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コーヒーの自家焙煎を始めたらもう後戻りできませんでしたという話

コーヒーをいわゆるグリーンビーンズと呼ばれる生豆の状態で買って、自宅のコンロで焙煎を始めて、もう5、6年になるかと思う。

最初は今よりも小さな器具を使っていた。
一度に約50g前後が焙煎できる銀杏煎り器のようなタイプだ。

これはこれで良かった。
コンパクトだし、一度に焙煎する量も少量でできるので、色々な種類の豆を焙煎して飲み比べたい時にも良いし、何よりもこの家庭用焙煎器と思われる「煎り上手」はプロの焙煎士たちが大きなマシーンで焙煎をする前に、どんな味の豆なのかテストをするときに使っていたりするのだ。どんな形状のコンロでもどんな国でも使えて丈夫で長持ちであることが、プロのテスト焙煎用として愛用されている理由なのかも知れない。

その後、水出しのアイスコーヒーも自宅で頻繁に作るようになり、そうすると豆の消費量が一気に増え、一度の焙煎が50gだと焙煎にかかる労力が大変に感じるようになったため、器材を改善することになった。

選んだ2台目がこちら


ガスコンロの五徳にセットして手回しで焙煎するタイプだ。

2台目を選ぶ際に、主人が手で回すのではなく電動で回転するのがいいんじゃないかとか、電気で焙煎するのがいいんじゃないかとか、色々と調べてくれたのだが、私は焙煎に関しては火を使うことに何か自分の身体的なリズムとの間に重要な関係性を感じてしまっていたので、電気を使うものを今回は選ばなかった。

しかし電気で焙煎したら美味しくないとかそういうことではないと思うので(友人は電気を使うもので焙煎している人も何人かいて、味はしっかり美味しい)、こればかりは好みの問題かなと思う。

アウベルクラフトでの焙煎は一度に最大250gまで焙煎できるようなのだが、あれこれ試した結果、一度に130gから150gくらいの生豆を焙煎するのがコントロールがしやすくて綺麗に仕上げやすい量に思えて、大体このペースで焙煎している。焙煎後の仕上がりは浅煎りにするか深煎りにするかでも異なるが100g前後になるような感じだ。

今では焙煎は日常の料理をするような感覚ですっかり違和感もなく慣れた作業になってしまったが、思い返してみれば焙煎を始める前には色々と不安もあった。
しかしいつもの如く、私がごちゃごちゃと不安だけを考えて動けないでいるうちに夫がサクッとポチッと器具と生豆を購入されて、家庭焙煎を始めることになっていたのである。

焙煎を始める前に私が心配していたのは

1・本当に素人が家のコンロで焙煎して美味しく飲めるものができるのか。

2・コンロの周辺は汚れて大変なことにならないのか。

3・煙が出て火災報知器が鳴ったりしないのか。

4・匂いは大丈夫か。

という点が主だったように思う。

問1・本当に素人が家のコンロで焙煎して美味しく飲めるものができるのか。


答1・できましたね。
  好みの焙煎の深さをズバリ出せるようになるまでは練習回数が必要だったが、美味しく飲めるものを作るという意味では初めての時からまあまあなレベルのものを作ることができた。


使っている主な道具たち。焙煎器・焙煎器に豆を入れるためのジョウゴ・焙煎後の豆を冷ますための網・やけど予防のグローブ・生豆・焙煎器を火から下ろした時用の鍋敷


問2・コンロの周辺は汚れて大変なことにはならないのか。


答2・なりましたね。
  チャフと呼ばれるコーヒー豆の薄皮のようなものが焙煎が進むにつれて剥がれ落ち、それが周囲に飛び散るのは避けられない。コンロ近くにはチャフがついて困るものは置かないようにし、換気扇には取り替え掃除が簡単なフィルターを貼り付け、こまめにフィルター交換をしている。焙煎が終わったら必ずコンロ周りを拭き掃除することになり、結果、コンロ周りが以前よりも綺麗に保たれるようになった。つまり結論としては瞬間的にコンロ周りは汚れるが、キッチンの綺麗度はなぜかアップしたという話。

生豆の種類にもよりますが130gを浅煎り焙煎して一度にこれくらいのチャフが飛び散ります。


掃除を少しでも楽にするために油はね避け用のコンロガードを使っています。


問3・煙が出て火災報知器が鳴ったりしないのか。


答3・今の所ないですね。 
  そもそもエスプレッソを作るようなかなりの深煎りの豆を大量に作ることがないためか、煙が出て困ったことがない。一度に焙煎する量によっても影響があると思う。もしかしたら一度に1キロくらいの豆をしっかりした深煎りに仕上げようと焙煎をしたら煙が困ったことになるのかも知れないが、我が家でそんなことには当分ならないと思われる。通常は浅煎りの豆を好み、酸味のある果実っぽいコーヒーの味を求めているので、浅煎りか中煎りくらいまでを最大で200gを焙煎するような作り方をしている分には問題ない。


生豆色の状態では独特の生っぽい匂いがします。焙煎開始直後の様子。


ほんのり色づいてきたあたりからコーヒーらしい香ばしい匂いがしてきます。煙はまだ無し。


問4・匂いは大丈夫か。


答4・大丈夫ではないですね。 
  焙煎の匂いはしっかり部屋に充満し、自分自身も燻される。副産物としてのスモーク私の完成。私はタバコを吸わないが、タバコを吸う人から常にタバコの匂いがする状態に似ているかも知れない。髪の毛から服から全てコーヒーになる。チャフも舞い上がって頭から降り注いで来たりもする。よって外出直前に焙煎をしないようにしたり、焙煎後にはシャワーを浴びるようにしている。どうしても匂いがついてほしくないものはキッチンのある部屋には置かない。近隣への匂いの影響はといえば、家のグリルで魚を焼いたり、カレーを作ったりしてクレームが来たことがあるような環境だったら難しいかも知れないが、外に漏れ出る匂いは日常の料理の範疇なように思う。



インドネシア・バリの豆を中煎りに仕上げたところ。ドライヤーの冷風モードを使ってチャフを飛ばしながら覚ましています。これくらいの焙煎度になると焙煎器から豆を出す直前に少しだけ煙が出ているような出ていないような、というレベルです。匂いは部屋中しっかりコーヒー。


以上が焙煎を始めてみる前に不安だった4点と、それがどうなったかの個人的な感想だ。

物価が上昇し続ける昨今、外出先でコーヒーを飲んでも値上がりしており、スーパーで安いコーヒー豆を入手しようとしてもやっぱり値上がりしており、じゃあコーヒーを飲む頻度を下げればいんじゃなかろうかとも思うわけだが、ちょっとの労力で美味しいコーヒーが飲めるのであれば、家で焙煎しない手はないと思っている。

コーヒーが大好き。でも節約せねば。カフェに行きたくても気軽に行けない。コーヒーを欲する。しかし高い。
というループになっているコーヒー中毒な場合は、ぜひ自分で焙煎することを一度ご検討あれ。



本日の焙煎。右からインドネシアの中煎り・インドネシアのやや浅煎り・エチオピアの浅煎り



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