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そして、バトンは渡された

たくさんの方が書いていると思うので、わたしは超個人的な感想も含めての備忘録として書きます。
ネタバレもありますので、未見の方は読まないでください。







原作の瀬尾まいこさんは一方的に縁がある方で、作品も全部を読んだわけではないけど、淡々と綴られる中に静かで優しい空気が流れるのがとても好きな作家さんです。
なので、今回は珍しく公開前に原作を読みました。
一気でした。
めちゃくちゃ面白かったので、「映画でこの面白さを越えらるんだろうか」といらぬ心配をしたくらい。
それともうひとつ。
実はこの映画、「泣き」を煽る宣伝がちょっと苦手でした。
だって、瀬尾さんの原作自体が、あとからじわじわと余韻が押し寄せてくる物語だから、これを監督があえて「ドラマティックな感動作!」にすることはないだろうと思ったからです。
映画の宣伝は監督など制作側ではなく、配給側で行われるのは知っていたので、この宣伝の煽り文句にはできるだけなびかないように気をつけていました。

そしてそのヨミは当たりでした☺︎
じんわり涙は溢れましたが、わたしはそれよりあったかい気持ちになった。
これは、監督も芽郁ちゃんも圭くんも共通して話していたこと。
号泣ではなく、気づいたら一筋涙が流れていたという感じでした。

それはさておき本編。
原作を読んでいたから、散りばめられていたトリックには割と気がついた方だと思います。
いちばん違和感があったのが、卒業式の合唱のシーン。
歌声に誰かの声が混じってる?と思ったんです。
そうしたら車椅子の梨花さんが見えたから、「あ、梨花さんの歌声か」と。
だって、梨花さんと森宮さんは高校の同級生で、森宮さんは卒業式に「旅立ちの日に」を歌ったと話していたから、だから梨花さんも歌えるはずだ!優子ちゃんのピアノに合わせて梨花さんも歌っていたんだー!と納得していたのですが、パンフには書いてないですね。
違うのかな。
でも、2回目に観に行った時もやっぱり誰かの声が際立って聞こえてきたから、わたしはあれは梨花さんの歌声だって思っています☺︎

梨花さんが亡くなったことにしたのは、映画化するにあたって、物語に起伏が必要だったということなのかなと思います。
原作の瀬尾さんも監督との対談(ダヴィンチ)で「なぜですか?」と聞かれていました。
監督の答えは、あまり答えになっていない気がしたのでたぶんそういうことかなと😅
でも、違和感はなかったです。
うちに帰って、「え?原作の梨花さんって優子ちゃんの結婚式に来てたよね⁈」と思い返したくらい。
だから、わたしは映画のラストも納得しています。

それよりあの結婚式のシーンでぐっときたのは、自分のことを思い出したからです。
わたしも遠い過去に結婚していたことがあって、その結婚式にあんな風に父と腕を組んで歩いたなって。
同じく教会の挙式で、優子ちゃんと森宮さんみたいに直前まで父と話をしていて、あんな風に扉を開けてもらったなって。
ウェディングドレスとヘアスタイルとベール、そして持っていたブーケまで優子ちゃんのとよく似ていて、何よりわたしが圭くんのファンになったのは圭くんの中に亡くなった父の面影を見つけたからなので、このシーンはなんていうか感動とも少し違って、久しぶりに父に会えた気持ちになりました。

そんな超個人的な思いも抱きつつ観終えた後は、とても温かくて爽やかな気持ちになっていました。
原作のラストシーンが大好きだったので、あの最後の一行を、森宮さんと早瀬くんのあんな素敵なシーンにしてくれた監督に拍手を贈りたいです。

そして最後にタナカーとしては、圭くんの森宮さんは本当に素晴らしかった✨✨
優子ちゃんも梨花さんも、本当にピッタリで素晴らしいキャスティングだと思ったけど、圭くんに至っては「森宮さん」でしかなかった。
特に誇張して演じられていることは何にもないのに、あんなに自然に「森宮さん」でいる役者田中圭は本当にすごい!
改めて圭くんの表現力の高さを噛み締めることができる映画でした。

さて、3回目はいつ観に行こうかな。

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