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『はりねずみの よつばくんと きぼうのはっぱ』 

こちらの 『はりねずみの てちてち隊(たい)』の よつばくんが ちいさいころの おはなしです。


『はりねずみの よつばくんと きぼうのはっぱ』



おひさまが 
ぽかぽかと あたたかい あるひ

はりねずみの よつばくんは 
パパと いっしょに
てちてちと あるいて おさんぽに でかけました

のはらに やってくると
クローバーの はなが いちめんに さいています

それを みて
パパが うれしそうに いいました
「よーし! このなか から よつばを さがしてみよう」

「えっ? ぼくを さがすの? ここに いるよ?」
よつばくんには いみが わかりません


「ほら
 この はっぱを みてごらん
 ちいさい はっぱが 3つ くっついて いるだろう?
 これを みつば というんだ」

「みつば?」

「そうだよ みつばだ
 そして 4つ あるのが よつば なんだ」

「あっ! ぼくの なまえだ!」

「そのとおり!
 よつばの クローバーは 
 もっていると いいことが あるんだよ。
 だから おまえに よつばくん と なづけたんだ」

「いいことがある  なまえ なんだね!」

よつばくんは じぶんの なまえが 
いっぺんに すきに なりました

「ただし 
 よつばを みつけるのは
 かんたん じゃないよ
 すこししか ないからね
 いっしょに さがして みるかい?」

「うん!」


よつばくんは はりきって 
まわりの はっぱを みていきました

しかし
みつば みつば みつば…

100ぽん くらい みても 
ぜんぶ みつば です

「パパ! みつば しか ないよ?」

「そうか
 パパも いま みたのは
 ぜんぶ みつば だったよ

 ということは
 これから さがす なかに 
 よつばが あるはずだ!」

「そうなんだ! じゃあ もっと さがしてみる!」

よつばくんは とおくのほうまで 
はっぱを みて まわりました

「パパ! やっぱり よつばは ないよ」

ひとりで もう 1000ぼん くらい しらべたのです

「パパも まだ ないよ
 よつばは とびきりの たからもの だから
 すぐには みつからないんだ
 だけど ぜったい あるんだよ」

「ほんとかなあ しんじられない 
 もう つかれちゃったよ!」

「 じゃあ すこし やすもうか」

パパが じめんに ごろん!と ねころぶと
よつばくんも ころん!と まねを しました

ほんわかと やさしい いろの そらに
ときどき 
ふわふわの たね が とんでいきます

「よつばの クローバーは 
 きぼうの はっぱ とも いうんだよ」

「きぼうの はっぱ?」

「そうさ
 きぼう というのは 
 ねがいが かなう
 と しんじる ことなんだ

 だから 
 みつかりっこない と あきらめたら
 もう みつけられないんだよ」

「ふーん
 よく わからないけど
 それなら しんじることに するよ」
よつばくんが たちあがりました

「 ぜったいに みつかる
 ぜったいに みつかる」

そう いいながら 
もういちど さがし はじめた ときです

「あっ! これって… 
 いち にい さん しい…
 よつばだ!
 パパ! よつばが あったよ!」

「えっ! どれ どれ
 すごいじゃないか!
 よく がんばって みつけたな!」

それから ふたりで てちてちと いえに かえると
パパは
みつけた よつばを かみに はさみ
さらに
おおきな ほん に はさみました

よつばくんは はっぱを みたくて たまりませんでしたが
パパに 「まだ あけては だめだ」と いわれました

そして なんにちか あと
パパは ぺしゃんこになって かわいた よつばを
かみに はってくれました

「ほら!
 こうすれば もう しおれたり しないんだ
 はじめて みつけた よつば だから
 だいじに すると いいよ」

「うん ありがとう パパ!
 いっしょう だいじに するよ」

よつばくんは その よつばのかみを まいにち ながめては
まくらもとに おいて ねむりました

しかし ある あさ
いつものように おいた はずの かみが ありません

よつばくんは あわてて 
ベッドの したや 
へやの すみを さがしました
でも みつかりません

「どうしよう」

しょんぼり している よつばくんに 
パパが こえを かけました

「どうした? どこか いたいのかい?」

「ううん 
 パパ ごめんなさい
 よつばのかみが どこかに いっちゃったの
 ねがいの かなう はっぱ が なくなっちゃったよ」

いまにも なきだしそうです


「そうか それは ざんねんだなあ
 でも だいじょうぶ!
 きぼうのはっぱは もう 
 おまえの なかに あるんだから」

「えっ どういうこと?」

「あの よつばを さがす とき 
 おまえは ぜったいに みつかる って
 しんじてた だろう?」

「うん!
 だって
 パパが しんじないと みつからないって いったから」

「みつかると おまえが しんじた ときに
 きぼうのはっぱが うまれたのさ
 むねの なか にね」

「むねの なか?」

「そうだ この なかさ」
パパは よつばくんの てをとると
そっと むねに あてさせました

「だから
 もう あの よつばのかみは なくても
 だいじょうぶ なんだよ」

「えっ そうなの?」

「ああ 
 むねの なかの よつばは
 なくなったり しないからね」

「そうなんだ!
 なにか おねがいしても いいの?」

「もちろんだよ」

よつばくんは そのばん ねるまえに
むねに てをあてて おねがいごとを しました
じぶんのなかに きぼうのはっぱが あるんだと 
おもいうかべながら

よくあさ
ママが へやに やってきました

「さあ おきて! シーツを あらわなきゃ」

よつばくんが めを さまし
ママが おふとんを おもいきり めくった ときです

しろいものが 
ひらり ひらりと ゆかに おちました

あの よつばを はったかみ です!

「あっ! あった! パパー!」

パパは できるだけ いそいで てちてちと やってきました

「みつかったのか! 
よかったな! ほんとに よかった!」

「ぼくね 
むねの なかに ある はっぱに おねがいしたの
ほんものの よつばが でてきますように って

だって パパと いっしょに みつけたんだもん!
ない なんて いやだよ」

「そうだな
パパも ほんとうは
なくなって かなしかったよ
おまえと いっしょに みつけたんだから

でもね
わすれないでくれ
きぼうのはっぱは
おまえの なかにも あるんだよ」

「うん
 ちゃんと ねがいを かなえて くれた」

「だから 
 この よつばが また なくなっても
 しんぱい することは ないよ

 なにも もって いなくても
 だいじょうぶ なのさ
 むねに きぼうが あるかぎりね」

「ねがいが かなうと しんじる ことだね」

「そうさ
 おまえ じしんが よつば なんだから
 きぼうの かたまり なんだよ」

よつばくんは みつかった よつばを なくさないように 
しっかりと かべに はりました

「 なんでも ねがいが かなうなら
 おそらを とんでみたいな
 いつも じめんを てちてち あるいてるからさ
 うん!
 とべるって しんじよう」

そのばん
おふとんに はいった よつばくんは
ゆめを みました

きぼうのはっぱを もっていると
かぜに ふかれて まいあがり
ぐんぐん そらを のぼっていきます

したを みると
いつも てちてち あるいていた みちが
どんどん ちいさくなり…

そこで めが さめてしまいました

「なんだ ゆめだったのか
でも 
なんて きもちよかったんだろう!
これで ねがいは かなった
ってことなのかな?

いや そうじゃない!
ぼくは ほんとうに そらを とぶぞ! 
いつか 
ほんとうの そらを ね!」


とりあえず ここで おしまい!

(C) 2022, Maple


こちらの おはなしに つづいています。


てちてち隊の はなちゃんの おはなしも あります。
https://note.com/maplegleek/n/n01815b11295d