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GMトウモロコシ紛争にカナダも参加、米国を側面支援

カナダ政府は2023年6月9日、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシをめぐる米国とメキシコの紛争について、第三者として参加すると発表しました。カナダは「米国の懸念を共有する」と表明しており、GMトウモロコシ規制に反対する米国側についたのは明らかで、米国を側面支援するのが狙いのようです。「米国・カナダ連合軍」対「メキシコ」という構図が明確になりました。

米国は、食品向けのGMトウモロコシの輸入をメキシコが禁じる方針を示していることに猛反発し、撤回を求めています。米通商代表部(USTR)は6月2日、北米自由貿易協定(NAFTA)を引き継いだ米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づき、紛争処理協議を要請したばかりです。ロイター通信によると、カナダはトウモロコシの輸出は多くありませんが、メキシコにはGM菜種を多く輸出しています。GMトウモロコシに次いでGM菜種の輸入もメキシコは禁じるのではないかと警戒しているようです。

カナダのマリークロード・ビボー農務・農産食品相とメアリー・イン国際貿易・輸出促進・小規模ビジネス・経済開発相は6月9日の共同声明で、「カナダ政府は科学に基づいた決定を行い、食品や飼料、環境の安全性を維持することにコミットする。革新的で持続可能な農業セクターの中で農家や労働者、輸出業者が成功することを支えていく」と表明しました。また、「農業のイノベーションは、食料安全保障や持続可能性、気候変動への耐性といった世界共通の課題に対処するのに役立つ」と強調しています。「農業のイノベーション」にはGM技術も含まれます。

その上で、「カナダは、メキシコの措置は科学に支えられておらず、北米市場の貿易を不必要に混乱させる可能性があるとの米国の懸念を共有する」との認識を示し、「カナダは、米国が始めた紛争処理協議に第三者として参加することを決めた」と表明しました。

ロイター通信によると、紛争処理協議で75日以内に合意が得られなければ、世界貿易機関(WTO)のように紛争処理小委員会(パネル)が設置され、審理が行われるということです。8月半ばが次の山場になりそうです。


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