見出し画像

JAPAN⇄CANADA 2-9

日本への帰省が決まったとはいえ、現実は当たり前のように毎日やってきます。学校でもだいぶ色んな生徒や先生と話すようになったり、自分から質問したりするようにはなりました。とは言うものの、本当に友達と呼べるのかというと100%で呼べる自信はありませんでした。吹奏楽の授業(以下バンド)や活動でも、話はしてもあまりでしゃばるといい印象持たれないだろうなと思い少しだけ抑えていました。もともと途中から入ったと言うこともあり、周りのもう固められた友情関係に入り込むことがなかなか出来ず苦労もしていました。

そんなある日、「バンドキャンプ」があることを知りました。初めて聞いた時は、なにそれ?と思いました。「バンドキャンプ」とはバンドに入っている生徒が2泊3日で行う合宿という名のアクティビティ旅行です。私の通っていた学校は、旅行といってもめちゃくちゃ遠くへ行くわけではなく2時間くらいバスで移動して着くようなところでした。1年目は自然に囲まれた、小さな施設が沢山併設されたキリスト教ロッジのような所で、そこで練習をしたり選択したアクティビティをしたりする感じでした。

初めてすぎる経験で驚きました。日本で行われるようないわゆる普通の部活の合宿とはかけ離れていてびっくりしたと同時に、カナダに来て初めて家族から離れて私1人でたいした友達もいない空間で2泊3日を過ごすことに大きな不安を感じました。頼れるのは先生ただ1人でした。

部屋割りも自分たちで決めていいことになっていました。1部屋4人の部屋で自分たちで話し合って用紙に書く仕様でした。もちろん私は友達がいなかったので誘うことも誘われることもありません。どうしたらいいのか分からずバンドの先生に相談しました。私は何かあるとすぐに先生に質問したり質問したりしてました。例えば配られた紙に意味のわからない単語があったら聞いてたし、もちろん音楽的なことで思ったことがあったらいつも話をしに行っていました。こういうことを気軽に相談できる先生だったことに感謝してます。とにかく部屋割りについて相談に行くと、先生から
「心配しないで任せて!ピッタリの子たちと一緒の部屋にしてあげるね」
と言われました。
よかったって思ったけれど誰だろうと疑問にも思いました。私にピッタリの生徒。最初は同じ楽器を吹く子とか同学年の子とかを想像しましたか、検討つかず部屋割りが張り出させるまで待つことにしました。

数日後の放課後、音楽室に入ると壁に生徒が集まっているのが目に入りました。ついに部屋割りの一覧が張り出されたのです。私はとにかく必死に自分の名前を探しました。やっとの思いで見つけてみると、知らない名前が2つ私と同じ部屋番号で書いてありました。内心、どうしよう話しかける勇気がないやと思いました。無理かもしれない。そんなネガティブなことばかり頭に浮かんできました。さっそく先生に聞きに行きました。先生は快く紹介をしてくれました。1人は1つ学年が上で以前何度か話したことのあった生徒です。とても優しく声をかけてくれたのを覚えていたので少し安心しました。もう1人は1つ下(年齢は2歳下)の生徒でした。話したことがなかったし、もしなにも話題が無かったらどうしようととてもとても不安になりました。けれどそんな心配はありませんでした。とてもお喋りな子で、私が無理に喋らなくても気さくに声をかけたり話しかけたりしてくれました。これなら部屋で過ごす時間は楽しめるなと思えました。

バンドキャンプ自体は正直最悪でした。2日目のアクティビティは本当に辛かったです。カナダで普通に育っていたら理解できたようなゲームも私は日本で育ったので当たり前のように知らなかったし、ドッジボールも日本のとルールが違い、右も左も分からない状態でした。周りのみんなも施設の人も全員が知ってる程で進めていたので1人孤立したようでした。たまらず涙が出てきて、引率で付いてきていた保護者の方に寄り添ってもらう始末。しかし、楽しかった時間も確かにありました。同じ部屋になった2人を基準にその2人の友達と話したりご飯を食べたり、少し交友関係が広がった気がしました。部屋に戻ってもお喋りの1つ下の子が色々話したり、質問してくれたりして充実した時間でした。最初は不安から始まったバンドキャンプだったけれど、新しい出会いがあり、とてもよかったと思えました。そしてあの、お喋りの子と日常に戻っても会話できたらいいな。会う時に挨拶交わせるようになれるといいなと思いました。

これがカナダで最初の真の友達、そして1番の親友になる、グレタとの出会いでした。

-つづく-

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?