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鳥交る【とり さかる】

秋から冬にかけて、毎年子ども達はせっせとどんぐりを集めてくるけれど、実際にどんぐりが実生としての役割を果たしているのを見たのは初めてだった。

立春が過ぎるとほんとに季節が少し前に動く気がするから、暦ってすごいねとお友達と話してたばかりだけど、今日里山に出掛けたら、まだまだ枯れ木に花はなく、でも冬芽は着実に膨らんできていて、鳥達はしきりに囀っていた。

祖母の影響で俳句を詠むようになった母(娘からするとおばあちゃん)は、こういうのを鳥交る(とりさかる)っていうのよ、と春の季語を教えてくれた。鳥さん達が好き好き〜って呼びあってるんだよって話すと、おしゃまな娘はニコニコしてた。

少し開けた、なだらかな斜面に大きな木があって、どんぐりはその周辺に沢山落ちていた。鳥達ですら、子ども達ですら採りきれなかったそのどんぐりが、硬い殻を自ら割って芽を土の中に潜り込ませるその姿は、生命力に満ちていた。

この先まだまだ三寒四温が続くと思うけど、今日のような穏やかな日に野を歩くのは愉しい。

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