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アナログ脳の時間感覚

時計はアナログ派かもしれないと思うのは、予定した時間まであと何分あるかなと考える時だった。


ダルトンの時計。近所の雑貨屋さんで購入したもので何年も使っているのだが、今はもう廃盤のよう。

例えば14時ちょうどにオンライン会議が始まるとしよう。時計の針は現在13時40分を指している。14時まであと20分だ。
アナログで認識した残り20分も、デジタルで認識した残り20分も、もちろん同じ時間の長さだけが存在するはずだ。しかしわたしはデジタルで残り20分と考えると、どうしても体感としてどれくらい残り時間があるのか瞬時に判断しづらいらしい。逆に時計の長針が14時ちょうどとなる12の部分、てっぺんまでたどり着くまでに角度が120度になっているのが13時40分の時。この120度分の角度を1分間に6度ずつ進行していくのがどれくらいの長さに該当するのか、というのが体の中に入っているようなのだ。
文字で書くと、デジタルで残り20分と認識する方が圧倒的に簡単そうに見える。自分で書いていてもそう思う。
ここまで文章を書いている間に時計は13時45分になった。残り15分、つまりわたしの中では残り角度90度なのである。

わたしにとって残り角度120度は、そろそろ本格的に準備を開始する時間。
残り角度90度は環境を整え終えるべき時間。
残り角度60度、つまり残り10分となると、もはや準備は完了していて、コーヒーを淹れておく時間。
残り角度30度、つまり残り5分は、もはや時間は残り時間ゼロとみなして良いような状態、つまり全ては今すぐ開始されても大丈夫な状況ということになる。

残り10分くらいからは、デジタルの認識でもアナログの角度による時間認識でも、どちらでも大差がなくなってくるようにも思うのだが、秒針になるとやっぱりアナログの認識のほうが1秒までの間隔を維持できる。1秒でできること、3秒でできること、10秒あればできることというのが、秒針の角度とその秒針の進み具合によって認識されているのだ。

これはかつて天気予報の生放送番組を担当していた時に身についた感覚のように思う。

元々大学が音楽科で、自分が発する音と速度の関係には比較的敏感なほうだったせいもあるのかもしれないが、アナログの表示のほうが時間を正確に把握しやすいというのは、モニター前に設置され、秒単位で時間にピッタリ収めなければならない仕事をしていたことからの影響が断然大きいだろう。

スマホの中の時計表示も一応待ち受けにはデジタル表示があるのだが、アプリで表示できるものをアナログ表示にしている。脳の癖って面白い。

ちなみにわたしが喋る仕事の時に使う腕時計は、ブランド物でもキラキラ可愛いデザインのものでもなく、このなんというか、女子っぽさゼロの、価格も極めてお手頃なもの。一度壊れても、もう一度これを書い直したくらい、とにかくこれが断然に良かった。

ステージ上で強い照明を浴びても、演題に設置してもらった照明が反射しそうになっても、どんな時にも1秒もかからずに瞬時に時間を把握できる時計。時計を見ている素振りを周りに感じさせずに瞬時に時間を把握できるもの。わたしが仕事中に信頼していた時計はこれ一択だった。

今思えば、盤面だけこれにしてベルト部分をもっと華やかなものなどに変えるなどの工夫もできたかなとは思うだが、あまりの使いやすさに、溺愛していたもの。

同じシリーズで文字が少し違うものや、文字盤がパールっぽいものなどもあるのですが、この白とマットな感じじゃないと照明の反射から瞬時に対応というのが難しくて、失敗は許されないので冒険もせず。今になってこれがメンズものだと知る始末。しかし「10秒前です」とか「3分前です」とか言われて仕事をする瞬間は、やっぱり信頼第一で選ぶ時計なのである。

ちなみに映像系の生放送には、スポーツの記録用が如く大きな時計が目の前にあって、10秒前になると赤く光る親切さも兼ね備えた装備があったので、腕時計はそこまで気にしていなかったのだが。

本日のおまけの話
どなたかがYouTubeにアップしてくださっていて、懐かしかったので、下にリンクさせていただきます。懐かしい映像をありがとうございます。自分じゃ持っていない映像なので、改めて見ると可笑しくて、恥ずかしいは何周もして通り越して笑えました。これアナウンストレーニングを全く受けたこともないのに、なぜか急に決まっちゃったお仕事で、頑張って現場で必死にあらゆることをゼロから覚えていた時代です。このあと大手事務所に所属が決まって、発声だとか滑舌だとかMC、ナレーション、司会などに必要なトレーニングをみっちり事務所の内部レッスンで受けていくことになるとは、当時は知る由もなかったのでした。


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