#2『Le Fou』について【前編】〜生まれた経緯、ゴダール、二人の自分、などの話。〜
ライリエル2作目の楽曲と映像作品を公開しました。
一人二役の映像。
今回も企画・コンテ作成は自分、撮影はオオハラさん、編集も自らで行うというDIY方式です。
アーティスト写真ももオオハラさん撮影。
前回同様、今作もとあるアート作品をモチーフにしています。今回は映画。
ジャン・リュック・ゴダール監督の『気狂いピエロ』という映画です。
主演はアンナカリーナ。以前、アンナカリーナの追悼企画で彼女の映画を見て、虜になりました。
前作は、完全に藤田嗣治の絵画から全てを膨らませましたが、
今回は少し違う形で制作が進んでいきました。
まだライリエルを始める前の2020年、コロナ禍でライブもできず、慣れないDTMで女王蜂の『売春』のcover動画を公開していたのですが、
ここから、いつか二人一役2画面の作品を作ろうと目論んでおり、
今回はそのフォーマットで、性別の境界が曖昧になる、といったことをやろうか、と考えていたのですが……
その時ちょうど観た映画が、ゴダールの『気狂いピエロ』。
色彩の鮮やかさと、フェルディナンとマリアンヌという男女の口から語られる、様々な心の声。
まさに「普通(保守)と自由(枠を外れる)」について悩んでいた当時の自分の心境もあり、かなり刺さるものがありました。
そして、ビジュアルや歌詞にも、この映画の要素を大きく持ってくることに。
"普通"であろうとする臆病な自分と、心のままに生きたい自分。
最後は前者を撃って……
心のままに生き始めたい、という自分の気持ちと決意が出ています。
思い返せば私の曲には人殺しの曲が多いのですが(笑)、これは人殺し3作目です。(どの曲も、殺してるかもしれないし実際は殺してないかもしれない。空想と現実の境目の話なので、ご想像にお任せします。)
1作目「3番線」
2作目「耳鳴り」
あとこの「耳鳴り」には"かじりかけの林檎"っていう歌詞も出てきますね。
音源化していない別の曲でも林檎をかじっているので、常に持っているイメージなのかもしれません。
※ちなみに今回の楽曲のインスピレーション元は、Phenixの『If I Ever Feel Better』です。パクリって言われそうなので掲載はしませんが(笑)めちゃめちゃかっこいい曲なのでぜひ聴いてみてください。
ちなみに、ふとyoutubeを見て、ドレスコーズ の『エゴサーチ&デストロイ』のMVに激似であると気づいたのは、かなりこれらコンセプトやビジュアルイメージを固めた後の話……普段から愛しているものに受ける影響、潜在意識って怖い。
冒頭の目覚ましはビジュアル関係なく、サウンドの要素的に入れたいと楽曲制作時に思いついたもの。自分で考えたはずの、メガネも林檎もインクも、最後にはハサミも出てきて、怖っ……となった体験でした。
顔が半分になるカットと、バラの花びらだけは、このMVを見たときに「入れよう」とアイデアをもらいました。でも"バラの花びら"が一番、今まで自分でやってきたことの踏襲ですけれどもね。笑
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前作のnoteが一作目と言うこともあり結構内容重めだったのですが、今回はラフに書いてみました。面白がっていただけたら幸いです。
そして皆さんずっと気になっていたと思われる、背後の2枚の絵画(素敵な画家、山中康成氏に描いていただきました)など、
今回素敵な小道具もたくさんあるので、これらの話はじっくりと後編で。
後編に続く。
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