J.S.Bachヨハネ受難曲第一曲「Herr, unser Herrscher」分析①
風船お化けラルパです。久々の楽曲分析記事。今回はバッハのヨハネ受難曲の第一曲目です。分析は今回もimslpの楽譜を使っています。
超有名曲なので、検索すると動画はたくさん出てきます。よさそうなのを一つ。(全曲なので長い動画です)
わりと長い曲なので、細切れにしていこうと思います。今回は前奏部分の骨子。前奏部分だけでも分析しがいのある曲です。(動画だと1分7秒までのあたり)
この前奏は大雑把に言うと、三声部+伴奏です。
三声部というのは
① フルート1及びオーボエ1
② フルート2及びオーボエ2
③ 低声部(チェロ、バスーン)
この三声部に、ヴァイオリン1、2とヴィオラで伴奏を付けています。(この伴奏も大事ですが、次の記事に回します)
この三声部だけに単純化した楽譜がコチラです。(右クリック→「新しいタブで画像を開く」で、新しいタブで拡大できます。)
この部分だけを打ち込んだ音源がコチラ
第1小節から第9小節まで、低声部はマイナー主音ⅥのGを長く保続。その間上の二声はぶつかったり離れたりしながら、片方が動く時はもう片方は止まり、もう片方が動く時はもう片方は止まり……を繰り返します。この部分の二声の動きの分析は今回は割愛します。
コード進行は(「」が1小節)
「Ⅵm」「Ⅱm ♯Ⅴdim」「Ⅵm」「♭Ⅶ Ⅴm」「Ⅵ7」「Ⅱm」「♯Ⅴdim Ⅲ」「Ⅵm」「♯Ⅱdim」
(すべてonⅥですが省略)
※追記
上記のコード進行ですが、転調を見落としていることが分かりました。後々私が見落とした理由も書きますので、取りあえずあえてこのままにしておきます。
その後低声部がDに動いたところから、第15小節までに上二声はそれぞれ
C→B→B♭→A→A♭→G→F♯
G→F♯→F→E→E♭→D
と半音下降していきます。第11小節からコードは「Ⅴ7→次のKeyのⅡm」を繰り返しながら転調していきます。(主和音はナシ)
そして第16小節から最上声部はGを保続。今度はもう片方の上声と低声部が半音下降していきます。ここは最初のKey Gmのドミナント(Ⅲ)に向かって行くフレーズです。(以前分析したグリーグの第三フレーズと同じ「じらし」をやっています https://note.mu/mariekids_works/n/n2f83117166c7?magazine_key=m79b5b325df7f )
第18小節でⅢを形成してお終いです。(この後合唱が「Herr !」と入ってくる)
全体の流れをまとめると
1.マイナートニック保続音の上でうにゃうにゃ展開(第1~9小節)
2.半音下降と転調の繰り返し(第9小節二拍目~第15小節)
3.Gの保続と半音下降で焦らしながらドミナント形成
という感じです。
以上が前奏部分の骨子。次回は伴奏のヴァイオリンとヴィオラを見ていきましょう。
動画と画像を埋め込んでみたんですが、ゴチャゴチャしましたかね……?
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