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【映画】原作とは切り離して観るべき~『ハナレイ・ベイ』(松永大司監督)~

*この記事は、2020年7月のブログの記事を再構成したものです。


『東京奇譚集』に収録されている村上春樹の短編「ハナレイ・ベイ」を、映画化したものです。


短編の「ハナレイ・ベイ」を読んだのは多分1度きり、しかもだいぶ前のことなので、断言できませんが、この映画は短編からインスピレーションを受けた、ほぼ別の話ですよね? 映画は吉田羊演じる、人生に起きた辛いこと・悲しいことに蓋をして生きてきた女性サチが、封印していたものに向き合う物語です。


少し前にレビューした、『風と行く者』にも通じますが、この映画にもサチの息子をはじめ、未成熟な存在が出てきます(てんこ盛りというほどではありませんが)。彼らを演じた若き俳優たちを、売り出すための映画という気がしてしまいました。



木と戦う(?)シーンに代表される吉田羊の演技や、カウアイ島の自然は、とても素晴らしかったですが。あと、栗原類のラリっている演技が真に迫っていて、怖かった……。


97分と、決して長くはない映画なのに、途中からは「早く終わらないかな」と思ってしまいました。イラク戦争を絡めたのも、果たして必然性はあったのか。


原作は原作、映画は映画と切り離して観れば、悪くない作品と言える気がします。


見出し画像には、ハナレイ・ベイの写真を使わせていただきました。




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