020年、コロナによって活動の場が制限されている
アーティスト支援として、
目黒区がパーシモンホールを貸し切ってくださり、
演奏の場を提供頂き、区民のみなさまにお届けする、
#カルデリ の企画に応募し、当選。
収録させて頂きました。

大ホールでのソロ演奏はとても久しぶりで、
パーシモンホールの美しい響きと、
素晴らしい文化課およびホールスタッフのみなさま、
ジェイコムさんのサポートがあり、
充実したとても良い経験をさせていただき、心より感謝しております。

今回は収録した作品について、解説をしたく、noteに書き留めました。
動画を視聴され、気に入ってくださった方に、
届きますように☆

#カルデリ YouTube動画は 

#カルデリ  参加への想い

新型コロナウイルスの流行により、先の見えない日々に混沌とした社会情勢の中、ウィルスの収束と、この社会情勢によって環境の変化を強いられているすべての人に、平穏な日々が再び訪れることを願って、祈りを込めて演奏させて頂きました。
住んでいる地元の自治体の企画に携われたことに大変嬉しく思っています。
区民のみなさまはもちろん、多くの方に聴いていただけるのが楽しみです。

木の温かく深い音色。マリンバ


マリンバの歴史はアフリカを起源に持ちます。

土に穴を掘り、その上に木の板を渡したところ、良い音がしたという所から発祥し、穴をひょうたんにした楽器が、世界最古の旋律楽器とも言われているバラフォンです。(※)

その後南米へと渡り、ひょうたんの部分が木のパイプとなり、音域も広がります。1オクターブずつ分け、連弾のように演奏、お父さんがドラムをたたく「マリンバンド」。
そんなファミリーのライブが日曜日の公園ではよく見られる光景でした。

その後マリンバは北米へと渡ります。まさにその時はザイロフォン全盛期。(いわゆる木琴です。)東南アジアをルーツに持ち、ヨーロッパの民族楽器を経て、発展したザイロフォンはカラッとした音色で当時の録音技術にマッチし、とても愛されました。

ディズニー映画の蒸気船ウィリーや、日本人の平岡養一さんが有名です。

当時、金属加工が盛んだったアメリカで、木のパイプが金属のパイプに。
ザイロフォンよりも柔らかい木の板、そして木やプラスティックではなく、毛糸のマレット(バチ)。そしてより深い音色。
打楽器奏者の関心はザイロフォンから、マリンバに傾倒していくことになります。

そして、日本人の安倍圭子さんや、多くの打楽器奏者、楽器メーカーの開発により鍵盤打楽器それぞれの個性が際立たされ、マリンバは現代の5オクターブの大きな音域と深い低音が魅力的な楽器へと進化を遂げ、
クラシック音楽のソロ楽器として発達しました。

西洋楽器の中でもサックスやユーフォニアム同様近年大きく発展し、
そしてグローバルなルーツを持つ非常に貴重で興味深い楽器です。

木琴らしい愛らしさに加え、パイプオルガンのように美しい低音の響きは癒しの効果が高く、パーシモンホールでの音色はとても美しいものになると確信し次の曲を選曲しました。

※マリンバの成立については諸説あります。詳しくは文末の参考文献にて。

世界中のマリンバ奏者と繋いだ「祈りれー」


演奏曲は、グラミー賞に2度輝いた、耳の聞こえないマリンバ奏者、エヴェリン・グレニー氏の『小さな祈り』です。
耳の聞こえない彼女は骨伝導によって、音の響きを聴き分けているそう。美しい音のときは、骨の響きも美しいのだそう。

なぜ、この作品を選んだのか。それは今年の4月に遡ります。

緊急事態宣言の夜、コロナだけでなく、様々な思いと不安の中にいました。(良かったら前の記事も読んでみてくださいね)

そんな中ふとマレット(バチ)を持ち、マリンバに向かうと、この曲を弾いていました。平和を祈る、美しいコラール。優しくて温かい、マリンバの響き。音出し可能時間残り5分を切った頃、ふと思い立ち、
この曲の冒頭の4小節のフレーズだけ演奏した動画を収録。
<Pray for world>とコメントし、FBに投稿したところ、
その続きのフレーズをみんなで繋げ合う、祈りのリレーとして、国内の見ならず、世界中のマリンバ奏者が繋いでくれました。

多くの方にバトンを渡してくださった奏者さんもいて、私が最初に弾いたものの、もはやどこまで拡大したのか知ることもできないほど広がってくださいました。
壮大なリレーは最後には、世界的なマリンバ界の巨匠が演奏をしてくださったり、奇跡ような瞬間もありました。
(私のFacebookの動画にいくつかのリレーが載っています。)

この機会に多くの奏者さんとも交流が持て、幸せな出逢いとなりました。
コロナだからこそ、この時代だからこその、貴重な経験となりました。
参加してくださったすべてのマリンバ奏者に感謝しています。

インタビュー動画

大学の先輩、大森さんのYouTubeで詳しくお話させて頂きました。

西洋音楽の源流である、コラールの祈りのうた。
前述のとおり、美しいこの作品はマリンバ奏者にとって愛される作品であり、今マリンバ奏者として世界中の人々に届けたい作品です。

僭越ながら多くのマリンバ奏者<想い>を載せて、誠心誠意、
心の底からの想いを込めて、演奏させて頂きました。

煌びやかで美しい、アラビアンナイトの音色。
カーヌーン

私が演奏しているもう1つの楽器は中東のお琴、カーヌーンです。

中東全域を代表する伝統楽器で、宮廷音楽から、現代ではポップスや、ベリーダンスの伴奏まで幅広く愛される楽器です。

その歴史は11世紀とも12世紀ともいわれ、かのアラビアンナイト(千夜一夜物語)にもその名前が出てくるといわれています。

少し音程が不安定な点があり扱いが難しいと、しばらく忘れ去られていた楽器でしたが、画期的なシステムを導入したことにより、再復活を遂げ、宮廷音楽や民謡などの伝統音楽がから、スーフィー音楽、ポップスやジャズ、近代の音楽まで愛される楽器です。

その音色はまさにアラビアンナイトの世界。煌びやかで美しく、ヴェールの中に包まれるような音色は、異国間溢れます。

また中東音楽の独特な音程もまた魅力的です。

愛する日々が再び訪れるのを信じて待つ
天女の『愛のうた』


演奏曲は、私のオリジナルの『輝きの島』です。
私の所属するFamous Japaneseというバンドのアルバムの中で、
『千夜一夜物語』の中から、いくつかのお話をイメージして小さな曲として書き溜めていて、その中の1曲を今回は一人で演奏しました。

Famous Japanese/Spakling island

今回の題材のお話は<天女伝説>がもとになっています。

水辺へ出かけた青年。水遊びをする美しい天女の一人に一目ぼれした青年は、衣を奪って帰れないようにしてしまいます。
(あれ?聞いたことありそうなお話ですね)

そのあと天女もその青年が大好きになり、子宝にもめぐまれ、家族と楽しく暮らしていました。

そんなある日、王女様から急な呼び出しを受けます。
身の危険を感じた天女は衣を探し当てて、義理のお母さんに「もしあの人が私に会いたかったら、ワークワーク島へきてください。」

とだけ伝えて、子供たちを連れて帰ってしまいます。

《ワークワーク島》東の端にある伝説の黄金に輝く島。
(日本という説があります。)
青年は天女を追いかけボロボロになって大冒険をして、愛する人の元へたどり着きます。

アラブの地での愛する人との幸せな日々を想う情景を、
トルコのフセイニーというマカーム(音階・旋法)のタクシーム(音楽理論に乗っ取った即興)で。
次第に情景が天女の住む日本の調べとなり、西洋音楽の技法も加わり、オリエンタルでファンタジーのような、ヴァイオリンが奏でる天女の踊るさきに
遠いアラブの地から辿り着いたサックスの奏でる青年の姿が見えます。


彼を待ち続ける、女性として、そして母としての天女の凛とした強さを、この曲に込めました。

殺伐としたコロナ禍の中でも消えない希望と平和への祈りを、
木の温かなマリンバの祈りと、煌びやかなカーヌーンの愛のうたで、
癒しの時間を届けられたら幸いです。

どうぞ楽しんでお聞きくださいね。

目黒での演奏、これから

武蔵小山駅、目黒本町の<平和通り商店街>のパン屋さんの前で、
毎週土曜日の夕方、晴れたら投げ銭ライブをしています。


小さなマリンバや、ちょっと高級な木琴、
カーヌーンの音色を楽しんで頂いたり、
楽器を体験頂いたり、CDも販売しています♪


令和の時代に、昭和の香りが未だ残る昔懐かしいレトロな商店街です。
2021年2月にランドマークである市場が閉鎖します。
ぜひその前に、平和通り商店街に遊びに来て、私にも会いに来てもらえたら嬉しいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡

2020年12月には武蔵小山駅のカフェ・カルチャーさんでも
演奏会を開催予定です♪
ご興味頂けたら、お問合せくださいね☆
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

参考文献
エヴェリン グレニー他  

打楽器辞典
網代景介、岡田知之 著

木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」 
 通崎 睦美 (著)

千夜一夜物語
バートン版 (ちくま文庫)

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