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⑧翼が生えてきた日

HotaVieプロジェクト日記8

8月ネパールフェスティバル🌿🌿

フェスティバルの朝。身体が重い。ほんとに私今日上野公園でお芝居できるかな。せめてネパール語でお芝居が仕上がってれば。

台本翻訳、現地の公演場所探し。課題が重いせいもあるけど、お芝居への自分の準備が出来上がっていないことがつらいんだ。

それさえあれば自信をもって、公演させてください!と言えるんだけど・・。

いつもの黒い上下の衣装の上から私服を重ね着して、出発。

暑いつーの。でも着替える場所無いだろうしね。

ネパールフェスティバルは上野公園のもと噴水のところ。楽しそうな太鼓と笛の音と唄が聴こえる。

谷口さんはフェスティバル会場の外、すぐそばで、ちいさなテーブルと椅子、例の旗を設置して、待ってくれていた。

今日の谷口さんはここでオカリナを吹いて

富士山荘で出会った方のネパールチャリティー手拭いを皆に見せて、
私のお芝居も皆に見せる。というプラン。

フラフラの私に椅子を貸して下さり、笑顔。

と、会場整備の人がこちらに歩いてくる。
「ほんとごめんなさいけど、許可ない人はやれませんごめんね」と呟くように言ってそして去っていった。

谷口さんは旗だけ片付けて「これで大丈夫ですよ」とやっぱり笑顔

ぶれないその姿勢に、とりあえず勇気をもらう。

会場から楽しそうな音楽が流れてくる。踊ってるみたい。今はオカリナは無理ですね、となんとなく佇む。

それにしてもめちゃくちゃ好みの音楽、、生演奏だな。
だんだんそわそわしてくる私。
「舞台見てきますね!」と、会場へ。

神様に捧げる民謡と一緒にスーツのおじさんや民族衣装の女の子やおばさんや、太ったTシャツ姿のお兄さんや、みんながステージで楽しそうに踊ってる。
ほんと楽しそう。みんなが魅力的。

一人一人の笑顔に合わせて私の中も笑顔になっていく感じ

 あー私も一緒に踊りたい。

おあつらえ向きに舞台のまえにはスペースがある。
「・・・飛び出して、踊りたい。」

曲は盛り上がり終わり、民謡の独唱になり、またそれに太鼓や鳴り物が入ってまたみんな踊り出す、を繰り返す。

何度も

「さあ今だ、一緒に踊っちゃえー」

と、心で声がするけど、踊りに出ないわたし。

そしてついに踊りは終わっちゃった。

「あーあ。」

次は、女の子一人の踊りになった。これは、飛び入りで下で踊るのは難しい。


ところがそこに、同じようにガマンできなくなった日本人のおじさんが飛び出して来て舞台の前で踊りだした。おしゃれな麦藁帽子にどう観ても素人ではない動き。

でもね。さっきのにぎやかな出し物なら良かったけど、今は女の子一人が一生懸命練習したであろう民族舞踊を一人で踊ってるので、ちょっと、ミスマッチ。 

おじさんは女の子をたまにみながら舞踏風のダンスを一緒に踊ってるけど
女の子は決まった振りを、前を見て踊るばかり。

もう少し彼女が舞台慣れしてればともかく。応援に観に来た感じの彼女の友達たちもおじさんをスルーして彼女を見てる。

あ~つくづく、さっきの演奏のときに、踊ればよかった。


私が踊ればこのおじさんも出てきたろうし、他の人も一緒に踊ったかも。
舞台の上でネパールの人たちがお祭りの踊りを踊って、ガマンできなくなった日本人が舞台の下で踊る。

そんなことになったら面白かったのに、、、!

そうだ。
私は変な人だけど。
変な人だからこその価値を発揮しなかったらバチが当たる

私の「変」は神様からの贈り物だ。

日本人とブラジル人が必死で稽古して、
ネパールに行ったら面白いことになるに決まってる。

そんな変なことを本気で実現してしまうのは
私と、Vieだけだ。

やろう。絶対やろう。

突然私は、フェスティバルの会場の中を、歩き出した。何かを探しに。

会場をテントが取り囲み、いろいろなブースがある。

沢山のネパール人がいて、青空の下、皆、久しぶりの友達と声を掛け合ったり、踊りだしたり、売り子が陽気に掛け声をかけたり、ほんとに楽しそう。そんな笑顔の洪水の中をあるいて、私はひとつのテントに向かった。
なんだか爽やかな笑顔の人が沢山居る。。。

「すみません、私、ネパールにいってお芝居をしたいんです。公演場所を紹介してくれる人を探して、ここに来ました」

息も絶え絶えに、黒い衣装を重ね着した私が一人、困ったちゃん顔でやってきたにもかかわらず、皆さん優しかった。とてもチャーミングなネパールが大好きなのだろうなーという女性たち。ネパール語を勉強しているそう。とろける笑顔のネパール人の先生も居た。すぐ、このフェスティバルの主催者の人をレシーバーで呼び出してくれた。

頼もしい感じのネパール人。完璧な日本語。話を聞いてくださり
「協力しますよ」と。やったあぁ。ついに、、、

飛び上がりそうな私に誰かがふわっと声をかけてくれた
「ご縁を大切にね」なぜかその声が天から降ってきたみたいに感じた。
私は呼吸をして、その女性をみた。

「どうしたら大切に出来るんでしょう」

我ながら子供みたいな質問だった。でも私はいつもその難問と格闘してきた。

その夜、知らないネパール人の人からメッセンジャーでメッセージが送られてきた。
昼間のあの女性、秋山さんから紹介されたとの事で、公演場所を紹介しましょう、と。

カラカラの大地に優しい雨が降るみたいな喜びだった。
お芝居出来る、それも、求められてるところに、喜んでもらえるところに、ちゃんとお届けできる!
そんな気がした。

いつも、海外ツアーで、ああ、っと確信する瞬間がある。

喜んでもらえる、いい公演になるな、という予感。ありがとうございます。秋山さん、、

大切にして行きたいです。すべてを。
その知恵と落ち着きを、いつも保てますように。

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