うっかりアラフィフちゃん 森に吸われる vol.2 〜つらいからの解放〜

アラフィフちゃんはガッツリ昭和世代。小中学校の体育の時間、部活の時間とい
えば、「水を飲むなー!」の世界だった。今の子どもたちからすると、きっと「なんのこと?」だろう。

運動はつらく、苦しいもの。競争させられるもの。そんな子ども時代の刷り込みが、大人が運動することへのある種の抵抗感を生んでしまったのかもしれない。

でも大人になるにつれて、体育や運動への固定観念が覆されるようなことが少しずつ起き始めた。

1つは大学生になり、「フルマラソン完走」を目標にする授業を取った時のこと。体力別のチーム分けで最も体力のないチームに入った私は、衝撃的な言葉を先生から聞かされた。「友達とおしゃべりしながら1時間走れるようになれば、フルマラソンは完走できる」。

「えー!友達としゃべりながら走っていいの!?」
「えー!1時間走れるようになれば、フルマラソンも完走できるの!?」

これに加えて、
「えー!初心者は毎日走っちゃいけないの!?」
「えー!筋肉を休ませることで、前よりも強くなって回復しちゃうの!?」

という感じで、目から鱗が落ちまくってしまった。運動を科学することを知り、新しい知識を吸収することで、運動はつらく、苦しいものではないかもしれないという呪縛から解き放たれるきっかけをもらったのだった。

それからもう1つは、社会人になって10年が過ぎ、オーストラリア・タスマニア島の国立公園へ行った時のこと。その頃は運動からだいぶ遠ざかり、体力にも自信がなくなっていたが、友人夫妻と一緒に歩いた5時間のコースがめちゃくちゃ楽しかったのだ。

広大な森には起伏がほぼなく、整備された歩道や木道をひたすら歩いた。途中に目立ったビューポイントがあるわけでもなく、微生物の力で排泄物を分解するバイオトイレが1箇所あっただけ。それなのに、体がどんどん動いていった。

「森ならどんどん歩ける!」
「日本も山じゃなくて森を歩けたらいいのに!」
「ひたすら森を歩くって、北海道に行けばいいのか!?」
そんなことで頭がいっぱいになった。

運動って運動場や体育館、ジムで行うものだと思い込んでいたけれど、屋外で旅行気分で運動できるのか……。忙しい日々を送り、すっかり視野が狭くなっていた私に、“楽しみながら運動すること”を気づかせてくれる出来事だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?