どうしてこんなに悲しい気持ちになるのか。
ささくれを見ると、私はいつも、
自分が許せない。

完璧ではないにも関わらず、完璧でない自分を許すことが苦手だった、完璧に完璧主義の私は、もうどうにもならないくらい心が粉々になるような出来事が続き、やっと「主義」を卒業できたつもりだった。

それでも、こういうときに片鱗が見える。
「ちゃんとしていたい」と思うのに、突然できてしまったささくれは、痛い。

小さいのにとても痛くて、そしてどうしようもなく、心を映すような気がして仕方がないのだ。

あるとき、まさに才色兼備な憧れの女性の先輩が、整えられた丁寧な爪の写真に、「ささくれ」と書いていた。
なんだか、おかしな感想だけれど、「こんなに綺麗で完璧でも、人なんだなあ」って、可愛いって、思った。

完璧な人なら、ささくれは人間らしさになる。

そう思ったくらいなので、先輩のを見て、「ああ、ささくれも悪くないな」なんて思ったりはしない。

きっと、この先も、悲しくなっちゃうんだと思う。
君が指に触れてくれるとき、気が付きませんように。

それか、君が私のささくれに気がついたとき、可愛いって、思ってくれるような私でいたい。


#コラム #エッセイ #小説 #恋

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?