11月 留学報告書
もうすぐカナダに来て3ヶ月です。この1ヶ月は私にとって、一言で楽しかったとは言いがたいものでした。楽しいこともたくさんあったし新しい友達もできたけど、カナダに来てから初めて泣いたり学校に行けなかったりしました。
まず私が悩んだのはアイスホッケーでの人間関係です。日本で、特に岡山でホッケーをしている人間は超レアです。競技人口が少ないために、ショップが梅田まで行かないとないことや、県内にレディースチームがひとつしかないから練習試合がろくにできないことなど、どうしようもない状況が当たり前にありました。カナダに来てからは、ホッケー人口の多さが生んだホッケー経済、ホッケー文化に衝撃を受け、はじめは楽しんでいました。ところが、ホッケーの環境が整いすぎているがゆえに、私がホッケーに求めていたもののひとつを、得るのが難しいということに気がつきました。それは人間関係です。まず、自分のチームの練習以外の練習に参加しに行くビジターの文化がありません。ビジターとしての練習は、岡山で私の練習の半分以上を占めていました。そして私のチームが使っているリンクには更衣室が全部で6個もあるので、自分の練習の前後に練習している人たちと関わることがありません。また男女混合の学校のホッケー部の練習では、完全に男女で更衣室が分けられるので、オフアイスで関わる機会がほとんどありません。地元出身のホッケープレーヤーたちは親同士が知り合いだったり、学校も一緒だったりして知り合いや友達がたくさんいますが、カナダに急に現れた私がその中に入っていくのはとても難しいものです。岡山のプライバシーも何もない更衣室や、少なすぎるホッケー人口のおかげで、私は自分にとって大事で必要な人間関係を築いていたことに気がつきました。
11月は女子チームでトーナメントのために初めての遠征に行ったり、学校のホッケー部では初めての試合があったりしました。その中でチームメイトと仲良くしたいのに思い通りにいかないことや、ちょっとしたことで勝手に傷ついて涙が止まらないことがありました。一度は本当に落ち込んで学校を早退し、次の日も学校に行けないほどでした。日本にいる友達と弟と母に電話で聞いてもらい、なんとかゆっくりと立ち直ることができましたが、カナダに来て初めて辛いと感じました。日本に帰りたいと思ったわけではなく、ただただホッケー人口の多すぎるどうしようもない状況に絶望していました。
もうひとつ困ったのは恋愛です。私にとって恋愛は原動力なので、上手くいけばその他全ても上手くいきますが、その逆もあります。現地の人たちと留学生とでは、できることの幅が大きく違います。留学生は車の運転、パーティーへの参加ができません。このふたつができないと、カナディアンと関わるチャンスをかなりの割合で奪われます。カナダでは自転車での移動が手段としてほとんど使えません。鍵をかけて駐輪していても盗まれるからです。カナダは広いです。歩くことはできても、どこに行くのにも基本歩くと1時間以上かかります。学校やホッケーでカナディアンの友達と仲良くなればなるほど、どこまで仲良くなってもできないことがあると思い知らされることで、諦めなければいけないことがあることがとても不愉快でした。ホッケー部でのチームメイトとの関わりが不十分なことと、留学生という立場によって、恋愛のチャンスが少なすぎることは私にとって莫大なストレスになっています。
このふたつが重なって気分が乗らない日がしばしばありました。でも自分で努力して変えられることではないし、落ち込んでいても仕方がないとようやく気がついて、できる限りで満足する努力をすることに決めました。ここにいられる期間は決まっているし、まだ体験していないこともあるので、できることはたくさんあるし、できることがあるならするべきです。
前向きになってきたあたりから、新しい友達が何人かできました。カナディアンも留学生もいます。日本でも新学期に友達をパッと作るのが苦手だったように、カナダでもだんだんと今さら友達ができているように感じます。
湿っている冬という新しい体験も楽しいものです。最近ハマっているのはカナディアンガールコーデです。Tシャツまたはタンクトップにダウンジャケットを羽織るだけで完成します。初めて見た時はイカれた格好だと思いましたが、やってみるとなかなか快適です。長袖のトレーナーやセーターをすっ飛ばしてダウンジャケットを着てしまう発想はありませんでした。何事もやってみるものだなと思ったことのひとつです。ダウンタウンがクリスマスに染まってきたので、楽しめることを見つけてやってみようと思います。
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