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フリーランス6年目。何屋なのか分からないけど面白い人生。

大学卒業後、特に企業に就職せずフリーの俳優として活動する道を選んだ。名の知れた私立大学を卒業してこの選択をする人はほぼ0だろう。就職先を知らせるアンケートにももちろん自分がチェックできる選択肢はなかった。
実家で生活費のかからない暮らしをさせてもらっていたから、必死にアルバイトをしなくてもよかったし、本当にありがたい環境だった。「ときめかないことはやらない」頑固な性格が発揮され、進路も就職も結果普通じゃないやり方を選んできた事になる。

ところがどっこい、「稼げない俳優をどうやって続けてきたか」にも書いた通り、俳優という仕事の報酬は微々たるもので普通に稽古と本番の時間アルバイトに充てた方が稼げる。そんなこと知っていたはずなのにいざ社会人、学生という鎧を脱いだ後に突きつけられる現実にめまいがしたといっても過言ではない。と同時にSNSなどを通じて目に触れる高校、大学の同期の活躍。よくお世話になっているあの企業やこの企業で忙しく働く友だち。車を買いました、家を買いました、結婚しました、海外に移住しました、子どもが生まれました、の報告にフツーに焦る!自分で選んだ道なのに、こんなシチュエーションも容易に想像できてたはずなのに、数々の人生の節目報告に現実味を感じられず、憧れはないが引け目は十分に感じ、久々に会う人から聞かれる「今何してるの?」に答えるのが億劫。

6年通じてこんな感じだけど、大学卒業後の2年ほどは舞台頑張るぞと意気込んで色んな人たちに会いに行ってエネルギッシュだった気がする。MCの仕事に挑戦し始めたり。今のパートナーに出会ったのもこの時期で、それはとあるユニークなバイト先だった。そこで今も連絡を取り合う同世代の仲間たちにも出会えて、舞台の世界以外にも気持ちが通じ合う友だちができたのはすごいよかったな。バックパッカー、YouTuber、料理人…当たり前レールを自ら外れた人たちから勇気をもらっていた日々だった。

そしてパンデミックがやってきて、家族で家にこもる時間が増えて、舞台もなくて、オンライン使って自分で「やること」を作って忙しくして、みんなに忘れられないように必死だった。ヨガに再びハマったのはこの頃。毎日Yoga with Adriene やってたまに涙すら出てた。みんなそうだと思うけど、自分の想像以上にこころが参ってたね。
舞台に立てるチャンスが増えてきたら、今度はパンデミックの反動なのか、失われた時間を取り戻すぞ〜的な勢いが止まらなくなり、とにかく舞台に立ちたくてオーディション受けたりなんだりしていた。とても忙しくしていたしそれをアピールもしたかったんだと思う。わたし、頑張ってるよ!まだここにいるよ!

でもまぁ人生一筋縄ではいきませんね。自分を取り巻く色んなことの歪みが一気に跳ね返るような出来事があり、もちろんわたしだけではないけど「まじ生きるのめっちゃ辛いわ!!!」と打ちのめされ、何もかも手放したくなり、ふと思い浮かんだ選択が海の近くに引っ越すだったわけだ。
だいぶ簡略化してるけど、ま、そういうことだ。

それで実家を初めて出て、都民じゃなくなって、開業届も出して個人事業主になった。ちなみに開業届に書く自分の職業が決められなくて5種類くらい書いた。(笑)さて、ここにきて現実味の湧いてくる不安。「家賃は払い続けられるのか?」賃貸契約上では同居人の婚約者(結婚の予定はない)なのでフリーの俳優でも住むことができてるわけだ。貯金あるからなんとかなるとは思っていたものの実際に生活が変わると焦るよ!

もうこうなれば恥もプライドも劣等感も引け目もお荷物だ。ランサーズにクラウドワークス、使えるものは何でも使う。納戸を収録室にDIYしていくらか稼いでみたりもした。(残念ながら夏の湿気に室内が耐えられず、今は封印されている。)あと、Facebookに引っ越したことと、このエリア近郊で働けるところないですか?と投稿してみた。すると、近くに住んでると高校の同期が連絡をくれて地域の情報交換がはじまったり、友人がリモートでできる仕事を紹介してくれたり。ちなみにその在宅の仕事は1年以上やっている。初めは知識ゼロからのスタートだったが、友人の強力なサポートのおかげでそれなりにタスクはこなせるようになってきた。苦手と思っていたことでも、報酬に見合った作業ができるようになってきたかなとちょっぴり自信がついたり。

あとは近所のパン屋で朝働いていたが、舞台が入って数ヶ月お休みしている間にお店を畳むことになり、舞台が終わったらバイト先は消えてしまった。(笑)悲しかった、何よりあの美味いパンがもう食べられないことが。

というわけでここらにきて初めて「どっかの企業の正社員になってみようか?」という考えが初めて湧いてきている。母親の「人生で一度は経験した方がいいんじゃない?社会勉強!」という言葉と、近所の友人の「正社員はぶっちゃけいつでもなれるから!フリーで働ける人はそうそういないよ」という言葉が脳内を漂う…。

人生で初めて、コロナの時よりも、かもしれないぞ。それで「暇と退屈」についてパートナーと語らう日々。人間は暇だと退屈するから仕事をしている。暇な時の方が創造力が高まる。自分は幼い頃から忙しくしているのが好きだったけど、それはつまり、暇だと不安になるからだったのかもね。特別な人間になりたい、誰かに認められたい、そういう自己承認欲求がわたしを忙しくさせたのかもね。

で、なぜ今このnoteを書いているかというと、ここ数ヶ月の間に色んな仕事をいただいて、それが1年前の自分には想像もできなかったものだったり、ずっとやってみたいことだったりで。人生って中々面白いな、捨てたもんじゃないなと思ったからなのです。
暇だな〜、バイト探そっかな〜と思っていた矢先に、「うちの会社を手伝ってみない?」と新たな挑戦の匂い。ミュージカル丸々一本翻訳のチャンス到来!海外演出家来日のアテンド通訳。ダンスイベントの通訳兼アテンドスタッフ。ダンスワークショップの通訳。そしてなんと、英語対応のキッズシッターまで!!!
自分でも列挙しててどういうこと!?あなた何屋なの?って感じ。得意不得意はあるしそれに比例してストレスのかかり具合も異なるけど、どの仕事も信頼できる人に繋いでいただいたもの。「この案件、誰が受けられるかな?」でわたしの名前を思い出してもらえたことが何よりも嬉しい。
大学卒業後、23歳の自分が積極的に色んなところに出向いて蒔いてくれた種が、小さいながらも実をつけているのかもしれない。いや、まだ花の蕾くらいか。こっから花咲いて、実がなってくれると信じる。
他人任せ、風まかせなここ最近の自分のスタンスに腹が立つこともしばしばあるけど、追いかけ過ぎても逃げられちゃうし、暇を楽しみながらもしっかり働いて、生活して、困っている人に手を差し伸べられる心の余裕はもちろん、経済的余裕を得たいという漠然とした目標は、ある。
安定した収入がないのに美味しいもの欠かせない、自分に褒美を与えるのが大好きという困った習性を持っているが、占い師さんに言われた「今までも本気でお金に困ったことないでしょ?じゃあこれからもないです。」をほどよくリマインドして、ほどよく不安がって生きていこう。

長々とお読みいただきありがとうございます。
みんなにとっての仕事ってなんですか?仕事を抜きにしても、仕事してなくても、あなたは生きているから立派です!

わたしはこの通り、何屋でもない何でも屋です。職業という肩書きに縛られず、自分という人間が誰かや何かの役に立てる機会があれば、ぜひご連絡ください!と、最後はしっかりアピール!

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