見出し画像

「虎に翼」第9週「男は度胸、女は愛嬌?」

今週で一体何人のキャラが退場(もしくは生死不明)になったのでしょうか。鎌倉殿くらい退場している(あんなに血生臭くはないけれど)。
ロスになる暇すら、ない…

1.ロスからのロス

まず、週の頭から直道お兄ちゃんの訃報が。
翌日にはよねさんが東京大空襲で生死不明。
さらに優三さんの戦病死通知書(お父さんが隠していたので、時差での発覚)。
そして、お父さんが色々と暴露してお亡くなりに。

2.お父さん、それは言っちゃあかん

お父さんの今際の際での暴露?が色々あかん。
「寅子が優三くんと結婚するってなったとき、そっかぁってなった…花岡くんの方が良かったって思ってしまってごめん」
「花江ちゃんが強くなっていくのが嫌で、直道と二人で寿司を食いに行った、ごめん」
「直明が優秀だから、俺の子じゃないかもと疑ってしまってごめん」
「優未(寅子の娘)を高い高いしたとき、鴨居に頭をぶつけてしまってごめん」
とんでもない暴露から、今までの罪(?)を告白していく直言。

「いつまで続く?」と視聴者の気持ちを代弁する寅子。
悲しいやら面白いやら分からないですが、この数日後直言は天に召されました。
寂しいよう!お父さんのコミカルさも良いスパイスになっていたから…

3.優三さん

猪爪家に来客がありました。病院で、優三さんと隣のベッドにいた復員兵?の小笠原さんです。
寅子が優三さんに渡したお守りを返しに来てくれたのでした。
小笠原さんの病状が悪化した時に、「このお守りは、すっごいご利益があるんだよ」と寅子のお守りを渡したのです。
「私は助かりましたが、優三さんは……。私がご利益を吸い取ってしまったのではないかと」と申し訳なさそうな小笠原さん。

優三さん…!!
そうだった、あなたは美味しい食べ物も、ご利益すらも人に分け与えるような慈愛に満ちた人でしたね。
この話によって結果論ではありますが、寅子は「自分が作ったお守りが役に立たなかった」という呪いから解き放たれたのです。本当に仏かと思うほど優しい人です……。

そして、母・はるが寅子にお金を渡します。
「そんな、贅沢できないよ」と受け取ろうとしない寅子に対し、はるさんは
「必要なことです。私も花江さんも、どうしようもない時に贅沢したの。これ以上心が壊れて粉々になる前に優三さんの死と向き合って」
と送り出したのです。

焼き鳥とお酒を注文し、お金を払う寅子。
しかし、「美味しいものは一緒に」という優三さんとの言葉を思い出して、食べるのをよしてしまいます。

しかし店主さんが優しい人で、「もったいないから、持っていきな」と焼き鳥を新聞紙に包んで持たせてくれました。

寅子は川辺で包を開けて焼き鳥を食べ、
「美味しいものは一緒にって、言ったじゃない…」と泣き崩れます。
筆者も大泣きしました。配信(自宅)で見て良かった…。

いつもジムのトレッドミルについているテレビで朝ドラを見ているのですが、この回をジムで見ていたら号泣しすぎて通報されるところでした。危ない。

4.包み紙には

寅子が食べていた焼き鳥の包み紙には、「日本国憲法」の条文が記されていました。
あれだけ法律の勉強に熱心で、新聞を読んでニュースにアンテナを張っていた寅子が焼き鳥の包み紙になっていた新聞紙で新憲法を初めて知るっていうのが…つらい。
いかに寅子の心がすり減っていたかは推して知るべしです。

その中の14条、
「全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」
に目が止まります。

国籍ゆえに受験を諦めた香淑。
家を守るために結婚を選ぶしかなかった涼子。
夫に虐げられ、受験できなかった梅子。
女であることに絶望し、男装で生きるよね。

様々な人の顔が頭をよぎります。
筆者はまた、泣きました。
「女に生まれた」(+その他諸々の事情)ことで差別され、苦しい人生を歩んできた人たちが報われた瞬間でした。

そして、優三さんの言葉が脳裏に蘇ります。
「僕の望みは、トラちゃんが後悔せず自分の人生をやりきること」
優三さんのこの言葉が、13条(幸福追求権)と14条なんですよね。

優三さん、あの時代にしては人間が出来すぎてるよなと思ったけれど、そうか…あなたは新しい憲法になって、これからも寅子を支えてくれるんだね(打ちながら泣きそうです)

あの、目がキラキラして生きる喜びに満ちた寅子が帰ってきた!
早速「私が働く」宣言。
弟・直明に「男だからって全てを背負おうとしなくて良い」と言い、学問の道へと背中を押します。

少し時間が流れて、1947年春。
直明は再び学生に。寅子は法曹会館へ向かい、父が取っておいてくれた司法試験合格証明を携えて人事部長に直談判しに行きます。
人事部長は、なんと桂場。

寅子の来訪によってまた甘味(ふかし芋でしたね)を邪魔されるのが可愛らしくもあり、少々不憫でもあり。

「私を、裁判官にしてください」
ここで、オープニングが来るかぁ〜!!
秀逸すぎて鳥肌が立ちました。
やはりここまでドラマを見てくると、「さよーならまたいつか!」の味わいが深い。深すぎる。
「寅子の法律家としての人生は、これからだ!」と言わんばかりの演出です。

痺れますね。
サブタイ「男は度胸、女は愛嬌?」も回収しましたね。
男とか女とか関係ない、人であれば誰しも、度胸が必要な時も愛嬌が必要な時もあるさ!!

オープニング(エンディング?)のあとの
「なぜ私が君を雇わねばならない」
「えっと…」
という、続編予告のようなカットもとても良かった。

すごい。本当にすごい。まだ9週目ですよ?こんなに面白くて良いんですか?
ちょっとこれ、ドラマ史上に残る傑作になる気しかしなくなってきたんですが。
あと轟くんとよねさん、生きててください……(血の涙)予告にも姿がなくて、私は悲しいです。

来週は登場人物が増えて、寅子の「はて?」も復活。
夫の遺言(と新憲法)を備えた今の寅子は、まさに「虎に翼」。
とはいえ、まだまだ困難は立ちはだかることでしょう。
応援しています!!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?