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ホタルイカのおかげ

こんなに自炊しているのは人生で初めてかもしれない。と言っても簡単なものや名もない料理ばかり。私は同じものばかりのメニューに嫌気がさし、何かないかと考えていた。肉が続いているから魚にするか、と魚介売り場を見渡すと、ホタルイカに目が止まった。そう言えば買ったことがない。居酒屋で日本酒とともに味わった記憶が蘇り買ってみることに。(ああまた早く居酒屋に行きたい。)これまで全く知らなかったのだが、生食用でボイルされたものでも目玉とくちばしと軟骨を取る作業をするとのことで、小さくて可愛いホタルイカのさらに小さい一部分をチマチマと(私にしては)丁寧に取り除いていく。この時間の、なんと尊いこと!こういうことを、まさしく、尊いと言うのだ…そう思うには訳があり、「ホタルイカ 食べ方」で調べてみると、様々な情報があったのだが、なかでもホタルイカは寿命が一年で子孫を残す役目を果たすとその短い生涯を終える、ということに私は生命の神秘と美しさを感じた。そんなことを読んだあとでのホタルイカとの向き合い方は、スーパーでの出会いの瞬間とは全く変わってくる。(恋愛でもそういう風に出来たならいいのだが、私の場合ほとんどが一目惚れなんである。だから、首尾一貫してその人への見えかたが "好きな間は" 決して変わらない。熱しやすくナントヤラ…)ホタルイカのムッチリとしたつるりんボディに、小さくてもしっかりとした構造の生き物、それをいくつもいくつも触って見て思いを馳せる。そして私のいつもフワフワと漂っているこの意識はホタルイカの宇宙船と一緒に飛んでいく。目玉、くちばし、軟骨、目玉、くちばし、軟骨、目玉、くちばし、軟骨…。

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酢味噌につけてパク、美味しい!!日本酒と一杯。あんまり食べ過ぎると胃が痛くなるので、もう少し欲しいな、と思うタイミングでストップ。(特に夜中に食べるイカは私の胃と相性が悪い。)冷凍したのでまた今度食べよう。ぐっすり、おやすみ。

そして朝、目が覚めると雨。けれど頭痛がない。気温が低く雨が降っていると頭痛が起きやすいのに…もしかしてこれはホタルイカのおかげか?なんだか活力もある、もう2020年の領収書の整理も始めた。そして終えた。

空のはるか彼方にいるであろうホタルイカに感謝し、今日も私は生きている。

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