荒木真理子(気象予報士)

テレビ朝日で気象キャスター・解説委員を経て、NHK災害気象センターで気象解析やキャスタ…

荒木真理子(気象予報士)

テレビ朝日で気象キャスター・解説委員を経て、NHK災害気象センターで気象解析やキャスター育成を担当。はずさない、見逃さないをテーマに日々、解析中。短い時間で端的に伝える気象番組での経験から『10秒で伝わる話し方』を上梓。有料記事は、自然災害へのお見舞金にさせていただきます。

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プロフィール~空を見上げて思うこと~

「もうすぐ雨が降るから帰ろう」 5歳の夏休み、私は祖父と一緒に埼玉の熊谷で過ごしていた。 「え~、まだお日さま出てるのに…」 祖父の家に着いた途端、大粒の雨が地面を叩きつけてきた。稲妻が空を砕いている。 窓の外を眺めながら、思った。 私のおじいちゃんは、預言者なんだ。 祖父は、アジアを航海する貿易船の乗組員だった。 未だ天気予報もない時代、 空の色を伺い、風の音を聴き、肌で湿り気を感じながら、 空模様を予測してきた。 ヒューって冷たい風が吹き出したら、どしゃ降りになる

    • 【風の声を聴く】'23.12②~日本海低気圧による高温と冷気層~

      本当に年の瀬迫った12月半ばの天気でしょうか。富士山の雪化粧もまだら模様。 15日は九州や北陸で、16日は関東で、25℃以上の夏日を観測しました。(気象庁HPより) この天気傾向に、いよいよ12月下旬、大きな変化が起こりそうです。詳しく見ていきましょう。 ==== 目次 ~2023.12.17~ ==================== ◆できごと【12月3日(日)~12月16日(土)】 ◆解析のポイント『日本海低気圧による高温と冷気層』 ◆旬のキーワード『早期天候情報

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      • 【風の声を聴く】'23.12①~“忍者雲”を捉える~

        気温のアップダウンが激しい11月でした。 札幌では、最高気温が23日に17.3℃だった後、24日には10.0℃、そして25日には-1.4℃と急転直下の極寒に。(気象庁HPより) 東京でも、24日に最高気温24.2℃を記録した後、25日には13.5℃、26日には9.5℃と、夏日一歩手前の暖かさからひと桁気温の真冬のような寒さに様変わり。(気象庁HPより) 北から寒気が流入したからですが、関東平野での寒さは単なる寒気の影響ではありません。晩秋から早春にかけて頻繁に天気や気温の

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        • 【風の声を聴く】'23.11②~寒冷渦と地上低気圧の解析~

          夏日から師走の寒さに急転直下! 事前にわかっていたにも関わらず、体調を崩してしまいました。みなさんは大丈夫でしょうか。身体に堪える急激な変化でした。秋らしい洋服を着る間もなく、ダウンコートに身を包んでいます。 「暖冬、暖冬といわれているのに、どうしてなの?」という声も聞かれます。暖冬傾向は変わらないのですが、時として強烈な寒気がおりてくることがあるのです。 今回は、寒冷渦の解析と暖冬傾向に焦点を当てていきます。 ==== 目次 ~2023.11.19~ ==========

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        プロフィール~空を見上げて思うこと~

          【風の声を聴く】'23.11①~上空の温度場と異常気象~

          11月というのに、街にあふれる半そで姿。季節外れの夏日が続出しました。東京都心でも、11月4日は2019年以来14年ぶりとなる11月の25℃超。(気象庁HPより) 極端な気象現象の裏には必ず原因があり、偏った天候が相次ぎ、思わぬ災害がもたらされることさえあります。今回、気を付けなければならないのはどんなことなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。 ==== 目次 ~2023.11.5~ ===================== ◆できごと【10月15日(日)~11月4日

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          【風の声を聴く】'23.11①~上空の温度場と異常気象~

          【風の声を聴く】'23.10②~猛烈な台風15号~

          10月1日に30℃に迫る暑さだった東京。9日スポーツの日の気温は16℃台にとどまり、晩秋の肌寒さになりました。 ようやく過ごしやすい秋晴れとなった10月第2週、通勤タイムにはやわらかな秋風に乗って、キンモクセイの香りが漂います。 こんな天候が長く続いてくれればいいのですが、季節の歩みは行きつ戻りつ。日ごとの変動が大きく、天気予報の需要が大きい時期です。しっかり予報を組み立てていきましょう。今回は、10月らしい発達を見せた台風15号を振り返ります。 ==== 目次 ~2023

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          【風の声を聴く】'23.10②~猛烈な台風15号~

          【風の声を聴く】'23.10①~ぶり返す猛暑と深まる秋~

          季節が進みました。 今年の東京の30℃以上の日数は90日を数え、およそ1年の4分の1にあたる期間も、真夏日で過ごしたことになります。一時、猛暑がぶり返したものの、着実に秋は深まっています。10月には、上空の寒気が主役になる日も出てきそうです。今回は、歴史に残る猛暑となった日にクローズアップ、また知っておきたい話題の言葉をピックアップします。 ==== 目次 ~2023.10.1~ ===================== ◆できごと【9月17日(日)~9月30日(土)】

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          【風の声を聴く】'23.10①~ぶり返す猛暑と深まる秋~

          【風の声を聴く】'23.9②~難度の高い台風13号の影響予測~

          熱帯由来の非常に暖かく湿った空気で、9月上旬は関東付近で2度も大雨になりました。最初は、台風12号から変わった熱帯低気圧により、2度目は台風13号周辺の湿った空気で、いずれも局地的な前線ができました。 さらに、9月中旬は、秋雨前線の南側で大気の状態が不安定になり、都市部で大規模雷雨になりました。 厳しすぎる残暑もようやくゴールが見えてきました。足踏み状態だった季節は、これからようやく前進です。 今回は、四半世紀に渡って天気図を見続けてきたにもかかわらず、直前まで翻弄されてしま

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          【風の声を聴く】'23.9②~難度の高い台風13号の影響予測…

          【風の声を聴く】'23.9①~勢力の強い高気圧と寒冷低気圧~

          トリプル台風に次ぐ、トリプル台風…記録的な猛暑に、猛烈な雨。天気の話題に事欠かない8月の終わりとなりました。なぜこれほどまでに突出した気象現象が相次いだのでしょうか。 そして、秋はどうなるのでしょう。 9月上旬、天気の傾向がガラッと変わる可能性が出てきました。 ==== 目次 ~2023.9.3~ ===================== ◆できごと【8月20日(日)~9月2日(土)】 ◆解析のポイント『勢力の強い高気圧と寒冷低気圧』 ◆旬のキーワード『異常気象分析検討会

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          【風の声を聴く】'23.8②~台風7号と大雨特別警報~

          台風6号が過ぎ去ったかと思いきや、立て続けに襲ってきたのが台風7号。 お盆期間に日本列島を直撃、今年初めての上陸台風となりました。台風7号では、上陸地点から離れた鳥取県で、大雨特別警報が出されました。また日本海に抜けた後にも静岡県内で大雨となり、東海道新幹線に大きな影響が出ました。今回は、この台風7号を振り返ります。 ==== 目次 ~2023.8.20~ ===================== ◆できごと【8月6日(日)~8月19日(土)】 ◆解析のポイント『台風7

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          【風の声を聴く】'23.8②~台風7号と大雨特別警報~

          【風の声を聴く】'23.8①~複雑な動きをする台風~

          とにかく毎日暑い! 焼けつく日差し、肌にまとわりつく湿気…連日うだるような暑さが続いています。連日どこかで39℃台をマークする日々、そしてついに、8月5日には福島県内で40℃を突破してしまいました。 長い長い猛暑のトンネルの出口はどこなのでしょう。 大気の流れを変えることができる力を持つのが、台風です。台風の接近に伴って、しだいに雲が広がり、暑さはいったん収まる公算が大きくなってきました。猛暑の次に対策をとらねばならないのは、台風。複雑な動きをする台風の動向を見ていきましょう

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          【風の声を聴く】'23.8①~複雑な動きをする台風~

          【風の声を聴く】'23.7②~線状降水帯の発生予測~

          「特別警報」の運用が始まって10年が経とうとしています。 特別警報は、警報の発表基準をはるかに超える大雨などが予想され、重大な災害の起こるおそれが著しく高まっている場合に発表され、最大級の警戒を呼びかけるもの。つまり、その場所が、数十年に一度の、これまでに経験したことのないような、重大な危険が差し迫った異常な状況にあることを意味します。 今年も、大雨特別警報が発表されました。7月10日、九州北部です。土砂災害や川に流される被害が相次ぎ、死者や行方不明者が出ています。 今年は、

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          【風の声を聴く】'23.7②~線状降水帯の発生予測~

          【風の声を聴く】'23.7①~線状降水帯の発生予測~

          沖縄・奄美が梅雨末期の大雨を切り抜けて、梅雨明けすると、今度は本州が梅雨最盛期。7月のスタートは、広く記録的な大雨に見舞われました。1年で最も大雨に気を付けたいシーズン。いったん立ち止まって気象災害の状況や過去の事例を確認しておきたいところです。 ==== 目次 ~2023.7.2~ ===================== ◆できごと【6月18日(日)~7月1日(土)】 ◆解析のポイント『線状降水帯の発生予測』 ◆旬のキーワード『災害をもたらした気象事例』 ◆今後の見通

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          【風の声を聴く】'23.6②~寒冷渦による局地的大雨~

          梅雨には「陽性」と「陰性」がある、といいます。陽性は、照ったり降ったり変化の大きい天気で、陰性は、シトシトと雨が降り、ジメジメとした天気が続きます。関東では、例年、梅雨の前半の6月は、オホーツク海高気圧から吹き込む北東風で「陰性」となることが多いのですが、今年は明らかに「陽性」の梅雨となっています。 スタートダッシュで大雨となった今年の梅雨。6月半ばは、まさに「降ったり照ったり」がテーマと言えそうです。「陽性」の梅雨、気を付けたいことは何でしょうか。 ==== 目次 ~20

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          【風の声を聴く】'23.6②~寒冷渦による局地的大雨~

          【風の声を聴く】'23.6①~スーパー台風と梅雨前線~

          九州~東海は、5月中の例年より早い梅雨入りとなり、6月の初めは梅雨入り早々、前代未聞の広範囲での大雨になりました。たった一日で雨量が500mmを超えた地域もありました。(気象庁HPより) 今回は、この大雨をもたらした梅雨前線と台風の関係、次々に発生した線状降水帯について振り返ってきましょう。 ==== 目次 ~2023.6.4~ ===================== ◆できごと【5月21日(日)~6月3日(土)】 ◆解析のポイント『スーパー台風と梅雨前線』 ◆旬のキ

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          【風の声を聴く】'23.6①~スーパー台風と梅雨前線~

          【風の声を聴く】'23.5②~大気不安定による急な雷雨~

          びっくりするような暑さになりました。 気象庁のHPで最高気温の分布をみると、紫色の35℃以上の表示が出ていて、今が5月半ばということが頭から吹っ飛びました。(気象庁HPより) 昼間は真夏のような暑さなのですが、朝は10℃そこそこ。内陸部を中心に、日較差が20℃以上という地域が多くなりました。また、その後の雨で、各地とも一気に気温が下がって、日ごとの最高気温の変化も大きくなりました。 一日の、日ごとの、寒暖差の大きさを考えると、まだ5月なのだと実感せざるを得ません。 そして、

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          【風の声を聴く】'23.5②~大気不安定による急な雷雨~