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モスクワの新しい地下鉄の駅 Part-3

パート1ではハイテクな地下鉄の駅を中心に、パート2では、2023年3月に全線の運行が開通したモスクワ地下鉄大環状線の駅をメインにご紹介致しました。
パート3では、新しい地下鉄の駅の中でも、アートを感じられる駅を紹介致します。


  1. ルミャンツエヴォ  (2016年1月開業)

壁のデザインは、オランダのアーティストであるモンドリアンの作品にインスパイアされています。
カンディンスキーやマレーヴィチと供に、彼は抽象主義の創始者と見なされています。彼の作品のパターンは、駅の厳格な建築ラインと緋色のベンチによって支えられています。
電車から降りると、自分が絵の中の世界に迷い込んだような感じを受けます。


2 .スラビャンスキー・ブリバール (2008年9月開業)

乗り換えを繰り返し、ようやくたどり着いた駅でした。
駅は、パリの地下鉄の駅を思わせる駅で圧巻です。
スタイルはアールヌーボー、パリの地下鉄のパビリオンへのオマージュです。
プラットホームには優雅な金属製の木が「生え」、ベンチはボートに似ています。
駅名にもアールヌーボー時代を彷彿とさせる華やかなフォントが使われています。
ホームでは、パリの通りを歩いているような雰囲気があります。


3. ムネヴニキ (2021年4月開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。この駅もアートが楽しめる駅です。
デザインはロシアンアヴァンギャルドをテーマにしています。
マレーヴィチのシュプレマティスムと彼の「赤の正方形」を思い起こさせます。配色は赤とグレーの組み合わせ。視覚の中心は緋色の柱のアーチです。
構成主義の特徴は、エスカレーターのL字型のライト、黒と白のチューブランプを備えたボリュームのある天井、さらには通りを示す看板など、他の細部にも見られます。
赤、グレー、メタルシルバーの組み合わせがマッチしています。


4. «CSKA» (2018年開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。 
パート3の動画の中で、一番注目する地下鉄の駅です。
駅の名前は、近くにある、伝説的なロシアのスポーツクラブ「CSKA」(1923年設立)の施設にちなんで名付けられました。
このクラブは、日本では、以前サッカーの本田選手がプレイしていたことでも有名なクラブです。
駅にクラブの名前を付けるという決定は、熱心なファンの参加なしには行われませんでした。
2016年、すでに建設が本格化していた時、8000人以上のスポーツクラブのファン達は、駅を「CSKA」と命名するようリクエストする公開書簡をモスクワ市長に送りました。
ファンへのプレゼントということでしょう。
駅はクラブのシンボルで豪華に飾られています。
まず、駅名が、クラブカラーで明るく輝き、青い文字が赤い光線で照らされ、赤い文字が青い光線で照らされています。
とてもクールです。
プラットホームのいたるところに長くスポーツクラブの勝利の歴史を思い起こさせる壮観な彫刻が立っています。
クラブカラー(赤と青)が、駅のインテリア空間の色となっています。
クラブカラーは、白、ライトグレーの花崗岩とメタルの表面、黒い壁の光沢をバックに、特に表情豊かに見えます。
乗客は、車両から降りるとすぐに盛大なスポーツの祭典に浸ることが出来ます。プラットホームでは、CSKAの伝統的なスポーツ選手の彫刻が迎えてくれます。オリンピックチャンピオンのフセヴォロド・ボブロフ(サッカー選手)、ユーロリーグで2度優勝したヴィクトル・クリャパ(バスケットボール選手)、世界ユニバーシアードで2度優勝したニコライ・パンクラトフ(スキー選手)、世界選手権の銅メダリスト、デニス・デニソフ(ホッケー)。彫刻家M.V.ペレヤスラヴェッツが、彼らの勝利の最もエキサイティングな瞬間の、特徴的な動きを伝えました。
地下鉄の天井は、CSKAクラブのすべてのアスリートに捧げられています。
空から落下傘兵が降下し、騎手やヨットが競技の興奮に包まれ、サッカー選手が決勝ゴールを決めようとしている。
アーティストのシチェグロフとブブノワは、デジタル技術の助けを借りて壮大な天井のコラージュを作成しました。
これは絵画、写真、コンピューターグラフィックスの非常に表現力豊かな混合物です。画像はUV印刷でアルミニウムパネルに適用されました。
CSKA駅から、外に出ると、広がるパノラマの景色を眺めながら、駅で感じたスポーツの興奮を思い出すことが出来ます。



5.サヴョーロフスカヤ (2018年12月開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。
この駅の最も珍しいのは、プラットホームの内側に見える黒いチューブです。
そのチューブは、トンネルのライニングです。
それらは、ガラス越しや、線路の壁に沿ってみることが出来ます。
この駅が出来た時に、乗客の間で、これが、装飾として評価されるか否かで、論争されたそうです。
そのような方法は、大胆で独創的に見えますが、今までの古い環状線の地下鉄の駅で、博物館のように美しい内装建設に慣れているモスクワ市民の不満は理解できます。


6.マリーナ・ロシャ(2010年6月開業)

この駅は、パート2で紹介した大環状線の駅のプラットホームとは異なる路線の駅です。
駅の設計者はA.L.クレンバエフ、A.M.シュトフです。
プラットホームの壁の仕上げは、濃い緑と淡いピンクの大理石でできており、黒い台座があります。
線路の壁は、人工素材で作られた灰色のパネルの上に、この地域の歴史的な景色を描いた大きな明るいモザイクの絵が飾られています。
モザイクの作者は、アーティストのS.V.ゴリャエフです。
パート2で紹介した現代的なハイテクなデザインのプラットホームと比較すると、このプラットホームは、絵画的なデザインです。


7. フォンヴィジンスカヤ (2016年9月開業)

この駅は、有名なコメディ「負け犬」の著者である18世紀の作家兼劇作家であるデニス・フォンヴィジンにちなんで名付けられました。
ホームの柱の中に描かれた18世紀の人々の姿が、駅に独特の雰囲気を与えています。
プラットホームに立ってエスカレーターの方を眺めた際に見える、渦巻きが物語が書かれた時代へ続くトンネルのような印象を与えています。


8. ヤフロムスカヤ (2023年9月開業)

ヤフロムスカヤ駅は、モスクワ地下鉄のリュブリンスコ・ドミトロフスカヤ線の駅です。
プラットホームを囲む壁は、全く異なったデザインをしています。
一つは、明るい赤い壁、もう一つは、明るいグレーの色で、1947年のモスクワ建都800周年記念に捧げられた歴史的なパネルで装飾されています。
パネルは建築家の N.I. シュマコフとA.V. ネクラソフ、アーティストのA.I.ルカビシニコフによって作成されました。
首都創建 800年を祝う実際の歴史的出来事がここに記録されています。
祝賀会はとても明るく盛大に行われました。
お祭り行事の中には象の行列も含まれていました。


9.ドストエフスカヤ (2010年6月開業)

駅は80年代から建設中でしたが、2010年に開業しました。
デザインには、ドストエフスキーの小説「罪と罰」、「カラマーゾフの兄弟」、「白痴」のシーンが含まれています。
駅の完成後、乗客がすべて、選ばれたテーマを高く評価したわけではなく、多くの乗客は暗い写真に憤慨しました。
モザイク画の作者であるイワン・ニコラエフは、「ドストエフスキーのテーマを取り上げるなら、彼の作品の深さと悲劇に対応する必要がある」と批判に応えたとのこと。そういえば、彼の作品は暗いものが多いのを思い出しました。
この駅を訪れた時、ドストエフスキーの顔のモザイクの前で、クラシック音楽を奏でる女性たちがおり、彼女たちの音楽に人々が時々立ち止まって音楽に耳を傾けていました。駅の雰囲気とぴったりでした。


10.レフォルトヴォ (2020年3月開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。この駅の名前はモスクワのレフォルトヴォ地区にちなんで命名されました 。
この地域の名前は、ロシアの軍人でピョートル大帝の腹心だったフランツ・レフォールに由来しています。
プラットホームの四角い直線的なデザイン。
一方、プラットホームを上がった切符売り場とロビーの内装は、17〜18世紀を思い起こさせるものがあります。
切符売り場と、ロビーにあるモノクロの絵は、駅の名前の由来となったレフォルトヴォ地区の豊かな歴史的遺産を思い浮かべます。
ロビー壁面は面積約40平方メートルの白黒の装飾パネルで飾られ、そこには、ヤウザ川の水面に映る宮殿の建物を描かれています。
切符売り場のロビーの天井には、宮殿の初代所有者フランツ ルフォールの紋章である象と騎士の兜が描かれています。
それらの絵の繊細なタッチと、壁の色がとってもマッチしています。

どうぞ動画をご覧ください。



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