わくわくするなら、やってみようよ。―Interview #02 うたちゃんの未来の拓きかた

「あ、いいな」
目に映ったきらりと光る魅力的なもの。
少し歩いて、手を伸ばせば届くのかもしれない。

それなのに、伸ばした手をおろしてしまう。
「似たものを持ってるし。後でもいいや」

どうして大人になればなるほど、心にブレーキをかけてしまうんだろう。好きなものが目の前にあるのに、何かと理由を並べては「ほしくなかった」と自分に言い聞かせたりして。

でも、そのきらりと光るものを、ぜったいに逃さない人もいる。友達のうたちゃんは、そのタイプ。いつでもやりたいことに溢れ、たくさんの友達に囲まれて笑顔を見せるうたちゃんに、一歩踏み出すためのパワーを分けてもらいました。

(Interview : 2020/06/06)

*PROFILE*
うたちゃん。33歳OL。学生時代、アメリカに1年間留学。ホテル業界で働いたのち、ドイツでの7か月間のワークホリデー。帰国後は企業受付→外資会社→現在は秘書。目黒のシェアハウスに住んでいる。人脈が広く、本人いわく「いちばんの財産は友達」。好きなことは、友達とのおしゃべり、お酒、カラオケ。

つながりって、おもしろい

―いろんな職業を経験しているよね。

そう。ホテルの専門学校に行って、はじめホテルに就職。仕事はすごく楽しかったんだけど、”楽しい” と “大変” は比例していて、ずっとできる仕事じゃないなと思った。

そんなとき、ドイツで就職していた親友が「YOU来ちゃいなよ☆」というノリで誘ってくれたの。「寮を出て家を借りるから、またルームシェアしない?」って。
はじめは「会社をやめられないし、行けないよ」と断っていたんだけど、何度も誘われるうちに「どうして行けないんだろう? 会社やめたら行けるじゃん」って思うようになったのね。それで、ホテルの仕事は1年半でやめて、ドイツにワーホリに行ったの。7か月間、バイトをしながらヨーロッパじゅうを旅行して、楽しかったな。

そして帰国後、企業受付。つなぎでやろうと思っていたのに、居心地がよくて5年くらい続けちゃって。「まずいまずい、ずっと接客業だから事務仕事もできない。転職するなら20代のうちにしなくちゃ」と思って、20代後半で転職。スポーツの放映権を扱う外資の会社に就職した。でも、3年経ったときに会社が倒産してしまって。どうしようかと思っていたら、お世話になっていたクライアントの方が「会社がつぶれたんだって? よかったら、いま募集があるからうちにおいでよ」と声をかけてくれて、そこで働くことになった。それが今の職場で、秘書をしているの。


―すごい。人とのつながりで人生が進んでいる!

行き当たりばったりな人生だけど、結果オーライって感じかな(笑)。人とのつながりで進んできたから、運が悪ければきっといろいろつまずいていたんだろうなと思う。

大人になると、コミュニティってどんどんなくなるじゃない? 学校のつながりか、職場しかない。だから、SHElikes(シーライクス)6curry(シックスカレー)のような、”大人になってからのつながり” っておもしろい。目黒のシェアハウスに住んでいるのも、人とのつながりがほしくて選んだことなの。
もちろん、部屋から一歩も出ない日もあるよ。わたしはステイホームも苦じゃないタイプ。まあもともと、思春期のころは全然自信がなくて、接客業なんて絶対にしたくなかったくらいだし。


接客業なんてやりたくなかった

―接客業がしたくないって、ほんとう!?

そう、信じられないでしょ(笑)。中学生のころは、自分に全然自信がなかったの。男子と話すのが恥ずかしくて、目を見て話せなかった。

わたし、両親や姉からかわいがって育てられたんだよね。だから、なんとなく自分はかわいいほうの類の人間なんだと思ってた。でも、中学生のときに、教室の窓に映った自分の爆笑している顔を見て、「全然かわいくないじゃん」と急に気づいたの。その落差がすごかったんだよね。こんな顔して人と話していたなんて、って急にコンプレックスに感じ始めた。きっと思春期だったからなんだけど。

だから、人生で初めてのアルバイトは、裏方の仕事がいいなと思って選んだイトーヨーカドーの精肉コーナー。それなのに、若い女の子だからっていう理由だけで、量り売りをする対面台のところにばかりアサインされたんだよね……。


―裏方を選んだのに、接客に立たされたときはどう思った?

めっちゃ嫌だった(笑)。接客したくなくて入ったのになんでこんなところ、と思ったよ。
そもそも、バイトの面接で「レジ打ちに入って」と言われたのを断っていたの。面接官と交渉して、お互いの妥協ポイントが精肉コーナーだったわけ。せっかくあんなに面接官と闘ったのに、結局対面じゃん! って思った。

でも、対面台で量り売りをしているうちに、ここに買いに来る人はお肉を欲しいだけじゃないんだって気づき始めたの。

若い人たちは、陳列されている商品にほしい量がないから対面台に来る。でも、おじいちゃんおばあちゃんは、同じような量がパックで売られていても対面台に来るんだよね。そして、わたしがパッキングしている数分のあいだに、「今日はもう天気が悪くてねぇ」とか「孫が来て」とか話してくれる。パックされているお肉なら近くに売っているのに、わざわざこちらに来るということは、人と話したいのかなと。

わたしは気楽な聞き役だったし、相手は地元のおじいちゃんおばあちゃんだから自分の容姿も気にならないし、なんだか喜ばれるのっていいなと思った。「ありがとう」ってみんな笑顔で帰ってくれるから。こうやって一対一で向き合って話すのって楽しいかもしれない、って思い始めたの。そして、次のアルバイトはバリバリの接客業を選択した。


とりあえずやってみよう!

―次のアルバイトは何をしたの?

水道橋のホテルに入っているレストランでのアルバイト。メンバーは大学生が多かったから、わたしがいちばん年下。かわいがってもらったなぁ。

そのアルバイトで、笑顔を褒められるようになったの。わたしも、笑顔は誰でもかわいい、笑顔で悪いことはないなと思うようになった。人にどう見られているのかも、前より気にならなくなった。自分が心配するほどまわりはそんなに自分のこと考えていないのかも、って。いい意味でね。

レストランでアルバイトするなんて、それまでの自分じゃ考えられないことだった。やってみて、楽しいし自分のためになるなと気づいたんだよね。この成功体験があったから、とりあえずやってみよう、こわくてもやってみよう、と思うようになったのかも。


―初めて出会ったときから、「やってみよう」パワーが素敵だなと思ってた!

今では、過去の自分を忘れちゃうくらい、ポジティブだし楽観主義になったと思う。やらない後悔はしたくないな。やって後悔したことはないから。SHElikesの体験レッスンに行ったときも、わたしだけやる気で、サクラみたいになってたよ(笑)。

わたしはこれといったスキルがないのが悩みで、会社も倒産したことがあるから、自分で稼げる力が欲しかった。それで「何かがしたい」という漠然とした思いでSHElikesの体験会に行ったの。

入会する決め手になったのは、コンセプト。女性を応援しましょうっていうのがすてきだなと思った。それに、講師が生き生きしていて、本当に好きでやっているんだろうなと伝わってきたんだよね。金を儲けてやろうとか、みんなが入ってくれたら儲かるぜとかそういう雰囲気じゃなくて、「みんなにも楽しんでほしい」と思っているのが伝わってきた。

だから、説明を聞き終わったときには、絶対やろう!って思ってた。でもまわりは「興味はあるんですけど、会社が副業だめなのでそのうちやります」などと言い訳をしていて。「え、みんな興味あるのになんでやらないの? いつかやるなら今やったほうが絶対にいいと思う!」ってまわりを説得しちゃった。


―やらない理由を “言い訳” って言い切るのが、うたちゃんらしい(笑)。

うん……もちろん、明確な理由があるなら無理に入会することはないと思う。でも、その人たちが「ここで学んだら今の仕事に活かせる」「副業もできそう」って価値をわかっているのに「…でも今じゃない」って言うのを聞いて、「なんでー!」って突っ込まずにはいられないくらいだったよ(笑)。

SHElikesの存在を知れたのもラッキーじゃない? せっかく興味をもって体験会まで来たのに、自分にいいことしかないと思っているのに……それなのにやめるのはもったいない。
いまタイミングじゃないからもう少し? もう少しっていつ!?と思った。

この人ってずっとやらないだろうなと思った。自分の環境が落ち着いたらとか、今度やろうとか言っていたら、じゃあ何をもって環境を落ち着くっていうの? 言い訳だなと。


自己投資にお金をかける

―その人たちは、どうして “言い訳” をしてしまったんだと思う?

何か始めることがこわいんじゃないかな。
たとえば、入会金が0円ですって言われたら、それはそれでやらないと思うんだよね。「お金かかってないし、やらなくていいな」って思っちゃう。安くはない、でも払えない金額じゃない。払えない金額じゃないのに入らないのは、始める勇気がないんだろうと思う。

わたしは、自己投資にかける金額は躊躇しちゃいけないと思ってる。株や何かではなく、自分に投資するのがいちばんいい。――って他人からの受け売りなんだけど(笑)。

過去のわたしだったら、20万円近い入会金に「そこまで払ってわたし勉強するかな?」とひるんでいたかもしれない。でも、自己投資と捉えれば、いいお金の使い道だなと思うんだよね。自分にプレッシャーをかけるためのお金は必要。


―覚悟を決めるのにちょうどよい金額だよね。

そうだよね、絶妙な金額。払えなくはないけど勇気がいる、みたいな。
実際、入会してみてとてもよかった。定期的に会えるグループがあるし、講師も受講者も前向きで意識の高い人が多いから、そういう人たちの話を聞くだけで刺激を受けるよね。


素直な「わくわく」を大切にしたい

―「とりあえずやってみよう」のマイナス面はある?

何か新しいことに手を出すことによって、それまでやっていたことをやめるのはよくないなと思う。正直、中途半端に終えてしまったことは結構あるから。やろうと思って買っていたのに、途中で飽きて捨ててしまうものとか。
興味あるものをとりあえずやってみるんだけれど、ある程度やるとつまずいて、まわりの人のほうがすごく見えてきて、「自分がこれをやっても大してできない」「他の人がやったほうがよくない?」と思い始めてしまうんだよね。そうすると興味を失って、新たに出てきた魅力的なものに意識が逸れてしまう。そこは直したいところかな。興味が他のところに湧くのはいいけれど、ちゃんと終わらせようと思う。
今はWebデザインの勉強を中断しているけれど、それは飽きたわけではなくて、デザインや見せ方も学んでからやりたいと思っているから。他の興味が落ち着いたら戻ってこようと思っている。


―続けるために、寄り道をするということ?

うん。はじめのうちは「中途半端にせず、これを終わらせてから次のをやろう」って思っていたけれど、そうすると全然進まなくて……。PCに向かう時間も遠のいていた。でも、少し気分転換にWebデザインだけでなく周辺のものも覗いてみたら、やる気も起きたの。だから、別に興味が移るのは悪いことじゃないなと思うんだよね。もともとやりたかったことと、大きく逸れてはいないから。関連しているならいいかなと思う。


―飽きっぽいし続かない人は、始めるときに勇気がいるかも……

わたしは「自分には合わなかった」ということを見極めた、と思うことにしている。とりあえずやってみて、ハマるところを探してみればいいんじゃないかな。
たとえば「月に1万円払うのは損」とか「もう飽きたな」と思ったら、もうそれは、行くことにわくわくしていないわけじゃない? だからわたしは、ジムもころころ変えてる。飽きたら別のところに変えるのは悪いことではないと思う。
やることがストレスになるくらいなら、やめたほうがいい。本当にやる気が起こらないことは集中力が続かないから。自分が楽しい、わくわくする、自分のためになる……ってポジティブな感情で始めたものが、ストレスのほうが上回ってしまうくらいなら、やめてしまえばいい。そして、またやりたくなったら再開すればいい。
自分の気持ちに素直でいいんじゃないかな。今続けていることは、自分に合っているから。合わないものはやめていけばいいだけ。


―”言い訳” をせずに「やってみよう」と思うためには?

自分の心が少しでも動く、わくわくするなら、今やったほうがいい。
今より若いときはないから、今よりベストタイミングはないと思う。せっかく見つけたその運を、つかみ取るのか、逃してしまうのかは自分次第。その運、つかんだら? と言ってあげたいな。


あとがき

この先、大人になったらもっと、新しいことを始めようとするときに「今さら?」って躊躇してしまいそう。そんな弱音をこぼしたら、最後にうたちゃんが話していました。

「気づけた君がラッキーだ!」ってことじゃない? なんだか松岡修造みたいだけど(笑)、今必要だから気づいたんだと思う。
もっと早くやっておけばよかったと思うことはあるけれど、今だからこそ気づけたし、必要だと思ったはず。だから「今さら」などと思わずに、始めることに意味があるんじゃないかな。

興味のあるものにどんどんチャレンジしていくうたちゃん。いつもパワーをくれてありがとう。このnoteを読んでくださった方が、少しでも「何かやってみよう」と感じてくださったらうれしいです。

わたしも、わくわくしている自分でいたいな。


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