距離

電車の窓越しに、スニーカーがうつる
私のではないけれど

アレンジされている靴紐は
1mmでも可愛くなりたかった恋を思い出した

飲み会に来るかもしれないと聞いて
少しでも可愛くなれる服装を考えた

あの頃、会える可能性があれば、
その1秒のために君を思い出して私を考えた

電車の窓越しに、パンプスがうつる
自分のために買った私の靴

特徴があるわけでも、
目立って可愛くなれるわけでもなく、
ただ、見合わないかもとか、もう、
そういうのいいかな、と
思ったんだよね

私を考えて君を思い出した

君ありきのおしゃれも、
わたしありきのおしゃれも、
両方最高だった

いま君は、「新しい靴買ったよ」と
報告できる距離にいる

#エッセイ #小説 #恋愛 #コラム

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