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【新聞】“挫折や苦悩を積んだ人は佇んでいるだけで匂い立つような、気高い風趣をまとっている”

今、紙の新聞を読んでいる人はどのくらいいるのかしら。テレビが登場してからニュースはテレビの方が先に伝えるようになり、スマホが行き渡ってからは新聞で初めて知るニュースはまずない。時々新聞を取るのをやめようかと思わなくもないけれど、読み物として、書評やコラム、小説などを楽しむことが多い。

さて、日曜日朝。
日経新聞の文化欄はいつも楽しみにしていて、1月29日に木内昇さんが書いておられるのもとてもよかった。

タイトルは『目前心後』という聞き慣れない四文字熟語で、なんでも世阿弥が記した舞の心得だそう。文筆家が書くとこうなるのか、と思う文章で日頃私の頭の中をぐるぐる回っていたことがそのまま炙り出されていた。

定義の曖昧な「幸せ」にこだわらずに少し引いたところから一所懸命生きているなと自分を眺めるくらいが良いという。

締めくくりがやはりうまくてタイトルに使わせていただいた箇所。

挫折や苦悩を積んだ人は佇んでいるだけで匂い立つような、気高い風趣をまとっている

 

それは風雨にさらされた岩肌や流木の思いがけない美に喩えられてもいる。

今朝、気の合う友人がこのコラムを送ってきて二人でまた読んだ読んだ!と共感しあった。日経新聞仲間なのだ。

周りを見回して家族や親戚、友人知り合い同僚とそれぞれが一所懸命だなあと思う。noteを読んでいても皆さんが発信されること自体一所懸命。映画を観ても作る人も宣伝する人も皆一所懸命。(だからたまに一緒懸命じゃない人を見たらふざけんなと思ったりするのかも)
寒さの中にも木の芽が膨らんだり蕾をつけたりするのにも自然の一所懸命さを見出すこともできる。

木内さんが書いておられる「少し離れたところから眺めて」の一所懸命というのがまたにくい。その冷静さは中年なら持ち合わせていてもいいと思う。

子どもの話によると就職の面接で挫折とそれを乗り越えたエピソードを聞かれることが多いらしい。若者よ、何と答えるの?おばさんだってそんなこと聞かれてうまくまとめられないよ。本当の苦悩や挫折を人に聞かせるなんてとても難しい。

気高い風趣とはこれまた大変。俗世まみれの今日この頃、だいぶ精進が必要だ。まだまだ命の限りガンバリマス。

一月も終わりに近づきました。1週間の良いスタートになりますように。


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