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ショートショート(掌編)集

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短いお話たちです。
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霊が見える彼女【掌編】

霊が見える彼女【掌編】

「わたし、霊が見えるのよ」
彼女がとんでもないことを言うのは、いつものことだ。
「僕は君しか見えないよ」
僕はいつものように、なんとなく小さな声で返事をしておく。

すると彼女の母親が部屋に入ってきた。
「けんちゃん、いつもありがとうね。娘もきっと喜んでいるわ。」
母親はそっと腰を下ろし、机の上におしゃれなコーヒーカップを2つ置いた。
僕はチラっと彼女を見た。彼女はどこか寂しそうな表情をしていた。

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