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だんだんと暖かい日が増えてきた。そして、別れだとか区切れとかもすぐそこまで近づいてきている。

私は、この季節が苦しい。この季節じゃなくても苦しんでいるとき多いけれども、この季節特有の痛みがある。新しい風に備えて、この場所を一掃するとき、そこにつくった細かい傷に消毒液が染みるみたいに。近づけば近づくほど深く、重なれば重なるほど幾重にも傷ができている。

この不可逆性は誰にもどうにもできないし、それには希望が満ちているようにも思う。

けれども私は、少しづつでも着実に灯った暖かさとこれから来たる新しい希望とを比べたなら、今ある暖かさのなかの安心とか親しみが惜しくて仕方がなくなる。


時間が止まればいいのに。
そう想う時間があることも、
早くこの時間が過ぎればいいのに。
こう想う時間があることも、幸せなことだと思う。

時間それ自体は寸分も狂うことなく、一定のテンポで進み続けている。
けれども、人からみた時間は大きく伸縮する。
時間よ止まれと願うのも、時間よ早く進んでくれと願うのも、幸せの記憶がそこにあったり、幸せが未来で待っていたりするからだと信じたい。




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