見出し画像

いわいますか

電車内の動画広告で「モテクリエイター」なるフレーズをよく目にする。

モテるために努力を惜しまないというコンセプトだと知り、モテる要素といったら「足が速い」「勉強ができる」「おもしろい」だろ、と思った。小学生の話だけど。

モテクリエイターさんは、この三要素を取りに行っているのか?という素朴な疑問が湧いた。

大人になると「足が速い」を表現する場は限られる。急に走ったりしたら周りに迷惑だし、駆け込み乗車なんて、もってのほかだ。

最近は、駆け込み乗車があると、車掌さんが「駆け込み乗車は、危険な上、ダイヤの乱れにもつながります。やめてください!」と、半ばキレ気味にアナウンスする。

初めて「半ばキレ気味アナウンス」を聞いたときは、「そんな言い方しちゃっていいの?」という余計な心配と共に、正直、溜飲の下がる思いをした。「もっと強めに言ってもいいのに」と感じている乗客は、他にもいたと思う。

大人になると「足が速い」は、表現しにくいし、「モテ」のメリットは少なさそうだ。一方、「勉強ができる」ってのも、何をもって…という基準が、学歴くらいなものだから、ひけらかすと嫌味にとられることもある。

あとは、「おもしろい」だ。小学生の頃の「おもしろい」ヤツってのは、大抵、前夜にテレビでお笑い芸人がやっていたことを教室で真似するといったレベルで、真の「おもしろ」を理解しているかどうかは不明だ。どちらかというと目立ちたがり屋さんが、なんとなく人気者に見えるって具合だ。会社で、「T!T!T!」とかやっていたら、ボーナス査定に響くだろう。なので、これら三つの「モテ」要素は、大人の世界では通用しないようだ。

では、モテる要素は、どうやって変化していくのか?

中高時代、「モテたい」と思っていても、男子校というアルカトラス刑務所のような閉鎖空間だったため、髪型を整える程度の外見をつくろったところで、なんら報われることはなかった。

ところがだ。あるとき、バレンタインデーにクラスメートが、登校途中に近所の女子校の生徒からチョコレートをもらったというスクープが校内を駆け巡った。そいつは、お世辞にもかっこいいとか、背が高いとかではなく、色白で、メガネをかけて、どちらかといえば目立たない存在だった。

今でもはっきり覚えている。そいつは、もらったチョコレートを自分の机に置いて、「興味ねぇよ」といったオーラを無理やり出しつつ、窓際のパイプ型スチーム暖房機に半ケツで片足を放り出し座っていた。

なぜこいつが… 周囲は、ショックをさとられないよう、しかし羨望の眼差しでヤツを見ていた。どうしてもらったんだ?自分を含め、みな興味津々だった。

その時、ひとつ気づいたことがあった。そいつは、見ようによっちゃ目つきが悪くも見えた。まぁまぁ度の強そうなメガネをかけていたしな。あと、目立たない割には、シャツの第二ボタンもオープンだったな。そうか。不良要素か… 今となれば、不良がモテ要素なのは当たり前だが、中高一貫アルカトラス刑務所には不良がいなかったので、「不良=モテ」に気づいていなかった。

しかし、不良要素で、そのままモテるかといえば、それは一部地域だけだろう。大学生になると、モテるには、不良に加えて軽薄な「ノリ」も必要になってくる。いわゆる、パリピだ。論理的思考ができる人から見たら理解し難いが現実だ。パリピはそのまま、大人になって、おっさんになって、初老まで突っ走る人もいるだろうが、社会人になると状況は大きく変わってくる。女子も「不安定<安定」にシフトしていく。

もともと日本人にはヤンキーに憧れる性質が備わっているので、不良への憧れは普遍だ。ただ、その気持を表に出すかどうか。そのかわり、10代半ばくらいから、面のいいヤツが台頭してきてモテ要素のメインストリームになってくる。さらに、社会人たるもの、勉強より仕事ができるってのも重要な要素。仕事ができるってのには、リーダーシップを取れるという要素が大きい。そして、モテの切り札は経済力だ。「そこになびくような人なんて、いっちまいなよ…」なんて強がってみたところで現実はシビアだ。

以前、シンガポールのマリーナベイ・サンズに行った知人がこんな報告をしてきたのが印象に残っている。

「屋上のプールで泳いだんですけど、女性がみんなきれいなんすよ。」

もちろん女性たちは一人で来ているわけではない。男性が連れてきているという意味だ。脱力…

自分はさて置き、報告をしてきた知人だってお世辞にもイケメンってワケではない。ただ、経済力はありそうだ。

ふう、、、「足が速けりゃ」な時代は終わったか…

モテるのは、面がよくて、経済力があるリーダーか。

あ、TOKIOの城島くん…

合っているかわからないけど、「なんか、すいませんねぇ」

沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です