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萌え絵批判者がウソつきだという誤解を解いてみる

萌え絵批判への誤解

萌え絵擁護派が萌え絵批判派を不誠実だと誤解することがある。
以下のような主張をみてそれを感じた。

・表現を批判する理由について、後から異なる意見をだすという誤解
・不快なだけなのに、社会的に問題という嘘をつくという誤解

この2つは結局同じだと思うが、これらの誤解について分けて説明してみる

萌え絵批判者への誤解が起きる背景

説明してみるが、その前に前提について認識した方が良いと思う。
SNS上の意見の言い合いは多くの場合、目的と結論の効力が設定されていない
その言い合いが相互理解のための意見交換なのか、論理を競うディベートなのか、今後の行動についての約束を決める交渉なのか、誰も設定していない。

相互理解のための意見交換であれば後出しも矛盾もむしろ歓迎されるが、ディベートや交渉終盤で後出しがあればそれは不誠実だ。意見交換であれば致命的な論理破綻を指摘されれば今後の参考にするが、交渉であれば結果が約束につながる。
なので明確に目的をもってやりとりしたい人は、前提と目的のすり合わせを事前にしておくと良いと思う。

逆に前提と目的をすりあわせずに行動を変えろとか約束を守れとか要求をするのはおかしい。それをしたいのならば事前に細かく約束とルールを設定し同意を得ていなければならない

萌え絵否定の理由をコロコロ変えるという誤解

目的をすり合わせていないSNS論争はただの言い合いで強制力はないという前提で、以下の指摘が誤解であることをひとつずつ説明する。
・表現を批判する理由について、後から異なる意見をだすという誤解
・不快なだけなのに、社会的に問題という嘘をつくという誤解

・表現を批判する理由について、後から異なる意見をだすという誤解

これは意見の後出しをすることで、論破から逃げようとしているという批判なのだと思う。萌え絵否定をする理由をコロコロ変えるなと言う意見はよく聞く。競技ディベートならその批判はまっとうだが、Twitterの言い合いだとこれはよく起きる。なぜか。

まず、萌え絵を批判する理由は複数あるということ。そして、Twitterの限られた文字数の言い合いだと指摘されたものか主要なものだけを述べることが多いこと。
どちらも当然だと私は思うが、これが不誠実な意見の後出しであるという誤解を生むようだ

以下2つを考えてもらえれば、これが不誠実な意見の後出しでないとわかると思う。
・萌え絵について不快に思うことと、社会的に悪い影響があると思うことは、両立する
・複数要因のすべてを毎回述べるのは現実的でない

そこをも不誠実と言うなら事前に目的をすり合わせないといけないのではないか。

理由をコロコロと変えるなと言う前にやるべきこと

後から意見が出るのがどうしても嫌なのであれば、確認すればいい。
「それが理由の全てですか?」「述べ忘れた意見はありませんか?」「例えばAという意見をいう人がいましたが、それは当てはまりませんか?」
これを確認してから議論すれば、その相手とのその議論に関しては、不満は解消すると思う。

ただしTwitter上でのやりとりで論破してやろう、自分の言い分を通してやろう、という思いがあれば不満は解消しない。その場合自分が競技ディベートであるという同意をとらず勝手にディベートを始めて、ジャッジを自分または自陣営が行う、というような態度ではないか顧みるとよい

不快なだけなのに他の理由を捏造するという誤解

次に「不快なだけなのに、社会的に問題という嘘をつく」という誤解について説明する。
これは1つ目の誤解と重なる部分がある。すでに説明はしたが、萌え絵を否定する理由は複数ある。不快であるという理由と、例えば公共の場にふさわしくないという理由は両立する。だから両方述べても捏造になるとは限らない
ただし不快という理由をあえて隠そうとする指摘があると思うのでそれについて説明する。

萌え絵批判派が複数ある理由の中で「不快」という理由をあまり言わない理由はあると思う。
それはこれまで「不快という個人の感情は理由にはならない」と指摘されてきたからだ。そしてこの指摘は必ずしも同意を得られていない。
ただ、複数ある理由の中でなぜか却下されるものがあれば、主張が無駄になるので言わなくなるというだけだ。

萌え絵批判派からすると萌え絵擁護派が「不快は理由にならない」と「不快なだけなのに不快と言わない」という2つの矛盾する指摘をしているように見えるのだ。だからせめて通じやすい理由を言おうとするのは自然だろう。

不快なだけだろと言う前にやるべきこと

もし不快という理由を隠さず言ってほしいのであれば、それはそう促せばよい。「私は不快という理由も許容しますので言ってください」と言えばいい。それで不満は解消するはずだ。
ただもし相手の言い分を全て潰すという意思があるとすれば、その場合も自分が競技ディベートであるという同意をとらず勝手にディベートを始めて、ジャッジを自分または自陣営が行う、というような態度ではないか顧みるとよい

萌え絵批判者がウソつきだという前に

意見の後出しと不快を隠すという理由で萌え絵批判派に不満がある場合、以下を考えてみるとよい。

ウソつきという印象は、以下の理由で誤解である。

・萌え絵について不快に思うことと、社会的に悪い影響があると思うことは、両立する
・複数要因のすべてを毎回述べるのは現実的でない
・不快という理由を否定されるので、不快以外の理由を述べることが多い

不満を言う前に以下を行うとよい。

・やりとりの目的を事前に明確にする(意見交換かディベートか、結果によりなんらかの行動を約束するかどうか)
・前提を確認する(フェミニストや萌え絵否定派等の代表としての意見か、個人の見解か)
・言い忘れや省略がないかを確認する

Twitterでのやりとりで戦利品を期待してはいけない

事前に前提や目的をすりあわせればわかると思うが、Twitterでのやりとりで相手陣営から約束を取り付けることは不可能だ。誰もが個人の考えを思い思いに表明しているだけなので当然だろう。

それを否定する前に、自分が自身の陣営を代表していることを表明したことがあるか、議論によっては自身の陣営全体が譲歩することを約束したことがあるかを振り返ると良いと思う。そんな表明も約束もよほど現実的なものでなければなされたことはないはずだ。

だからTwitterで相手から矛盾や齟齬を引き出し、相手に譲歩を迫るような目的をもつことが間違っている。相互理解の材料を探してみるくらいが丁度いい。

だが結局どちらの過激派も、約束の前提のない中で自分の言い分を通し相手の言い分を拒絶することが目的だと私は思っている。後付でもなんでも理由をつけて批判するというのは誰もがやっている。

その中で相手陣営のみを不誠実だと思う理由は、そう思いたいからというだけだ。この文章も届くまい。誰もが自分の読みたいものだけを読むし信じたいものだけを信じる。それだけの話だと私は思っている。

注: この文章はこのTweetをまとめたものです。

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