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Maorisママからのメッセージ②:カナタとの歩み。ダウン症とともに。【生後3か月までに行った発達促進 】

スキンシップと語りかけ

生後48日目に退院するまでの間、毎日午後1時から4時までの3時間の面会に足を運びました。週末は必ず主人も一緒に付き添ってくれました。今日は起きているかな?おっぱいを飲んでくれるかな?など、楽しみにしながら足を運んだものです。
毎日3時間という限られた時間でしたが、限られていたからこそ特にスキンシップと語り掛けは大切に行いました

奏多(カナタ)が眠っている時には頭を優しく撫で、起きている時には授乳、抱っこ、全身のマッサージをしながらずっと話し掛けていました。毎日これを繰り返し行っていると、そのうち面会に行って声を掛けると目を開いてこちらを見つめてくれるようになり、そしてマッサージをすると気持ちよさそうにあくびをしたりするようになりました。母親の声と肌のぬくもりを待ってくれているようで、すごく嬉しかったことを覚えています。

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退院してからも入院中と同様に、たくさん話しかけ、思う存分スキンシップを取りました。ようやく誰の目も気にすることなく、奏多との時間を楽しめるようになったのです。

病院には持って行けなかったぬいぐるみやメリーをベッドサイドに置き、色々なものを見せ、聞かせ、触れさせようと試みました。また、この頃から童謡などの色々な歌を歌って聞かせたり、ダウン症児の赤ちゃん体操の本から得た知識をもとに簡単な体操やマッサージを取り入れたりしていました。

よく言われる「ダウン症の赤ちゃんはあまり泣かない」という状態は奏多にもありましたが、「ダウン症の赤ちゃんは喜怒哀楽が少ない」ということを奏多に感じたことはありませんでした。生後2か月前頃から小さいながらも声を出してお話をしているような時があり、手足をバタバタさせながら傍にいる私を見て、何かを訴えるような仕草もよくしていました。それに対して私は気持ちを代弁したり、話しかけたりしながら息子との「会話」を楽しんでいました

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赤ちゃん体操とマッサージ

奏多が生まれてすぐ、何かにすがりたい一心でダウン症に関する書籍を数冊購入しました。どれがいい本でどれがいまいちなのか、自分でもよく分からないまま目を通していました。その中で私が大切にしたことは、ダウン症児の発達や将来の姿について後ろ向きに書かれている本は参考にしない、ということでした。生まれたばかりの可愛い我が子の将来を悲観するような本は、正直なところ読みたくなかったのです。ゆっくりだけれどきちんと発達する、そう確信が持てる本を参考に私の赤ちゃん体操は始まりました

スキンシップの一環として、本に書かれていないような自己流の全身マッサージやお風呂上りに保湿クリームを塗りながらのマッサージもよくしていました。本には難しい専門用語が使われていたり、今の体の状態を判断するポイントが書かれていたりしていて悩むことも多かったのですが、毎日の日課のように行っていました。

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赤ちゃん体操の中で一番大切なことは愛着形成であるとも書かれていました。これには自信がありました。生まれてからずっと家族みんなでコミュニケーション、スキンシップを取ってきたのですから。

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黙って何かをすることが苦手な私は、よく語り掛け、歌を歌い、リズミカルにこの体操をしていました。奏多はこの体操が好きだったのか、気持ちよさそうにうっとりしたり、ニコニコ笑ったり、私の顔をじっと見つめたりしていました。
体操の成果があったのかどうかは分かりませんが、生後3か月の終わり頃には腹ばい姿勢を好み、自由に顔の向きを変えて遊ぶことが増えていました。寝返りを打とうとすることも増えてきました

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米国特別支援教育を軸とした発達の専門家としてMaorisからのアドバイス

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情報過多とも言われる社会で、奏多くんのお母さまが自分が信じられる本だけを選択し、入院中という限られた環境の中でお子様にできることを考案してそれを実際に行動にうつされたこと。これはとても素晴らしいと思います。

お母さまが努力されたという「声掛け、スキンシップ、抱っこ、マッサージ、お歌」など、子どもとの楽しいやり取りは愛着形成に役立ちます。またこれらは奏多君にとって感覚を通しての刺激となり、脳の活性化を促したことでしょう。

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Maorisサークルではメンバーに向けて、生後間もなくの赤ちゃんが発達促進のために行うことをご紹介しており、その中の一つに海外でtammy timeと呼ばれる腹ばい体操があります。奏多くんのお母さまがやっていて大正解だったのは、感覚刺激にくわえて、この腹ばい体操も行っていたことです。赤ちゃんの時からの筋トレはその後の奏多くんの発達を後押ししてくれたと思います。(腹ばい体操は特に低緊張体質の赤ちゃんの場合は注意を払って行う必要があります。これから実践されるお母さまは注意事項等を事前にお調べください)

赤ちゃんひじ

今日はそんなMaorisサークルの中から発達促進に関する記事を少し引用してご紹介させていただきます(一番最後にあります)。身体というのは全部がつながっているので、認知力をのばしたいからといってお勉強をがんばるだけ、または早く歩けるようになってほしいからといって歩行訓練だけをしても、なかなか思うように成果がでないことが多いでしょう。逆に発達にひずみをつくってしまうかもしれません。

脳は感覚を通して学び、そして脳は得た「学び」を「運動」として自分の身体に還元しています。この循環が発達なのです。

人間は赤ちゃんのときから、大声で泣いて抱っこをせがみ、起きている時は手足をバタバタ動かしながら自らの力で脳を育てています。脳の発達に伴い、手足や認知力ものびていくのです。

しかし低緊張がある赤ちゃんはどうでしょう。低緊張が自らの発達を邪魔してしまうという考え方ができると思います。こういった意味でも奏多くんのお母さまが努力されたこと(感覚刺激を与え、筋トレを行う)は、奏多くんの苦手な部分のサポートに繋がったと思います。

発達に遅れのある子ども達はどうしても成長が表に出てくるまでに時間が掛かることが多いです。グラフで例えると急斜のようではなく、1段上がると平行線をたどり、また1段上がると平行線をたどるといったゆるやかな階段のようで、時にはその平行線がとても長い時があります。お母さま方の多くが不安になってしまうのはこの時だと思います。しかしながら脳は確実に発達していることを忘れないでください

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『神経細胞のつなぎめである「シナプス」。このシナプスが発達すると、神経ネットワークも同時に成長していきます。人間の脳では生後8か月から1歳ごろにかけて、この発達がピークを迎えると言われています(ピークを過ぎてからのシナプスの増やし方は後述しています)。
新生児から乳児期は「赤ちゃんを寝かしっぱなしにしないように」と言われる事が多いのは、両親に抱かれるといった「感覚的な経験」や、手足を動かすといった「動作」の相互作用でこのシナプスが発達されるからなのです。この動作の「繰り返す」頻度が高いほど、脳が成熟されると言われています。こういったことから「シナプスは身体の運動記録」と言っても過言ではありません。』(Maorisサークル内の記事より引用)
★『触覚、臭覚、味覚、視覚、聴覚、固有覚、前庭覚(感覚システム)からの刺激はお子さんの脳を育てるのに最も重要な要素です。』(Maorisワンコインウェビナーより)
     


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