私がHPVワクチンの普及と精神科の立ち上げをやりたい理由
来訪いただきありがとうございます!
マーガレットこどもクリニック 看護師の森山です。
今年の2月から3月にかけて、当院とみんパピ!さん、認定NPO法人フローレンス との共同で、男の子にもHPVワクチンを!という企画を実施しました。
抽選で60名の男の子にHPVワクチン1回分を無料で提供するという企画です。
なんと140名の方から応募があり抽選となるほどの大盛況でした。(落選された方、申し訳ありませんでした。)
接種にいらっしゃる息子さん、保護者の方とお会いして感じたことがあります。みなさんとても温厚そうな親しみやすい方々でした。
無料でワクチンを打てるから、というのは差し引いて考えても良いとは思うものの、それ以上に親子関係の雰囲気の良さが印象に残っています。
親子で話し合いをしてから来られているのは当然のこと、
簡単なインタビューの際も、必ずというほど保護者から息子さんにコメントを託す様子があり、お子さんを信頼している姿が伺えました。母が息子の意見を確認せずに話し続けるとか、母が子どもの言葉を制御するようなことが一度もありません。息子さんたちがのびのびしています。
今回来院してくださった方の多くは、母がSNSで企画を知り、息子さんに声をかけていらっしゃっていました。
つまり、母が医療情報にアクセスできる環境にあり、その情報を取捨選択されていたということ。
次に、得た情報からすぐに申し込むという行動力があったということ。
さらには親子で接種について相談できる関係性だったこと。
息子さん自身も接種について理解ができたこと。
物理的にクリニックに行ける距離に住んでいたこと。
最後に、当選したということ。
いくつものターニングポイントを乗り越えて接種にいらしたのだと思います。
こういった、信頼し合える親子関係の中で、有益な情報が子どもにきちんと伝えられ、子ども自らもその情報を理解して行動に移せるっていう、色んな意味で幸運が重なった方が、このキャンペーンにいらっしゃったのだと感じています。
素敵な親子関係に感激したと同時に、そういう環境でないと今は男の子がHPVワクチンに辿り着けないという状況が悲しくもありました。
今回は1回分のHPVワクチン接種費用無料とさせてもらいましたが、現時点では日本の男の子は自費接種になるため費用面での負担は大きく、接種を躊躇する方は多いのではないでしょうか。
それ以前の問題として、そもそもHPVワクチンが男性にも有用であることをご存知ない方も多いのではないでしょうか。
早く日本でも、女の子と同じように男の子も公費で無料接種できるようになり、格差が是正されることを期待しています。
話は全く変わりますが、当院では精神科診療を開始するために準備を進めています。
これまで小児科と病児保育室を運営してきましたが、
その中で、母が精神疾患にかかって子育てにハードルがある親子や、精神疾患ではないものの子育ての負担に困惑、疲弊した母などに出会いました。
母をサポートすれば、母も子も救われるのではと思うようになりました。
先程、現状では男の子がHPVワクチンを接種できるのは幸運だと書きました。
このことと精神科診療を始めることは、私の中では実はつながっています。
ちょっとわかりにくいですよね。
私にとってはどちらも、子どもの人権擁護なのです。
幸運な男の子しかHPVワクチンに辿り着けないという理不尽。「接種していれば咽頭癌を予防できていたはずなのに」などと後悔する男の子の未来を何とかしたい。
それと同じように、精神科診療で例えば母親のメンタルケアができれば、子育てに余裕ができたり、子どもへの関わり方が優しくなったり、仕事を続けやすくなったり、という未来を描いています。
それは子どもの生活の安定、心身の安定につながっていきます。
母世代を助けることで、間接的に子どもも助けたい。
親の幸福と子どもの幸福は、切っても切り離せないことが多いです。
子どものためにも、親自身のためにも、精神科を始めることで力になれるのではと考えました。
私はこれまで、認定NPO法人フローレンスのスタッフとしても、子どもや親子に関する課題をなんとかするピースの一部になりたいという思いで仕事を続けてきました。
私たちが提供できることはそれほど多くはありません。
今、できることとして、精神科診療の開始を考えました。
微力ですが、今より少しでも良い未来を子どもたちに託すために、一歩踏み出そうと思います。
今、当院では精神科医師を探しています。
私たちと一緒に、親子や女性にまつわる社会課題を医療を使って解決してくださる方、ぜひ詳細ページをご確認ください。
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