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歌うときに考えていること

歌を歌うことはフィギュアスケートの演技に似ている。と、思う。わたしはスケートの選手ではないからあくまでも想像、イメージの話だけれど。なんとなく言いたいことわかるという人もあるかもしれないし、え?と目が点になる人もあるかもしれない。

歌には即興的なものを除いて、当然だけれどメロディと歌詞がある。そしてメロディにも、歌詞にもそれぞれ大事な部分、つまり強調したい部分と、そうでない部分がある。この大事な部分をどうやって伝えるかということが、どんな風に歌うかということなのかなと思う。

いいメロディやいい歌詞など、ここぞと思う部分にきたら少し前から助走をつけて呼吸を整える。そして4回転ジャンプを飛ぶ。難易度や表現の種類によって、それはターンだったり、連続のジャンプだったりもする。

喩えばかりでわかりにくいかもしれないので、一つ例をあげてみようかな。

例えば「のこされし者のうた」。この曲はこぶしをそこかしこに入れて歌っているが、1カ所盛大に入るところがある。「悲しくて心がはりさけそうだ」の「そう」のところ。

ここは、音符でいうと5連符である。つまり、「そおおおおおだ」の「お」の部分の音程が全部違ってGFE♭FE♭となっている。さらに一つめの「お」(G)は裏声、あとの4つは地声にすると決めている

決めていると書いたのは、わたしはそう歌おうと決めて歌っているということで、別に絶対そうでないといけないというわけではない。もっといえば、そもそもこぶしなんて入れなくてもいいし好きなように歌っていいということはある。ただ、何をするにしても考えてやっている

話がそれました。というわけで「はりさけそうだ」の部分は、わたしにとっては歌の(メロディの)キモで、そして難所なのである。これが4回転ジャンプの意。だからここが決まるとガッツポーズはしないまでも「よっしゃ!」という気持ちにはなる。一方で少し調子の悪いときには、5連符が4連符とか3連符に空振りしたりすることもある。

次にサビの、「よぞらのほしも」の「よぞらの」。

ここは「よ」(地声)から「ぞ」(裏声)は一オクターブ飛ぶ。ここは3回転くらいか。そして、「ら」(地声)「の」(裏声)。これは音も飛んでないし難易度からしたら2回転くらいだけど、地→裏→地→裏の連続は少し難しい。ジャンプのコンビネーションって感じ。

難所が近づくと少し緊張する。できるだけさりげなくなめらかに歌いたいから。仮に失敗したとしても気持ちを切り替えて次のジャンプは飛べるようにする。ほら、スケートの演技みたいでしょう?

「のこされし者のうた」はメロディの例だけれど、歌詞の場合も難所はある。これはまたいつか別な機会に書こうと思う。

そういうわけで、いろんな事を考えながら演奏しているので脳が忙しい。特殊な目で見たら小さい火花がスパークしていることだろう。ライブが終わるとお腹がすいたり甘い物が欲しくなったりするのはそのせいかな。この頃は、配信ライブをしても打ち上げができないのでつらい。家に帰って夜中アイスクリームを食べるのが関の山だ。もちろん本物のスケーターなら食べないだろうけどねー。



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