自己意志
よく考えてみると自分の意志で環境を変えていることに気づいた。
でもそれは、元からではなかった。
ここ数年の話である。
高校は早く受験が終わるから、という理由で前期入試の高校にした。
直前に親が離婚して、早く心配事を消したい気持ちがあった。
後期試験の高校で受けたいところはあったが、押し通すほどでもなかった。
大学は理系の大学を選んだ。
香料の研究がしたくて、化学科を選んだ。
ここは自己意志だった。
でも、見事に落ちた。
2度目の受験の大学は、高校の先生の勧めで決めた。
学部も含めて正直選択肢がなかった。
なので、自己意志ではなかった。
浪人なので、選んでる場合じゃない、と思った。
浪人の時のバイトは自分で選んでスーパー銭湯の面接を受けた。
返事が来なくて、痺れを切らして、苦手な接客業の面接を受けた。
即採用だったけど、これも自己意志ではなかった。
浪人母子家庭で、バイトせずには生きていけない切迫感からだった。
2度目の大学はギリギリ通った。
正直、就職するための大学と思っていた。
貧乏性なので、取れる単位は全部取った。
地理が好きで専攻したゼミは、自己意志だったかもしれない。
あとは勿体無いから、という理由がほとんどだった。
内定をもらって、内定式で海外配属と言われた。
全く寝耳に水、自己意志じゃなかった。
入社して、研修が終わって、なぜか名古屋配属になった。
またしても自己意志じゃなかった。
1年ほど経って、大阪配属になった。
自己意志ではなかった証拠に、異動初日の出社前には不安からくるすごい冷や汗で、駅の椅子から動けなかった。
ここから、ガラリと変わった。
営業の仕事をしていたが、自分は営業より企画が向いていることに気付いた。
周りが資料やデータの作りを褒めてくれたから気付けたのかもしれない。
そして上司にマーケティング部への異動を希望した。
マーケティング部は楽しかった。
でもさすがに何年もいると、ルーティンが多くつまらなくなっていた。
それでドイツへの赴任を希望してみた。
すると、ドイツに行くことになった。
そして今、ドイツで気付いたこと。
営業向いてないんやったー…。
大失敗である。
ドイツに来たのはいいが、仕事内容をしっかり把握していなかった。
そもそも職務分掌がない、何でも屋だ。
正直、営業は現地人に任せて、自分は調査や本社へのインプットが本業と考えていた。
確かにマーケティング要素は強いが、周りに求められる他の業務が多すぎる。
それが体調、気分の乱高下に直結してくる。
そこで、完全に心の火が消えてしまった。
そして今、自分のやりたいことに向け、今度こそ自己意志で環境を変えようとしている。
自分でも驚くくらい、でも着実に、計画を実行しようとしている。
どうなるかは分からないが、後悔はしたくない。
やるだけやろうという強い自己意志がある。
*
もう一つ気付いたのは、自己意志が強くなったタイミングである。
妻に出会った時期と一致するのだ。
妻は完全な自己意志の人である。
やると言ったら突然やって、突然やめる。
こちらが勧めても、ほぼ聞かない。
妻に出会うまでは、母に半ば洗脳のようにされていた。
親子共に気付かぬうちに、である。
それが解けて、妻の影響を受けた。
だから自己意志で動けるようになったのかもしれない。
1番そばにいる人が、いい影響をもたらしてくれる。
心から感謝である。
ありがとう。
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