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ほめますか

貧乏ゆすりが止まらない…


仕事中、話をしている相手の足が小刻みに揺れている。癖なのか、もしくはイラついているのか…

ごく普通のトーン。穏やかな会話。気心知れているし、なぜだ?指摘すれば空気に影響するだろう。指摘するだけでは、何も解決しない可能性がある。

マインドフルネスの考え方なら、自分と切り離して考えればいい。

たとえば、外で雨が降り出したら「あぁ、雨か」と、他人事と思うかのように、「なんか揺れているな」と、自分とは無関係だと思うにとどめる。

に、してもだ… こちらは、真面目に話している。やっぱり気が散る。

口には出さないが、もう一人の自分が肩をすくめる。「おいおい、先輩が説明しているのに、貧乏ゆすりって、失礼じゃないの?」

すると、無意識にこんな言葉を発してしまった。

そのスニーカーいいじゃん、最近のヤツ?

自分はスニーカーに詳しいわけではないが、ただ真新しそうに見えたので「いいじゃん」と、言ってしまった。

すると相手は、スニーカーのブランドやら、最近若者の間で流行っていることやら、ちょっとした情報を嬉しそうに話し始めた。

自分にとっては、スニーカーの引き出しはスカスカだったから、少々新ネタが入ったので良しとして、再び仕事の話に戻る。すると、自分の感覚の違いに気づいた。

あれ、気が散らない… 見れば、相手の貧乏ゆすりが止まっている。

スニーカーを褒められたからなのか。自慢のうんちくを話せたからなのか。結局、貧乏ゆすりが再始動することはなかった。

貧乏ゆすりって、無意識にやる人が多く、原因は不安感やストレスにあるという。ゆすることで心を落ち着けようとしているともいう。

癖ならば、レストレスレッグス症候群という疾患で、20人に一人、女性は男性の2倍いるらしい。

癖って、無意識に出るものだから、揺れている足(スニーカー)に自分の「意識」が向いたことで「無意識」の動きが止まったのかもしれない。

ところで、「貧乏ゆすり」って、ひどい言葉だな。貧乏をゆするって…

徳川吉宗の時代に「ゴマの油と百姓は、絞れば絞るほど出るものなり」って言っていた悪代官みたいだ。違うか。

次回、相手がまた貧乏ゆすりしたらどうしようか。同じスニーカーを履いていたら、この方法は使えない。あえてわざと触れて「それ、この前も言いましたよ」とツッコませるか、それとも、靴ヒモでも、ほめてみるかな。

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