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卒業式の日に娘から手紙が来た

卒業式の朝、「これ」とぶっきらぼうに渡された封筒。「ほんとは卒業式の間に渡す予定だったけど、卒業式にお母さん行かないから今渡す。時間なくて一気に書いたから、泣いたりさせられないから」と一息に言って、娘は出ていった。

時節柄、中学校の卒業式は、生徒と先生だけでこじんまりやるスタイルになっていた。

「卒業式の間に」ってことだから、私は通勤電車のなかだ。約束を守って、電車の中で恐る恐る封を開ける。長いことお習字を習わせたにも関わらず、クセのある字が並んでいた。

「お母さんは働いているイメージで、二人の時間が少ないことはありましたが、私にとっては仕事をするお母さんはかっこよく尊敬する存在です。」

ああ、やっぱり時間が足りないと感じていたんだよね、私も正直そう思う。だから仕事を休職して二人の時間を作ったこともあったよね。はるばる四国までテントを担いで二人でキャンプしに行ったっけ。河原で野営して、夜中の放水で流されそうになったのはいい思い出だ。

「お母さんがいろんな事にチャレンジする姿が大好きです」

思春期の娘なりの気遣いもあって、うまいこと書いてくれてる部分もあるんだろう。だけど、私は、もらった言葉はすべて素直に受け取ることにしている。

だとすると、初めての育児に生身の私でぶつかってきた15年間は、意外と悪くなかったんじゃないかなって思う。娘からこんな言葉をもらえるなんて、こんな時期じゃなかったら、お気に入りのお店で乾杯して酔いつぶれてもいいくらいの事案だ。

心から卒業おめでとうと伝えたい。
娘も私も。
また、お互い次のステージに進もう。

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