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\詰んだ/一生ニンニク臭い女

仲が良い会社の同僚と、休日に某ハンバーガー屋に行った。マックやケンタッキーのようにフランクな店ではなく、少し高めのバーガー屋さん。たまにはそういう贅沢をしないとやってられない。

ハンバーガーで勝負してるだけあって、種類が豊富だった。コテコテから和風まで、全てのハンバーガー好きの期待に応えられる。
数があり過ぎて迷ったが、私はガーリック系のものにした。スライスしてカリッと揚げたニンニクではなく、焼いたニンニクがゴロゴロ入っているらしい。最高だ、ニンニク好きとしてはたまらない。

同僚は普通のハンバーガーにした。出来上がって運ばれてくると、出来立てほやほや!フーフーしながらかぶりついた。

ん、ん、んまぁ〜〜〜(゚∀゚)

ニンニクがたくさん入っているので、肉との配分に困らなかった。1つ食べても次々出てくる。エンドレスニンニク。全て食べ切ったが結局何個入っていたのだろう。もしかしたら丸ごと1房入っていたかもしれない。そのぐらいボリューミーで満足した。

ご飯の後はお茶もして、とにかく長時間おしゃべり。

その週は実家に用があったので、実家に帰宅して数日泊まることに。
玄関からリビングに入っていくと、母親が絶叫した。

「くっさ!!!ニンニクくwkr@dqnmゎあ゛゛ぁぁぁぁぁ」

よほど口が臭かったらしい。どうしてニンニク臭さというのは自分だとあまり分からないのだろう。たしかに口の中は臭いけど、そんなに悶絶するほどだろうか。

別の部屋の父親のところに行った。母は大袈裟なので、父親の公平なジャッジを聞くことにしたのだ。

「おお、臭いな」

どうやら本当に臭いらしい。私にできることは歯を磨くぐらいだが、一生懸命磨いた。
母から「友達から何も言われなかったの?」と言われた。後からLINEで聞いてみたが、「全然分からなかった」と。母は「鼻きいてないんじゃない?」と、私の友人までディスりだした。この人はいつもこうだ。

翌日、別の友人と映画に行く予定があった。
母親は私がリビングに来るなりまた「くっさ!」と言った。またまたぁ。2日目なら大丈夫だろう。やはりこの人は大袈裟だから信じるまい。

荷物を取りに、自室がある2階へ向かった。すると別の部屋にいた父親がその場から動かずに大きな声で話しかけてきた。

「マリコ、そこにいるんだな?ここまで臭ってるぞ」

まさかの臭いバレ。

父親に言われるなんて、よっぽどだ。この状態で映画館に行ったらどうなるだろう。同行者は気絶し、周りの席の人からは映画を楽しめなかったとして賠償を求められるかもしれない。

ノニオで口をゆすぎ、ブレスケアを飲み、ミントの香りがするマスクを付けて向かった。
知人からは終日何も言われなかった。本音はどうだったのだろう。例えニンニク臭くても面と向かってなかなか指摘できないだろうし。もし臭かったら本当に申し訳ない。なぜ医療やテクノロジーは発達しているのに、ニンニク臭さを一発で消す物は無いのでしょうね。(責任転嫁)

結局、私は両親から4日ぐらい臭いと言われ続けた。臭わなくなって本当に良かった。よく「もし世界が終わるとしたら、最後に何を食べたい?」という問いがあるが、私はあのハンバーガーを食べるだろう。そのタイミングなら人に迷惑をかけるまい。

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