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JAPAN⇄CANADA 4-3

マーチングの年度最初の練習は、去年と違い知ってる人ばかりだったので孤立することもなくむしろ私から話しかけに行きました。久しぶりに集まっての練習だけあってメンバーみんな再会を喜び、そして新体制にわくわくしていました。新体制、ということはもちろん新しく入ってきたメンバーもいるということです。クラリネットパートには6人新しいメンバーが加わりました。下に後輩はできたものの、たった1年先に入っただけだし、どのメンバーもマーチング歴は私より長かったので、追い越されないようにさらにレベルアップを目指して頑張ろうと気合いが入っていました。


気合の面で言えば、指導者含め他のメンバーも充分に入っていました。それもそのはず、去年の目標だった「得点95点以上」が達成できていなかったのです。この年も既に世界大会への参加が決まっていたので、今年こそは目標達成をみんな夢見ていました。さらにこの年の世界大会、元々参加する予定ではなかったのですが、主催国からぜひ来て欲しいとラブコールを頂いたこともあり決まったことだったので、ここで意地を見せなければと誰しもが思っていました。というわけで、この年のツアーはブラジルへの世界大会参加となっていました。人生初のの南米、このマーチングバンドに所属していなかったらおそらく私は行っていなかった場所だと思います。


年度最初の練習は、まず全体での説明会がありその後それぞれのセクションに分かれての練習が始まります。ドキドキしながら指定の場所へ向かい、いざ練習開始です。最初の練習なので、もちろん最初は楽譜の配布が行われます。クラリネットの楽譜は2つか3つのパートに分かれているのが一般的で、このパート分けはリーダーが独断で決めていました。基本的には長くやっている人が第1パート(ファースト)、そして始めたばかりの人が第3パート(サード)を担当しますが、勿論音の出方や向き不向きなども考慮されるので一概に年功序列で決まるわけではありません。それでもみんなファーストを目指して励みます。理由は様々だと思いますが、大体は主旋律が演奏できたり時にはソロパートがあったり目立つ要素がいっぱいあるからかなと私は考えます。もちろん私も例に漏れずファーストを吹きたいと強く願っていました。黙って楽譜をリーダーが譜面台に置いていきます。その作業をじっと見つめながら私の譜面台にくるその時を待っていました。そして楽譜が置かれた瞬間私は緩みそうな頬を必死に抑えながらファイルに収めていきました。リーダーにいつだか、

「上手いし、去年からファーストにしとけばよかったよ。積極的に頑張るんだよ」

と言われた記憶があります。未経験から始めた分、人一倍努力したのが報われた瞬間でした。自分のパートリーダー、しかもかなり経験がある人からの褒め言葉は今でも宝物です。そんなわけで、2年目の私はクラリネットファーストパートとして新しいシーズンをスタートさせました。座奏ではソロパートを少しだけ担当させて貰えたりもして、凄く充実したシーズン前半でした。もちろん、体力づくりも怠らないように家で筋トレなんかも始めたりして来る大会に夢向けて自分の身体の動き方、演奏のクセを研究しては改善して行きました。これは学校の吹奏楽活動でも活かすことができ、忙しくも楽しい日々を送っていました。


カナダでの生活も3年目を迎え、日々彩りが鮮やかになっていくのを感じていました。


クリスマスを迎え年末年始を家族と過ごし、いよいよ2014年突入です。この年は私にとって節目の年でもありました。なんせ二十歳を迎えた年だったから。


-つづく-

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