【ピアノ】上原ひろみと矢野顕子には鳥肌がたった
5年ほど前に住んでいたアメリカの小さな町の大学の講堂で初めて上原ひろみさんのピアノに出会った。度肝を抜かれる熱量と才能に感激したのと同時に観客の少なさに残念な気持ちを抱えて帰った。
コロナ禍を経て今度は東京国際フォーラムで天才に再会できた。しかも大ホールが満席で友人は何度も抽選に外れたという。NYはじめ世界でコンサート活動をしている上原さんだがここ日本ではその知名度が抜群だ。
早めに会場に着いて何気にショップを覗くと熱心なファンがTシャツを何枚も買い求める姿がみえる。観客に男性が多いことも目を引いた。ぱっと見6割ほど?ジャズのファン層はクラシックとまた違うのかも。コンサートでグッズを買うという経験を私も初めてしてみた。
チケットが当たらなかったピアノの先生にレッスンの時に着て来てね、とリクエストされている。季節外れだけど何かの上に着ていくか。
ステージの上に2台のグランドピアノが置かれていて両袖にスクリーンが二つ。座席は2階だけどど真ん中で、始まりを待つ。
東京のジャズのライブの聖地、blue note Tokyoとのつながりで足を運んだファンが多い。休演を余儀なくされたり来日できない海外のアーチストがいたりで、大変な数年だった。それを支えてこられたのが上原ひろみさん。空いた穴すべてに出演を申し出られたそう。
演奏は矢野顕子さんと息がぴったりで、『雪やこんこ』とか『りんごの歌』のような唱歌とアメリカの曲をうまく掛け合わせてこの時この場でしかできない即興が繰り広げられる。岡本太郎氏の「芸術は爆発だ!」という言葉を思い出しながら陶酔した。
後半はバイオリンお二人、ビオラ、チェロとの競演でジャズのイメージが塗り替えられる。弦楽器の美しさを極限まで引き出す上原さんのピアノはソロの時とはまた違う面を見せてくれた。ジャズのことはよくわからないけどクラシックの基礎があれば練習するというよりはビートを効かせてひたすら内から湧き出るものを身体全体で弾き続けるように思えた。命が迸っている。
今後のツアースケジュールを見るとスイスなどヨーロッパも行かれるようだ。まだお若いのにスケールが世界標準で彼女もまた日本の宝だと思う。トークにもお人柄が現れていた。今度はホールではなくてblue noteの小さな会場で是非聴いてみたい。進化し続ける上原ひろみさんと同じTシャツを着るなんて光栄。
会場がスタンディングオベーションで幕を閉じたのは書くまでもない。
さあ今日から新しい1週間の始まりですね。寒さに負けず過ごしましょう。
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