おばけになる②
今回は前回の続き「おばけになる」夢の②です!
1が有難いことに好評でしたので
毎週ちょっとづつ更新していきます。
では、はじまりはじまり…
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ウキウキしばらく歩いていくと
小高い丘にたどり着いた。
そこから川が見えるのだが
丘一面が赤やオレンジの彼岸花に覆われ
そこに細い一本道があり
その先の川に小さな船着場があった。
一隻の小船の傍らに
長い長い棒を持った男性が藁でできた笠を被り
座っているのが見えた。
私は一本道をゆっくり下っていき
船着場までやってくると
男性はぶっきらぼうに片手を出して
「花は持ってるか」と聞いてきた。
私は持参した白い菊の花を差し出して
「オープンキャンパスに来ました…」と少し不安げに言った。
男性は菊の花を受け取ると
「そこら辺に咲いてる好きな彼岸花を一本取ってカバンに挿して船に乗って」と言うと菊の花を
座っていた石の隣にある小さな小瓶に挿した。
私は赤く大きな彼岸花を一本取り
カバンに付け、小船に乗り込んだ。
船にはもう先に何人か乗っていて
みんなどこか不安そうだった。
年の頃は皆様々で
私は見知らぬ男の子と女の子
恐らく二人で来たのであろう二人のそばに座った。
するとその女の子が
ニコニコした笑顔で
「初めまして、私はサエ。さっちゃんって呼ばれてる。だから、都市伝説になったさっちゃんが好きで!あなたは?」と話しかけてきた。
「あ、私はまぴこって呼ばれてて…オカルト全般が大好きで…特に日本の不気味なものが好きなんです。」と自己紹介をした。
すると男の子は
「わかるわかる、僕はずっと妖怪に憧れていて。あ、エンって言います。」と話してくれた。
私が「よろしく」と言うのと同じタイミングで
「しゅっぱーつ」と低い声が辺りに響き
ギギギギーと船が動き始めた。
私はワクワクした気持ちと
オカルト好き仲間が出来た嬉しさで
今来た彼岸花の丘を見上げていた。
すると、ガスのかかった薄暗い景色が
いきなり光に包まれた。
うわぁ、眩しい!と目をゴシゴシと拭い
目を開けると今まで一面彼岸花だった岸辺が
たくさんの色に囲まれた鮮やかな明るい草原に変わっていた。
船に乗っているものは皆息を飲んだ。
あまりにも鮮やかで穏やかな草原の中を
穏やかに流れている川。
その川の上にある船に乗る私。
不気味とは無縁の景色にしばしあっけに取られたのだった。
すると
「はい、みなさん!今日はオープンキャンパスへようこそ!案内人のササヤマと申します!どうぞよろしく!」と甲高い声が聞こえ、声の主に顔向けると
先程、船着場でぶっきらぼうだった男性の格好をした
ロングヘアの赤い瞳をしたお姉さんが喋っていた。
呆気にとられている私たちをよそにお姉さんは
「じゃぁ、みなさん!今日持ってきた人型に切った紙に自分の名前を書いて川に浮かべてね!それが受付用紙になって、我ら『おばけ大学』へ送られます!間違って違う名前を書いちゃダメですよ!もし自分の名前ではなく違う誰かの名前を書いたら、その人はこれから現世へ戻れなくなりますから!」
そう言ってカラッと笑い
棒を構えみんなを見下ろしていた。
私たちは人型の紙に名前を書いて
川に浮かべた。
人型はスっと川に沈み消えていったのだった。
つづく・・・・
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