[メモ]アンチフェミさんのヒステリー列伝: 北村紗衣さんに対する、大の男たちの集団幻覚

アンチフェミニズムは「俺たち(男)こそが文明の主役で、人類の正当な支配者。」というただの異常思想です。当然、よく知らない人からも世界中で笑い者にされますし、公的にはテロリストとして警戒されます。このブログは、従来の権威とニセ科学とで「ヒステリーなど起こさない」とされてきた属性(特に男性)の集団ヒステリーを、自戒的かつ、できれば喜劇的に楽しむスタンスで収集しています。

以下こちらの続きの走り書き。


日本に根強い、かつて一般男性への原始的なポリコレ/エンパワーメントだった大河ドラマ的な歴史認識
少し前まで世界でも主流だった、古代ギリシャや古代中国からある「男らしい男性こそが完成された人間。男性は生まれつき女性の善き監督者(支配者)として、女性は男性の助け手として造られているはずである。」という前提での学問と一般常識。
数十年前まで日独伊的な政策のベースにあった、ニセ科学の「男らしい男が歴史の主役。他は受益者か寄生虫」的な世界観。

呉座氏的な「中世」「戦争」「女性・男性」観のように、どれもが世界の常識から大幅に取り残されている、ということは粗方べつに書いた。

「洋の東西、女性蔑視が激化したのは中世後期。女性の地位に限って言えば現代に近づくほど悪化傾向。」という結構前からある常識について


中世は「身分が生まれつき決まっていて階層移動しにくい」「人権概念が乏しい」「人が死にやすい」という意味では確かに暗黒時代なのだが、言い換えれば男女差別や人種民族差別のほか下層身分への蔑視は比較的軽微だった。下を潰さなくても下剋上されにくいので。

古代文明や中世のようにコメですら収量の低い条件のもと、大して面積が増えない耕地を決まった人口に耕させる社会となれば、人口爆発への恐怖からくる女性蔑視は避けがたい。が、これは主にアジアモンスーン地帯など気候のいいところの話だ。

そもそもルネサンス的な技術革新の時代を境として、まだ高死亡率の時代が中世、死亡率低下以降が近世ともいえる。

だから女性蔑視が洋の東西を問わず近世以降むしろ激化したことは、少し考えれば子供でも分かる現実だろう。

生産や人口の増大が余裕や余剰を生んだ反面、身分社会では一般人への無力化が真剣な課題となり、女性蔑視を含む様々な差別が激化したのが近世や近代だ。

源氏物語からカノッサの屈辱まで中学高校レベルの一般常識としてみんな知っているように、中世では特権階級でも女相続人や夫婦共稼ぎがまだまだ普通だ。

男女平等に近いおかげで、騎士や武士も主君代えを気軽にできていたし、多様な人々が多様な分野で、完全に潰されたりせずに活躍できた面もある。

男尊女卑はこの状態への、便利な無力化手段だった。

しかし、

アンチフェミニズムを含めた日本のニセ科学/歴史修正主義ウォッチャーにとって、今回の件は別の意味で歴史的

と言えるだろう。

たとえば性犯罪被害者を叩くのは、ただ単に中世っぽい思想信条の人々だ。

しかし今回の北村紗衣さん相手に怒る人々(残念ながら男性が目立つ)は、少したどればわかるとおり、

ありもしないものを集団幻覚で「存在する」としたうえで盛り上がっている

ここ数年でも枚挙にいとまがないが、日本の主な娯楽は女性叩きである。

今回の端緒は、主に男性からなる人々が内輪で歴史上よくある「悪は女性や異民族のせい!」的な発想で盛り上がっている最中、やり取りが漏えいし、他のヘイト共々露見しただけのことだ。

さらに彼らは、北村氏が珍奇なフェミニストの思想を紹介しただけで、その思想に傾倒していると思い込む、謎の発想に至った。

昔春日武彦氏が言ったとおり、ロマンチックな狂気など存在せず、狂気にあるのはひたすら陳腐な世界観だけだが、陳腐さゆえに凶悪犯の書き物などはその社会の病理と偏見が端的に出ていて、常人にも人気のテーマだろう。

そして常人は他人の著書を他人の著書だと思っているが、アンチフェミニストは自他の区別がつかないし、著者と自分の区別もつかない。

アンチフェミニストは歴史上、エンタメから戦争まで自分たち男性こそが集団ヒステリーを煽り煽られ使われてきた事実に無自覚である。

アンチフェミニストはそのうえ、エンタメが男性の自意識を肥大させ特権階級と勘違いさせることでカネを稼いできた習いにも無自覚である。

アンチフェミニストは男性礼賛ファンタジーに自我を依存している結果、「人間は自分が共感し自分と同一視できるものを好む」と思いこんでいる。

そんなざまでシンパを得たとしてもせいぜい男の3割前後※だろう。何かあれば、四面楚歌になるのは彼らだ。

※「分かってて怒るやつ」は稀なはずで、残りを「分かるので怒らない人々/分からずに怒る人/分からないので怒らない人々」の3類型に簡単に分けた

そんなこんなで彼らは

「学のある男性」たちの集団幻覚と集団ヒステリーという、古今頻発する騒動を現代日本で、永遠に記録に残る形で再現している点で貴重である。

今回の男性たちは集団幻覚から目が醒めたら、もう二度と「男が論理的で女は感情的だ」などと言えない立場ですね。

ま、彼らはなにせ、ニセ科学と歴史修正主義を元々脆い心の支えとし、匿名掲示板で育った人々ですので「キレイさっぱりとヒステリーで忘れる」と賭けてもいいです。

とりあえずアンチフェミニズムは徹底的に滅びなければならないと改めて考える次第です。