産業装置マーケティングでのターゲットの決め方

前回の記事では、商品企画の第一歩を紹介しました。
世の中の流れを知り、その流れに乗る視点で、お客さんを知る
そして、競合を知り、自社のことを知る。

以上の4点を踏まて、商品コンセプトを作成します。

そして、商品コンセプトがある程度固まってきたら、
次に、ターゲットを決めます。

ターゲットとは

以前に、この「ターゲット」について、仕事で協議しているときに、
どうも話が嚙み合わないなというときがありました。
確認していくと、どうもターゲットの定義が異なっていたようです。

本記事でもそのような認識の不一致を防ぐために、
まずは、本記事でいうターゲットを説明します。

ターゲットとは販売リソースを集中させるセグメントです。
例えば、映画「スラムダンク」ならば、30代から40代の人です。
スラムダンク連載時にリアルタイムで漫画やアニメをみていた世代をターゲットにし、その子供と家族を連れてくることで集客数を伸ばす戦略です。

ですが、20代や50代、60代が、この映画をみないかというと
そういうわけではありません。
すべての年代の人が、この映画をみる可能性があります。

先ほど書いた、ターゲットについての話が噛み合わなかったときは、
相手の方が、ここでいう映画をみる可能性のある人=ターゲットという定義で話されていました。

ターゲットとは、その商品を購入いただける可能性のある人たちの中で、
特に目的指数の到達可能性が高そうなセグメントのことです。
目的指数とは、受注率や販売台数、売上金額、粗利金額、粗利率などです。

産業装置マーケティングでのセグメント例

ターゲットを決める前に、その商品を販売する市場を
なんらかのルールで区別したセグメントで分けます。

産業分野の場合、大きなセグメントとして次の3つがあります。
・エンドユーザー
・装置メーカー、セットアップメーカー
・その他

例えば、
最終的に自動車をつくっているトヨタ自動車さんがエンドユーザーで、
自動車をつくるための装置をつくっている、例えば、DMG森精機さんが装置メーカーになります。

エンドユーザー向けの商品か、装置メーカー向けの商品かで、
商品仕様、価格、販促手法が大きく異なります。

ただ、この分離だけではまだ範囲が広すぎてターゲットとは呼べません。
ターゲットとは呼べないとは、
まだ販売リソースを集中させることができないくらい広いということです。

次の分類としては業種があります。
・自動車業界
・化学業界
・電気デバイス業界
・ゴム業界
などです。

これで、だいぶ範囲は狭くなりましたが、まだまだ不十分です。
産業装置の場合、ものによって、選定・購入する職種が変わってきます。

産業装置を購入する職種として、下記のような分類が有効です。
・研究開発職
・生産技術職
・製造・保全職
・その他

自動車業界の研究開発職までセグメントをわけると、
ターゲットとして有効なセグメントとなってきます。

さらに細かく見ようとすると、
自動車業界の研究開発職で、
・電池がテーマ
・エンジンがテーマ
・デジタルツインがテーマ
などテーマや、工程などでも分けていくことができます。

このようにセグメントをわけていって、
考えている商品コンセプトがうけそうなセグメントをターゲットとします。

ターゲット選定の条件

ターゲットを選定したら、それが良いターゲットか悪いターゲットの確認を行います。
その時に使えるフレームワークは6Rです。

6Rとは
①    有効な市場規模 Realistic Scale
②    成長性 Rate of Growth
③    競合状況 Rival
④    顧客の優先順位/波及効果 Rank/Ripple Effect
⑤    到達可能性 Reach
⑥    反応の測定可能性 Response
です。

「有効な市場規模」とは、ターゲットが、事業が成立する最低限の規模を確保できているかということです。

ターゲットを絞りすぎて、
たとえそのターゲットで5割のシェアをとったとしても、
例えば売上金額が年間100万円しか見込めないのならば、
事業としては成立しません。
このように、ターゲット規模が適切かどうかの確認を行います。

ただ、小さければすべからずダメということではありません。
「成長性」が高く、やがて数十倍の規模に拡大する可能性が
見込めるのであれば、ターゲットとして適切かもしれません。

「競合状況」も大切です。規模も魅力的で、成長性もある市場ならば、
競合も群雄割拠の状態かもしれません。
その状態だと、想定以上の販促費用をかけないと、シェアを獲得できないかもしれません。

ターゲットは、「波及効果」が高いほうが望ましいです。
そのターゲットを攻略することで、
そのまわりに波及していく可能性が高いセグメントと、
波及効果が低いセグメントがあれば、波及効果が高いほうが良いです。

また、どんなに魅力的な市場であっても、
現行の自社のリソースでアプローチできなかったら意味がありませんので、
「到達可能性」を考慮する必要があります。

最後に、そのターゲットを攻略していくにあたり、販促戦略をしかけますが、その販促戦略の効果検証ができるセグメントを戦略したほうが良いです。したがって、「反応の測定可能性」もターゲットを選ぶ上では、考慮する必要があります。


以上のことに注意して、ターゲットセグメントを選択します。

実際は、きれいにセグメントを分けることができないのが日常茶飯事です。
ですが、販促戦略や営業リソースを集中させるためにはターゲティングはマストです。
なので、会社規模で分けてみたり、何かの団体の所属かどうかでわけてみたり、
日々試行錯誤が必要です。

一緒に試行錯誤していきましょう!

さあ、出航だ!


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