見出し画像

手作りだけが価値なのか

フリーランスのメニュープランナー Yayoiです。

飲食店での酢豚の作り方について、食物系の以前に学生向けに講演をしたときの話題をふと思い出しました。

作り方は、大きく分けて3つあります。
A:生の肉に下味と粉うちをして素揚げ、カットした野菜とともに中華鍋で炒め、調味料を入れて水溶き片栗粉でとろみをつける
B:打ち粉してある肉を揚げ、カット野菜とともに炒め、「酢豚ソース」を入れて沸かす
C:冷凍になっている完成品をレンジアップする

レストランで食べるならAしかありえないと思っていた学生さんたちは驚き。もちろん、手作りをしているAが正統派であり王道であることに違いないのですが。調味料の配合や火の入れ方などちょっと技術や技も必要になります。

Bはファミレスなどのバイトちゃんでもできる作り方。
肉の揚げ時間が決まっていれば、ほぼ誰でも同じような仕上がりに調理することができて、味のぶれもほぼありません。

Cは調理担当じゃない人でもできる作り方。ジム併設のちょっとしたスペースで、ジムのスタッフが調理。オーダー入ったらチンして食器に盛り付けて、ご飯とセットでお盆にのせて、イートインコーナーで食べてもらう・・みたいな。

飲食企業でも、手作りを大事にしているところはもちろんあります。
それは尊い思想だと思います。
手作りには価値がありますが、BやCに価値がないわけではありません。

人手不足により、調理を簡素化していかないと立ち行かない場合もあります。さらに撤退の危機・・・なんてことになると、食事というインフラが崩壊することになるところも。
その場合は、BでもCでも、提供できることが価値だったりします。

料理人の気分で味が変わるようなら、Bのような出来合いのソースで安定したおいしさが出せますし、オリジナルの味もできます。
オリジナルのソースを使って、仕込みが大変な具材をたくさん盛り込んだ冷凍品なら、そこにも価値が生まれます。

おいしい手作りは正義だけど、手作りだけが正解ではない。
手作りは「尊い」のです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?