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JAPAN⇄CANADA 3-10(1)

カルガリーから飛行機に乗ること約9時間、成田空港にカルガリースタンピードショーバントが上陸しました。メンバー、スタッフ、引率の保護者全員で同じ飛行機に乗っていたので、機内の殆どが私たちのバンドで埋め尽くされていました。きっとそこに搭乗した他のお客さんは、なにごと?!と思ったことでしょう。


到着してからすぐにバスに乗り込み、静岡県浜松市に移動しました。大会までまだ1週間以上あったので、それまでは浜松に滞在することになっていました。なぜ浜松なのか、感のいい人はピンとくるかもしれませんが浜松にはYAMAHAの楽器工場があり、ツアーにはこの見学も組まれていたからです。私物以外のバンドの楽器は全てYAMAHAのもので、私たちのスポンサーでもあります。それもあってかありがたいことに工場見学も可能だったんじゃないかなとなんとなく思ってます。とにかく、それで浜松に1週間ほど居るというわけなのです。


バスは全部で3台あり、どのバスに乗るかあらかじめ決まっていたので、メンバーはそれぞれ自分たちの番号を見つけてバスに乗って行きました。私が乗ったのは1番のバスで、通称「スタッフバス」と呼ばれていました。スタッフ全員がこのバスに乗り移動するためこう呼ばれていたのですが、残りの座席をメンバーが使うようになっていました。このスタッフバス、実はすごく快適で、わりかし静かだし情報も1番に入ってくるので密かにおすすめなのです。そんな私もクラリネットの仲の良い先輩メンバーがおすすめしてくれて、決めるときに一緒に名前を書きました。


そんなこんなで浜松に到着したのですが、やっぱり外の景色がカナダと違い、1年ぶりの日本に懐かしさを感じつつもカナダで知り合ったみんなと居るという現実に不思議な感じもしました。ただ私の脳内は完全に日本モードに切り替わっていて自然と頭を下げたりお辞儀したりなんかしてました。


部屋の鍵を受け取りそれぞれ荷物を持って移動したのも束の間、またバスに乗って練習場に向かいました。私たちのバンドに「時差ボケ」や「到着後の疲れ」なんて言葉は存在しません。楽器を吹いてない鈍った身体と口を一刻も早く取り戻すべく重い腰を上げて身体を動かします。といっても流石に初日だったのでいつもより軽い運動と楽器練習で終わりました。


実はこの旅でいくつか改めて文化の違いを感じました。

まずはトイレのドア事情。私は3人で1部屋を使っていたのですが、トイレのドアを私以外の2人は開けっ放しにしていました。今では私もカナダスタイルになりドアを開けたままにするんですが、当時は日本脳だったので閉まっているドアを何の気なく開けてしまい、焦った記憶があります。

次にお風呂。ホテルには大浴場があり私は大いに喜んだのですが、裸で同じ空間にいることに躊躇っていたみんなを見て、日本は温泉大国で裸同士の付き合いなんて当たり前だけどそうじゃない人もいるよなと実感しました。もちろん中にはむしろいい文化で大歓迎!というメンバーもいて、そういう声を聴いて嬉しかった記憶もあります。

3つ目はコンビニ。メンバーやスタッフはコンビニ内の商品の種類の豊富さとクオリティーの高さにびっくりしていました。これは私がカナダに行ってからびっくりしたことでもあるんですが、カナダのコンビニはそんなにたくさん食べ物がありません。そしてレジも大体1つだけです。それに比べて日本のコンビニは本当に有能です。メンバーの多くが日本式のコンビニがカナダにあればいいのにと言っていました。


カナダ人であるメンバーやスタッフが1番驚いたことはなんといっても気候だと思います。湿度は高いし1日中暑いしでみんな大変でした。朝の外周ランニングやマーチングの練習は外で行っていたのですが、熱中症でダウンする人が多発しました。慣れない環境でさらに暑い蒸し蒸しする天気の中で行っていたからか経験豊富の先輩メンバーも設置した簡易テントの下で座って苦しそうにしていました。その点、私はこの環境でバレエの練習を何年もしていたからか、体力的な疲れはもちろんありましたが熱中症でバテることもなくしっかり水分補給して問題なくこなせました。


浜松ではYAMAHAの工場見学の他に、花火大会での出張演奏がありました。市内の小学校か中学校かのグラウンドに市民がレジャーシートを敷いて待機している時に前座として登場して演奏を行いました。日本で大勢の前で私が1年間楽しんでしたことを披露できたのはとても気持ちが良かったし、観客も大いに盛り上がってくれてすごく満足でした。もちろんその後みんなで花火も見ました。夏場の花火大会はやっぱりいいなと改めて感じました。日本の風情ある景色は私が日本が好きな理由の1つです。


浜松最終日もガッツリ練習し、さらにフィールドショーに磨きがかかった私たちは、充実感と高揚感を抱えたまま遂に大会の会場である幕張メッセ近くのホテルに移動しました。到着して最初のパフォーマンスは、何とディズニーシーでの演奏でした。海浜幕張駅から舞浜駅まで電車で移動し、歩いて一般ではなかなか入ることのできないであろうディズニーの裏の建物に入り、裏口を通って演奏する場所まで行きました。人生初のディズニーだったのですが、それをパフォーマーとして裏まで経験出来たことは本当に自慢したくなるくらい貴重な体験でした。きっとカナダに引っ越しをせずに日本で過ごしていたら経験出来なかったであろうことをいっぱいしてるな、とこの時改めて実感しました。もちろん演奏が終わった後はシーでみんなで遊びました。ディズニーリゾートに行くのが初だったのですが、まさかカナダから来て日本のテーマパークを満喫することになるとは誰が想像したでしょうか?


8月9日、ついに大会が開幕しました。この日はパレード部門がありましたが、私たちはエントリーしていなかったのでいつも通り朝から主催者が用意していた練習スペース(メッセの向かい)で朝から練習をしました。夕方は大会参加者の親睦会があり、みんなでご飯を食べたりお話をしたりして時間を過ごしました。日本の高校生と会話する時、もちろん私が通訳係となりメンバー同士やりとりのお手伝いをしました。


みんなでワイワイしていた時、確かヨーロッパから来ていた参加者が自分たちの楽器を構えて何やら演奏を始めました。それに釣られて他の団体の人々も各々楽器を手に取り奏で始めます。私たちも参加したい気持ちで山々でしたがあいにく楽器は親睦会会場の隣のスペースに置いてあり取りに行くことができません。うずうずしているみんなに気付いたのか、バンドのディレクターさんが、

「ショーバンドみんな隣に行って楽器持って」

と指示を出しました。きたとばかりにみんなの顔が歓喜に満ち、隣へ急いで行き楽器を持ち軽く音出しをした後みんなで並んで隣の会場に戻りました。みんなで入ったから会場の人々は何が起こるのか気になりショーバンドのそばにやってきました。まずは金管が爆音をかき鳴らす、というプランになり木管の私たちは座り込み耳を塞ぎました。


爆音作戦は見事大成功。一気に注目の的です。その後はショーバンドの十八番を演奏し、大歓声の中大いに会場を盛り上げることができました。この時の映像が実は録画されていたみたいで、YouTubeにアップされていたのに後日気付き想い出を巡るように今でもたまーに観ています。


こうして親睦会は幕を下ろし、いよいよ明日の予選を迎えることになるのです。

-つづく-



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イラストレーター。イラストレーターズ通信会員(https://illustrators.jp/)。 メイキングを含むイラストレーションのあれこれや カナダでの生活経験を投稿しています。 イラストを掲載している場所→https://www.mariekennedy77.com

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カナダに引っ越すことになってからのあれこれを赤裸々に書いたエッセイです。 思春期の不安定な気持ちをこれでもかというくらい詰め込んだ切ないけれど、がんばろって思えるエッセイになっています。 壁にぶち当たった経験がある人、今まさに壁にぶち当たっている人、子供時代に引っ越しを経験した人、もちろんそういう経験のない人もぜひ読んで行ってください!

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