見出し画像

「めちゃくちゃ悔しい!」を体験しても。

昨日、6年生の息子の所属するサッカーチーム、大一番のホーム戦、近隣から6年生チームが集うカップ戦「星月杯」があった。

毎年6年生の卒団間近の3月にこの試合がある。いつも練習する小学校のグランドで、家族やチームのOBや後輩たち、沢山の声援を受ける中で行われるこの試合は、彼らに取って特別な意味を持つ。

私は去年の試合も見に行った。去年は6年生が4名と少なく、5年生との混合チーム。メンバーはいつも以上に実力を発揮する獅子奮迅ぶり。トーナメントを勝ち上がり、最後は強豪チームと対決しての準優勝で、見ているこちらも感動で泣けた。

今年も、6年生は6名と少なく、5年生との混合チーム。

一戦目は10:30から。
対戦相手は彼らより格上のチームで、見ているこちらも、ドキドキして、手が冷たい。

実は彼らのチーム、今年あった公式戦24試合中、勝ったのは5試合。
皆一生懸命練習しているけれど、勝てる試合は5回に1回。

でも、この勝負では負けられない、勝ってやる、という気迫が伝わってくる。

みんなめっちゃ声出てるし、いつもの試合と全然動きが違う。

息子のポジションはトップ(ゴールに一番近いフォワード)。
シュートを狙うが相手のキーパーも上手で、前半は0-0。

0-0でもめっちゃすごいと思う。このまま後半も頑張ってほしいよね!
と応援サイドも盛り上がる。

そして後半、前半同様、みんな必死で頑張っていたが、

ゴール際の混戦の中、1点入れられてしまった。

その後も、取り返そうとチームは奮闘。

一緒に見ていた、若いコーチが
「おい、頑張れよ!
ここで終わりたくないよ!」
と叫ぶ。

ホイッスルが鳴り、後半終了。

「星月杯」0-1で、初戦敗退。

選手たちが下を向いている。腕で目を拭い、泣いている子もいる。

対戦相手同士で、「ありがとうございました」と挨拶をした後、

コーチに促されて、選手たちがこちらに並んでやってくる。

そうだ、リーグ戦の後は、敗退したらその後、応援席に挨拶に来るんだったな。

一人一人の表情が見える。みんな目が赤い。

悔しそうに顔が歪んでいる子もいる。

息子も泣いている。

「ありがとうございました」

頑張ったよね。

勝ちたかったよね。

でも負けてしまって、本っ当に悔しいよね。

並んで応援していた私たちも、涙を堪えきれない。
「がんばったね!」
「いい試合だった!」
って声かけたいけど、声が出ない。

皆泣いていた。

その後しばらく、選手たちは待機場所で俯き、静かな時間を過ごしていたが、
ムードメーカーの子から、少しずつ笑顔を見せはじめ、談笑したり、お昼のおにぎりを食べていたりしていた。

そんな中、息子は一人端に座り、ひと目を憚らず、呼吸が荒くなるほど、号泣している。

本当に、めちゃくちゃ悔しかったんだろうな。

仲の良いキーパーの子が、彼に話しかけようかな、と迷い、やっぱりやめるのが見える。


ふと、以前学びの仲間たちと、「今年は人生でどんな感情を体験したいか」と話し合ったときに、その中にいたKくんが言っていたことを思い出す。

「僕、もう本当に、めちゃくちゃ悔しい!って体験をしてみたいんだよね。
そういう体験、今までの人生でしたことがないから…。」

あの時は、なんでKくんそんな体験したいの?!と思った。

息子が今体験しているのは、それだよな。

どれくらい泣いていたかな。

その後コーチが
「おい、まだ終わってないぞ。おにぎり食べろ。」
と声をかけてくれて、静かにおにぎりを食べていた。

そう、試合はまだ終わっていない。

トーナメントからは敗退してしまったけれど、このあと初戦敗退チーム同士のフレンドリーマッチがある。
奇しくも、対戦相手は、年末のカップ戦で初戦敗退した、因縁のチームA。
ちなみに以前も試合したことが5回ほどあるが、一回も勝ったことはない。

選手たちも
「お!あそこが相手か!」
「絶対勝ってやる…!」
とやる気を見せている。

息子も、キーパーにどこかにあった紐をなぜかグルグル巻きに巻かれ、笑顔を取り戻していた。

そして14:40、2試合目。

前半
1試合目より皆めちゃくちゃ声が出てる。
相手チームのハイスピードな動きもついていけていて、すごい!

その時、ふとした拍子に一点入れられてしまった。

やばい。応援席が凍りつく。

その時。

「まだまだまだまだ!!!」

息子のでかい声が聞こえた。

普段、息子はあまり試合中声を出さないんだけど、この試合、自分も、皆を切り替えさせて、絶対勝とうとしてる。

その直後、チームメンバーの一人がロングシュートを決めた!
更にもう一人も、続け様に2点!!!

応援サイド「やったー!!!」と大いに盛り上がる!!!

前半 3-1で終了。

そして後半、守りきり、3-1で試合終了。

どん底から持ち直し、掴み取った一勝だった。

私はこの日カメラマンだったのだが、
最後に撮った記念写真では、皆が笑顔でほっとした。

同時に、対戦相手が発表された数週間前から、
息子が、彼らが、もしかしたら、一回戦で敗退してしまうこと、
その辛さを味わうかもしれないことが、私は怖かったことを思った。

実際にそれは起きてしまったけれど、
めちゃくちゃ悔しくて、涙しても、呼吸がやばくなるくらい泣いても、
十分感じきったら、彼らは先に進める。

そう気づかせてくれた星月杯だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?