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今どきの信頼関係の作り方

どれだけテクノロジーが進歩して、ITを駆使した非対面でのコミュニケーションが出来るようになったとしても、やはり人との関係を築くためにはアナログなやり方がいちばんだと思う。

相手と対面して、相手の息づかいとか体温を感じながら、探り合うかのように信頼空間を自分たちの周囲に作っていく。

初めて顔を合わせた人。呼吸の回数も違うし纏っている空気感も匂いも違う。人見知りをするわたしは、互いの持つ空気感が混じって息が出来るようになるまでは、息を潜めて、その場の空気に馴染もうとする。

人見知りなんて云うと、「ウソ!」と言われそうだが、他の人よりも打ち解けやすそうに見えるのは、同じ目的を持って集まった人のなかでの話だ。

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以前、精力的に参加していた救急や災害研修だったら、救急や災害に関心がある人たちが来ているので、似たような空気感を持つから息がしやすい。

でも不特定多数の人がワヤワヤ集まっている場所だと、空気の濃度がマチマチだし、失礼だが臭い。「息ができん!」となったら即刻退散するけれど、時間とともにその空気感に馴染めて、深い呼吸が出来たら、ゆっくりとそこに居る面々の顔を見始める。

これはどう考えても、アナログな信頼関係の構築の手段だし、こんなアナログなやり方でないと人との関係を築くのは難しい。

研修会によっては、事前に参加者名簿を添付してメールで送られてきたし、参加者が早く馴染めるようにグループ内でメール交換とかやっていた。

だから、顔は知らなくても名前とか、所属や経歴、どんなことに興味を持っているかとか知ることが出来た。でも、これらはあくまで情報であって、そんなもんはどうにでも操作できる。メールからは、その人の息づかいも体温も空気感も感じられない。

アナログな昭和生まれなので、ITとかを活用したマッチングアプリにも興味がないのか?修正されて、皆が似たようなクリクリ眼の顔写真にも辟易する。

やはり、人も活魚も「生」がいいし、鮮度の良し悪しは自分の舌で確かめたい。

あっ、果物の糖度を数値化して表示しているのは選択するときに助かる。でも、人は数値では表せない。

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この1年。コ○ナ禍となってわたしの交流の幅は広がった。介護をしながら、近い距離で活動をしていたのが、父が亡くなり、コ○ナ関係の仕事をするようになって、新たな人間関係のなかで暮らしている。

本来、人を知り、信頼空間を作っていくには「アナログだぜ!」と思っていたのに、密な距離感は持てなくなり、人を見定めるには、その人が醸し出す空気感を肌で感じることが大切だと思うようになった。

肌感覚。

歳を取ると皮膚も固くなるし、分厚くなる。ザラザラと粗くなって肌感覚も鈍くなるのだろうか。不祥事を耳にするたび、自分の肌を擦っては、感覚の鈍麻がないか確認する。

そういえば、お気に入りの馬油石鹸が小さくなってきたので、こんにゃくスポンジと合わせて買ってこよう。


イラストは、kanasiiutageさんのものです。