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九鬼の記事vol.11(2020.02.24)


0.今週の記事のレビュー

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「今週の記事のレビュー」では、本記事を簡単にまとめています。★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

1️⃣今週の学び:原口元気選手のnote開設をお祝い!と「低酸素環境下でのスプリントトレーニングの効果」に関する論文を読んだ感想です。

2️⃣今週の陸上部:弟のトレーニング動画を中心に載せています。きつい傾斜の下り坂走を行いました!これは、なかなかいいトレーニング。何回も反復はできないけれども、コンディショニングの一つとしては使えるトレーニングでした。

3️⃣今週のオススメ論文:ジャンプにおける左右差がスプリント能力や方向転換走能力に及ぼす影響について検討した論文です。脚の左右差というのは、非常に奥深い研究トピックで、実際にパフォーマンスとの関係を検討した興味深い内容です。

4️⃣時事ネタ・記事の紹介とコメント:原口元気選手のnote開設について、詳しく書いています!

5️⃣Q&A:


1.今週の学び

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「今週の学び」では、今週のできごとから九鬼が感じたことについて述べています。主にトレーニング・コーチングの現場での気づきを発信したいと思います。
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 今週の学びに入る前に、今週のBIGニュースを報告させてください!

 サッカー日本代表の原口元気選手が、noteを開始しました。なぜ、これがBIGニュースかというと...実は、僕たちの市民ランナー高速化プロジェクトに出演してもらったことがあるのです!リンクはこちら↓↓

 4の時事ネタのところでもしつこく書きますが...(笑)原口選手、話すの上手なんですよね。むしろ僕の方がタジタジで(笑)。以前の記事では、動画は有料記事だったのですが、原口選手のnote開設を祝って🎉、動画を無料記事内で公開したいと思います!原口選手が、谷川先生のトレーニングを継続して、身体がどう変わったのか?や、トレーニングによってプレーがどう変化したのか?について書いてくれています。必見です(笑)。

 ぜひ、フォローしてみてください!おもしろい記事が読めること間違いなし!!


 前置きが長くなってしまいました...
今週の学びは、「低酸素環境下でのスプリントトレーニングの効果」です。

 今回のトレーニング学研究で紹介されていた特集論文で興味深いものがありました。国立スポーツ科学センターの笠井先生の「低酸素環境下におけるスプリントトレーニングの効果」という論文です。いわゆる、低酸素トレーニングが長距離走のような持久的なパフォーマンスだけではなく、スプリントのような爆発的な運動パフォーマンスにも効果的であることを指摘したレビュー論文です。

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 複数の研究論文が紹介されていますが、概要としては、6-10日間程度の期間で、低酸素環境下と通常環境下で30秒の全力ペダリングや、7秒間程度の全力ペダリングを複数回繰り返す課題などにおいて、低酸素環境下で行った方が、トレーニング効果が大きいことを示唆する結果が報告されていました。

 また、より詳細なデータを測定し、筋内のクレアチンリン酸量が低酸素環境下のトレーニングで有意に増加したことが報告されています。さらに、低酸素環境下でのスプリント運動直後は、通常環境下でのスプリント運動直後に比べて、筋内のグリコーゲン量が少なくなっていることから、解糖系によるエネルギー供給が多く行われていることも指摘されていました。

 一般的に(このレビュー論文ではなく)、低酸素環境下の高地トレーニングでは、遅筋線維ではなく速筋線維が選択的に動員されやすくなるとも言われていることを踏まえると。短距離においても十分に低酸素環境下でのトレーニング効果があると考えられます。

 さらに。低酸素環境下ではなくなりますが、高地トレーニングの特徴として、低酸素環境下とともに低気圧も挙げられます。したがって、海抜レベルよりも高地にいる方がいくらか重力の影響を受けにくく(どの程度かは不明)、高地で走った方が身体が軽くなって、自然とアシステッドトレーニングをしているようになるとも言われています。残念ながらこの仮説に対する研究論文は出ていませんが、ちょうど一年前にメキシコ(高地)で合宿した時には、選手は「なんか身体が軽いような気が...」といって走ってる時にキレが増しているんじゃない!?(笑)と、半信半疑で話していたのを覚えています。

 何れにせよ、今後は長距離だけではなく短距離の選手にとっても高地トレーニングのトレンドがくるかもしれません。

 そして、この論文レビューを読んでいて、短期間の低酸素環境下でのトレーニングというのは、短距離選手だけではなく、サッカー選手にすごくフィットするんじゃないかと感じました。国内のサッカー選手は11・12月に試合が終わって、1ヶ月のオフを挟んで年明けにキャンプが始まります。海外組は、これが夏にあったような。陸上競技だと、自分のペースで調整していけばいいので、「キャンプに合わせる」という感覚がありませんが。サッカー選手はポジション争いがあるので、いかにキャンプにいい状態で臨んで監督にアピールするかが重要だそうです。でも、しっかりオフも取らないといけないので、「キャンプ1週間前に走れるように」とコンディショニングの回復を短期間で達成することが求められるそう。

 この現状って、先ほどから紹介している低酸素環境下で行われるトレーニングの利点をうまく利用できているんじゃないかな、と個人的に感じました。


2.今週の陸上部(短距離・跳躍パート)

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「今週の陸上部(短距離・跳躍パート)」では、九鬼が普段指導している大学のチームのトレーニングの一コマを紹介します。短距離走のトレーニングを市民ランナーやその他の競技にも応用できるような観点も盛り込んでいきます。
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 今週は、暖かい日が多かったように思います。こんな暖かい気候の時は、練習内容を変更して、より強度の高められそうな内容に変えていきます。今日は、陸上部の練習ではないのですが、弟の巧のトレーニングを紹介したいと思います。

スローでも、どうぞ↓↓

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