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パラレルワールド

もし、時間も空間も次元も超えてパラレルな世界がいくつも繋がっているのなら、あの幸せなお風呂の時間が今もどこかに存在したらいいな。

あの頃、良くたんたんと2人で狭い湯船にギュウギュウつかって、チェッカーズのSONG FOR USAをハモる練習をしてた。それもめちゃくちゃ一生懸命に。

たんぼう、上手だねぇ!よし、もういっかいやるぞ!

ディスィズソンフォユーエスエー!さいごのあめりかのゆ〜め〜を〜、い〜ま〜ここへ〜きて〜おなじ〜うた〜を〜うたぁってくれぇ〜!

真剣にやれよ!日々これ精進!あ!やべぇ屁が出た笑笑

もー!ちょっと!!やめてよ!キャー!あははは!

よし!もっかい最初からいくぞ!せーの!


喧嘩もしたけど眠るときはいつもくっついてた。2人でいればただ楽しくて嬉しかった。

家族からの暴力や言葉で、いつも怯えてばかりいる私に

お前は悪くない、お前はいつも絶対に悪くないんだ!お前のせいじゃない。お前のせいじゃないから!!

繰り返し繰り返し言ってくれた。何度も何度も何度も。

夜になると戸締りをしながら数を数え続けるオマジナイを繰り返す私に

今夜は長いねぇー!もう窓も鍵も閉まってるけどなぁ笑いいよいいよ、気が済むまで数えてからこっちにおいで。たんぼう!

呪文のように数を延々と数える私を、面白そうに、でも優しく、笑いながら眺めていた。


もしお前が病気になっても、どんなことをしても治してやるから安心しろ!インドの山奥でもどんな秘境にでも行って薬をもらってきてやる!大丈夫だ!

たんぼう、お前はいつだって大丈夫なんだ

そう言ってくれたひと。



わたしは大丈夫。


パラレルワールドのお風呂で、私とたんたんは重なりながら、のぼせそうな真っ赤な顔でビブラートをきかせて今でもチェッカーズの古い歌を歌っている。



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