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マリアージュ研究所を立ち上げた理由no2~マリアージュとの出会い~

そうしてやっとお酒全般の味の違いを感じることができるようになりました。

ちょうどその時、日本でワインペアリング、マリアージュという言葉を少しづつ耳にするようになり周りのレストランでも、コース料理の一品一品にワインを合わせていくという取り組みをし始めていました。
僕たちもその例外ではありませんでした。

実際にコース料理をつくってたくさんのワインを用意して
ペアリング、マリアージュをさせる勉強が始まりました。
それまでは大まかで、前菜~魚料理まではスパークリングワイン、白ワイン
そして、メインの肉料理は赤ワインといったような感じでワインをあてがっていました。
「合う」とはどういうことなのか?「合わない」とはどういうことなのか?というところからのスタートでした。

慣れていないということもあり、レストランの営業終了後にその研究をしていたので完成させるまでに翌日4時ごろまでかかったり、その日では終わらなかったり、とかなり苦労しました。

その時、僕のソムリエの師匠であるK氏(知る人ぞ知るあのクリエイターさんです)にも手伝ってもらい、ワインの味わいや料理の味や要素をミリ単位まで因数分解してペアリング研究していました。                
そのハーブが必要なのか?ソースの位置、塩の量、ワインの温度やグラス
の形状、細かいところまで分析してペアリングしていきました。

そうして僕たちのペアリング・マリアージュのスタイルの基礎ができていき
ました。
お客様にも少しづつですが毎回のコースのワインをお任せしてもらえるようになりました。

【ワイン】×【人】×【料理】

そんなある日、ワインのイベントがありました。
ヴィナイオータさん主催の「ヴィナイオッティマーナ」
このインポーターさんの扱っているワインの作り手さんが一堂に会する大きなワインの試飲会です。                                 その時にワインマリアージュの勉強中だったこともあり、ある生産者さんに「ワインを造るときに、この料理にあうだろうな、のようなことを考えてつくることはあるんですか?」ときいてみました。                 #それがこの記事の表紙になっているラディコンです

その時の彼の言葉は今も忘れず、僕のペアリングやサービスの軸になっています。

ラディコン「それは考えるよ。でもね、マリアージュっていうのは【ワイン】と【料理】じゃないんだよ。ワインと料理の間に必ず【人】がはいる。つまりマリアージュとは【ワイン】×【料理】×【人】なんだよ。       例えば君が大好きな彼女との特別な日に食事をしていたとしよう。
目の前にはおいしそうなステーキが来た。
その時、きっと特別な赤ワインがのみたくなるだろう。
でもね、同じステーキでも気の合う仲間と夏の海岸でバーベキューをしていたらどうだろ?
同じワインでとおいしいと思うかな?
その時君はビールとかキンキンに冷やしたスパークリングワインがのみたくなるんじゃないかな?
ワインと料理ばかりみていてはいけないよ」

衝撃でした。。。

その時、今までしてきたマリアージュ研究がワインと料理の相性にばかり固執しすぎてそれを体験する【人】について全然考えてなかったことに気が付きました。
もちろん、それを提供するまでに料理とワインの味わいや特性をミリ単位まで因数分解して、そこからマリアージュを作ることは大切でそのクオリティは絶対に担保しないといけません。
ただそれを体験してもらうにあたってその研究結果をただ発表するだけでは
【ワイン】×【料理】×【人】
はできないと思いました。
そのマリアージュのクオリティを磨き上げてからその先はその体験してもらう【人】をよくみて提供するここがとても重要で、そこを考えないとただの自己満足で終わってしまい、本当の意味でのマリアージュは作り上げることができないと思いました。

そこで面白いのがラディコンさんの作るワインのサイズ感でした。
ワインのボトルは通常(多くは)750ml
それを基準にハーフ(375ml)や
マグナム(1500ml)がつくられます。
ラディコンさんのワインは500ml、1000ml
のような彼が開発した異質なサイズ感に彼の思想が詰まって言いました。

その理由はネットなどでは商業的な理由も書かれていましたが。
彼本人からきいたことは
「二人でワインを飲むときに
通常のハーフボトル(375ml)だとそれぞれグラス1杯しか飲めず
微妙に足りないだから500ml
ある程度飲む人だと通常のブテイユ(750ml)だと
もう少しが足りない、だから1000ml
なんだよとおっしゃっていたのです。

飲み手の感情を考えたサイズ感になっていたのです。
これにはとても驚きました。
彼はワインだけでなくその先にいる飲み手のことも
考えワインを造っていました。
#ただ自分のわがままを形にしたのかもしれませんが (笑)

そこから僕のワインペアリングは
【料理】×【ワイン】ではなく

【料理】×【人】×【ワイン】
を意識するようになったのです。



     



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