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J1昇格プレーオフ準決勝 長崎VS仙台 振り返り

リーグ最終節の振り返り


はじめに

前節はリーグ最終節に勝利し、最後の最後にプレーオフ進出圏内の6位に滑り込んだ仙台。クラブ史上初のJ1昇格プレーオフに臨みます。
準決勝の相手は長崎です。強力攻撃陣と仙台の粘りの守備のぶつかり合い。どちらが力を発揮するかが勝敗の分かれ目でしょう。仙台としては今季のストロングである粘って粘っての戦いでロースコアに持ち込み、火事場の馬鹿力を発揮して決勝に駒を進めたいものです。

メンバー

☆仙台

スタメンは最終節と同じ。
ベンチはマテウスに代わって佳貴が入りました。

★長崎

IHはジェズスがCFから1列下がってスタート、名倉がベンチスタート、CFでエジガルジュニオがスタメン。
その他のスタメン・ベンチメンバーは前節と同じ。

得点経過

前半31分 仙台先制 中島元彦
後半8分 仙台追加点 エロン
後半23分 仙台追加点 郷家友太
後半31分 長崎追撃 マテウスジェズス
後半47分 仙台追加点 中島元彦

カギになる先制点は前半半ばに下克上を狙う仙台が取りました。右サイドからの浮き球をエリア手前中央で元彦が頭や胸を使いながらコントロール、ペナアーク付近へこぼれたボールを相良がダイレクトでミドルシュートを狙いますが、エリア内でヴァウドの手に当たりPK判定!これを元彦がど真ん中に蹴り込みました!何という度胸…。

2点目は後半の早い時間帯。右サイドのSB裏を狙ったボールは長崎の選手が体を入れてゴールキックになりかけましたが、郷家が粘って横からボールをプッシュすると真瀬への絶好のパスに。グラウンダーで折り返したボールにニアでエロンが合わせて待望の2点目!

決定的な3点目は後半23分。これも右サイドで人数をかけた崩しから。情滋→元彦と渡り、エリア内で裏を取った真瀬へ。真瀬は1つ外側の情滋へ繋ぐと強シュート!GKが弾いたボールに詰めた郷家が落ち着いて蹴り込んでダメ押し!

長崎も残り15分で反撃。松澤のアタックから中央の山田、ジェズスと渡ってジェズスの左足コントロールショットが炸裂。意地を見せる。

勝負を決めた4点目はATに生まれました。石尾がインターセプトからスルスル持ち上がるとフリーの逆サイドへパスを送り、受けた元彦が落ち着いて流し込みました!チームを昇格王手へ導くウィニングゴール!

試合を観ての感想

堅い入りと熊本戦の反省を活かした守備で序盤を凌ぎリズム掴む

長崎はこの新しいスタジアムになってから3戦3勝。4点・4点・5点と大量得点を取って勝ち続けています。特徴としては早い時間帯で相手のミスを突いて先制しているんですね。対戦相手としては芝の感じやスタジアムそのものの雰囲気にアジャストする前にやられてしまっているんでしょう。
監督も含めてそこを最初の警戒ポイントに挙げていましたから、序盤はまずは堅く入って場慣れする時間を作っていたように見えます。

そして注目された強力攻撃陣に対する守備ですが、37節熊本戦の敗戦を活かしていたように思います。熊本戦は調子に乗って前に前に行き過ぎて引っ繰り返されていました。今回は引っ繰り返されたらもう色々な意味でジ・エンドですから、3枚回しの長崎に対しSH含めた同数ではなく2トップでプレッシャーをかけていました。
2トップへの負担は半端ないですが、なるべくヴァウドにボールを持たせるように誘導して増山やギリェルメや安部に気を遣わせ、相手の右サイドの攻撃を抑えていたように見えましたね。

これまでの相手のようになかなかミスをしてくれず、守備も強度が高い、気合も十分。面食らったなんて言わないでしょうが、最近の試合には無かった圧を感じた長崎が少しずつ「あれ?おかしいな…」という雰囲気になっていきます。
対して仙台は当然徐々にリズムを掴み始めるとボールも握れるようになってきました。カウンターを出せる時はいく、遅攻なら今度は相手を押し下げるボール回しでじわじわ。相手の前線からのプレッシャーがそこまでキツくないので、しっかりビルドアップ出来ていたと思います。
前半の半ばまでしっかりと守備で跳ね返し、今度は攻撃のリズムも出てきた仙台が先制するのは流れ的に必然だったのでしょう。

ど真ん中に蹴り込む鬼メンタル

元彦のPK、さすがにビックリしました。本田圭佑選手が真ん中に蹴り込むPKを以前W杯出場がかかった試合のATでやっていましたけども、あの緊張感に近いシチュエーションでやってしまうとは、、。それも長崎サポーターに向かってのプレーだったので「長崎のサポーターを見て、ど真ん中ブチ抜いてやろうと思った」って…。頼もしいですよね。いやもう完全移籍でしょ。

経験が活きた『追加点への貪欲さ』

前半は同点なら合格、1点ビハインドならギリOKくらいに思っていましたが、何と1点リードで折り返してきた仙台。千載一遇のチャンスに浮足立つ事もありますが、これまで何度も追い付かれた経験があったので『とにかくもう1点はブチ込まないと勝てないよ』という意識が共有出来ていました。監督もHTで言ったみたいですが、もはや細胞レベルでサポーター含めて「そんな事当たり前でしょ」と浸透していた事でしょう。
プレッシャーの強度を緩めず、それどころか奪った勢いで一気に行ったるくらいのメンタリティ。早速8分に狙っていたSB裏と、郷家の粘りから右サイドを攻略して追加点!
これで仙台が勢い付いた以上に、長崎の心が折れたように思います。

攻撃専念のはずが逆に孤立。結局焦って放り込みへ

後半の長崎は山田を投入してアンカーシステムからダブルボランチ&トップ下の中盤に変えてきました。ビルドアップの改善とジェズスをより攻撃で活かすための変更でしょう。
しかし、仙台は鬼守備でそもそもジェズスへボールを通させません。仙台のリードも2点に広がり、長崎は徐々に打つ手なく単調な攻撃へ。放り込みが多くなりましたが、跳ね返してセカンドの回収も蒼生を中心に出来ていて集中力が途切れません。
前半の笠柳もでしたが後半も一番怖かったのは左WGの松澤の突破からのメイクチャンスでした。長崎が取った1点も結局は松澤の仕掛けから。
仙台はその後もリードを順調に広げつつ、最後まで集中が途切れない守備で強力攻撃陣を1点に抑え込み、見事にミッションコンプリートとなりました。

総評

いや~~ここで今季最多の4得点きますか??もうビックリですね。とにかくベガルタ仙台に関わる全ての人の想いを乗せた試合だったなと、森山監督がいつも仰る「気持ちには引力がある」という言葉を体現していました。
やはり3週間空いたのが大きかったと思います。しっかり長崎と対戦する上でのポイントを攻守において抑えて、実行する事に100%集中出来ていました。
リーグ戦でも当然今季はハードワークが目立ったわけですが、この試合はリーグ戦のそれ以上でした。長崎のボール回しが少しでも詰まると複数人で素早く囲むし、プレスバックも当然のように行われます。引いて守って受け止めるのではなく、リーグ戦後半で板に付いてきたミドルブロックが面白いように機能した試合だったと言って良いでしょう。
攻撃については元彦のレシーブ位置が非常に良かったですね。特に前半はアンカー秋野の脇で起点となり、相良とのコンビネーションや真瀬へのサイドチェンジと元彦経由での攻撃が非常に多かったです。後半はSB裏やカウンター狙いで決定機を作り続けました。こちらも今季の2度の対戦+3週間の中断期間でウィークを突く事に成功した印象です。
全てが噛み合った、年間通して見てもなかなかない会心のゲームでした。それをここで出来ちゃうのは森山監督のマネジメント力ですね。

決勝に向けて

もうここまできたら昇格の文字しか見えません!立ちはだかる『ラスボス』はファジアーノ岡山です。土曜の開催という事で中5日、またも遠方地という事でハンディがありますが、そんな事言ってられません。勝つために全力を尽くす、それだけでしょう。
正直、長崎よりもしんどい相手です。年間ダブルを喰らっていて、しかも1-4・0-2とボコボコにされています。守備が堅く、耐えたところで得点を取れる保証も無い、勿論引き分けは許されない。『ラスボス』に相応しい相手ですね。やりがいがあるってもんです。
準備期間が少ないので、もう1年間で培ったものを全て出す。これで良いんじゃないですかね。2試合やって反省点もある事でしょう。そこにどれだけ手を付けられるか、コーチ陣は大変でしょうが彼らにとっても今季ラストゲームです。最後のもうひと頑張りお願いしたいです。

勝ちましょう!J1に戻りましょう!最後に勝つのは俺達仙台だ!

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