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#1 『Tokyo(etude ver.)』について 【前編】〜前置きと、Foujitaの絵〜

前回書いた「こんな活動をしていきたい」を元に

まず作ってみた第1作目が『Tokyo(etude ver.)』です。


全部自分でやってみた=(etude ver.)


今回、まずは全部自分でやってみることにしました。

・作詞作曲歌(は今まで通りですが)
・DAWで楽曲制作
・MIX
・映像編集(撮影は信頼のオオハラさんにお願いしました。編集を教えてくれたのもオオハラさんです。大感謝。)

全部自分でできるぜ!とは微塵も思っていません。
たくさんの人の力を借りないと、そして匠の技を借りないと、本当にいいものはできない。

ただ、これからたくさんの人に力を借りる上で、一通り最低限はわかっている状態でありたい、というのと
これからどんどん様々な作品を作っていきたいので、(予算的なこともあり)自分の手でコンスタントにDIY作品を生み出しつつ、「ここぞ!」という時に各所匠の力を借りて大きなものを作る、という形をとっていければと思い、その第一歩として、今回の一作目があります。

なので、(etude ver.)=練習曲です。

曲も詞も、特別な思いがこもっています。だから、いつかたくさんの人の手を借りて、匠の技で仕上げてもらって、改めて形にしたいという希望も込めて、今回は(etude ver.)を付けました。

それぞれ勉強して、実際にやってみて、と時間を費やしてみましたが、「こんなことやってたんだ」とそれぞれのプロの仕事の凄さと繊細さを実感。


"special thanks"  藤田嗣治 

クレジット表記の"special thanks"には色々な意味がありますが(作品作りに協力してくれた人だったり、ファンの皆様に対してだったり)
ここでの意味は「影響・インスピレーションを受けた人、作品」です

前の記事で書いた、
音楽とそのまわりの芸術の境界線を自由に飛び越える
を、今回は「絵画からイメージを膨らませて曲を作る」でやってみました。

今回イメージのもとになったのは、藤田嗣治の『カフェにて』

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出典:WikiArt

2018年の回顧展のメインビジュアルにもなっていた絵ですね(図録も書いました)

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パリのカフェにて、インクが滲んだ便箋を前に、物思いに耽っている女性。
この絵が、今の自分の重なるところがあり、ここから楽曲のイメージを広げました。

藤田は、パリに向かう前のニューヨークでこの絵を描いたそう。第二次世界大戦を経て、かつての理想郷パリに思いを馳せながら描いたと思われるこの絵から、私は、自分にとっての理想郷「東京」について思いを馳せる曲を作ることにしました。

ひとりになるにあたって、これまでを思い返すと、
ずいぶん時間は流れて、それに伴い変わっていったもの、なくなっていったものがたくさんあって。
でもその代わりに、新しく出会ったもの、手にしたもの、そして新たに見えるようになったこと、感じるられるようになったこと、やっていこうと決めたことも、たくさんあって。

そんな自分の個人的な曲になる予定だったのですが、
これだけ世界に変化が起きている今、"世の中で起きていること"にも影響を受けるのは当然のことで、結果、聞いてくれる人それぞれの聴こえ方をする、大きなものを含んだ歌詞になったような気がします。

なくなってしまった場所。
いなくなってしまった人。
見えない光。

それでも、私はまだこの街で、物語を止めずにいたい。

様々な事情があり、本当なら生まれた地で生きていくことが色々な人にとっては幸せだったりもするのだけれど、そこを抜け出して、私はずっと東京にいます。


誰も自分のことを気にしていない街、はぐれものを放っておいてくれて、冷たくて自由な街。

たくさんの小さな煌めきが雑踏の中に埋もれていて、たくさんの芸術が、手を伸ばせばそこにあって、それを生み出している人たちが実際すぐそばで生きていて。似たのもの同士がひっそりと集まる場所があって。

だから私はこの街が大好きで、離れられないのです。


そんなこの街への想いと、
そんなことを感じられる場所が、この1.2年でいくつもなくなっていって、それに対する思いや記録の意味も込めながら(詳しくは中編・後編にて)
この『Tokyo』という作品ができました。


※もうひとつ、st.Vincentの『New york』という曲もインスピレーションのもとになっています。素敵なので紹介。


※最愛の音楽家が、ツアーで(弦楽四重奏曲第9番ホ長調)「東京」という曲を今歌ってくれたことも、この曲を作るきっかけになってたり。

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そんなこんなで、藤田の『カフェにて』に合わせてアー写や映像も作り、
この1作目が形になりました。

画像3

photo by オオハラシンイチ
(朝早くのカフェで一瞬の隙を狙って撮影したもの。さすがです。)


>中編・後編へと続きます。


黒く潰した 過去たちは
滲んでもまだ 消えないまま
今日もすました この街は
孤独や自由を飲みこんでいる

置き去りにした 夢たちが
思い出してと 手を招く
轟音に ライトに 筆の跡が
居場所が見つからない僕を救う

時間は流れて あの場所もなくなって
痛みは消えなくて つらいな 嫌 いや
言葉は散らばって あの人もいなくなって
光は見えなくて まだ 届かないや


選ばれなかった 僕たちは
諦めながら また夢をみる
枠にはまれなかった 人が 歌が 声が 創造が
確かな息づかいが 僕を生かす

世界がこんなでも 始めからそうだった
このままいくのも 悪くないや
何もないけれど 全てがあるよこの街には
君と笑うまで 
まだ終われないや 

作詞:マリエ映茉




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