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講座につぐ講座の依頼が来た本当の理由(カウンセリングルームを開業した個人的な話29)

※カウンセリングルームの経営に役立つ普遍的な話は、個人的な話の後に書く予定です。
※この記事は目次に沿って書いています。

第4章の最後の項目になりました。
開業してからのお話にお付き合いいただきありがとうございます。
全体としては、第5章までで、このお話は一旦区切りをつける予定です。
第4章では、カウンセリングルームを開業してからのことを綴ってきました。
と、いうことは、実は今日の回で、一旦活動の内容は一通り書き終わることになります。

2018年の暮れ、私は自分でお受けするカウンセリングの仕事を休業することになりました。
それまでにも、母の様子に不安があったのですが、2018年に決定的な出来事があり、日中、毎日のように母の家に行き、通いで介護する必要が出てきたからです。

それまで2016年頃から少しずつ、依頼されての講師の仕事が増えていきました。
2018年が特にラッシュでした。
相手方は、多くの場合、公的な機関でした。県や市町村の組織、○○協会などの職域団体、保育園や学校、学童の支援員等々です。

多くの場合は、春頃にご依頼の電話が入ります。
おそらく年間の計画を立てるためだと思います。
そして、私は初めに担当者の方に、一度長々と電話で質問します(ご依頼を受けた後)。
担当者の方の主観で構わないので、参加者の方たちはどんな生活(仕事)をしていてい、どんな問題意識を持っているのか、担当者としてはどのような内容を参加者に伝えたいと思っているか……などをお訊きするためです。

「心理カウンセラー」としての私に依頼が来るということは、漠然と「心のケア」ということを思っての企画なのですが、私は、一つの「商品」を持っていて、どこに行っても同じ話をすればよい、というスタイルではないので、とにかく相手の要望に沿って内容を考え、わかりやすくお伝えできるような工夫、興味を持って聴いていただけるような工夫などを凝らし、導入やアイスブレイク、途中に簡単な演習を入れるなどしながら、パワーポイントで説明する、という形をとっていました。

どんなテーマにせよ、その講義自体に一連のストーリーを持たせることを意識していました。
毎回ドキドキしながら、終了後に参加者の方のアンケートを拝見するのですが、概ね良い感想をいただき、ほっとした記憶があります。
依頼された時から数カ月、いつもどこかでその講義のことを考えているわけですし、体調管理も含め準備にも時間をかけるので、最終的に「伝わった」と実感できることは、とても嬉しいものです。

また、県の事業の場合は、パーセンテージで肯定的な感想の割合を算出し、予算資料などに反映されるので、さらに結果には責任を感じます。

そして、その講演や講義に呼ばれた数がピークだったのが、2018年で、合計で14回でした。
多いか少ないかの基準は、立場によって違うと思いますが、私としては、多かったです。先に書いたように内容も一つひとつ違うものをしっかり練り上げる時間も考えると、結構気の休まらない一年だったと思います。

その次の年は、母のことが頭にあったので、最初からお断りしていました。

すると今度は、代わりに誰かよい人はいないか、と紹介を頼まれることがありました。
そうなってみて、わかったのです。
私に沢山の団体さまが依頼をくださった理由が……。

まず、地方自治体には、報酬の基準があり、条例や規則で定められているので、市町村や県の機関の場合、一度の講演で支払われる予算が決まっています。おそらくですが、相場よりは高くありません。一度のカウンセリング料金と同等かその前後くらい、それに加えて旅費、ということになります。準備の時間を考えると、全く時給としては成り立たない額なのです。また、前に上げたような団体もそれに準ずるような金額になります。

私は、そのこと自体、あまり気にしていませんでした。
前回の「カウンセリング以外のカウンセラーの仕事」の項目でも説明しましたが、1対1でのカウンセリング以外にも、多くの人に知っていただきたい知識というものが自分の中にはあるので、それをお伝えする機会をいただけるのは嬉しいことですし、1対多数の中で生まれる信頼関係というものも一度体験してみると、こちらが感謝の気持ちでいっぱいになるような高揚感があります。
また、依頼していただけるということ自体、社会的に認めていただいているような気がして、開業当時の「講座を主催しても参加者が数人」という時や、「開催自体が危ぶまれる」という時のことを思い出すと、嬉しいことだったのです。

冷静に、時間単価が少ないことは理解していましたが、「公的機関での実績を積む」ことは、私にとって意味のあることでした。

ところが、今度は、依頼されて心理学の講座の講師を私自身が探そうとした時に、苦労したのです。
もちろん、人材がいないわけではないと思うのです。
でも、普段、心理学系の方と繋がりがない方にとっては、いきなり伝手もなく大学の窓口に問い合わせるのも難しかったでしょうし、民間のカウンセリングルームも玉石混合なので、実績などが書かれていないと不安になるでしょう。
また、メディアで見かけた方に依頼すると、元の予算では、到底受けてもらえない、という実態がありました。
それを知って、担当者の方々が「予算内で適任の講師を探す」ことに苦労されているということが理解できたのです。

そういうわけで、私に講演・講座の依頼が増えていった理由が少しわかったような気がしました。
増え始めたきっかけは、県の企画で、県内数か所を巡回するセミナーでした。
その時に、市町村の担当者が、私という存在を知ります。
そして、講演で配られ、手にしたチラシや資料などが、また職場関係の人の目に触れたりします。

県のセミナーをした人なら……
この内容なら……
ということで、安心してご依頼くださった、という流れだったのではないかと思います。

そうだったとしても、前提として、県の方に依頼されるまでに、信頼される仕事をしたことは事実ですし、講座も内容で結果を出さなければ、さすがに次のお声はかからなかったと思うので、私なりには頑張った結果だと思います。

もっともっと上を見ればキリがないですが、とりあえず、誰かと比べることは脇において、「その方が知らなかったこと」を「お伝えして知ってもらう」経験を沢山させていただいたことに感謝しています。

一番最後の講演は、中学生が対象でした。
内容を難しいと思った子がいたかもしれませんが、どうかこの子たちが、大人になってもこの知識を使えるように! 学校で習わない「自分も相手も大切にするということ」を忘れないように! そんな願いを込めて、最後の講演を終えたことを覚えています。


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